【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

文字の大きさ
上 下
448 / 555
きづいたら

「小太郎鋭すぎ」*奏斗

しおりを挟む
◇ ◇ ◇ ◇


「今日ユキ、ため息多くない?」

 二限が少し早く終わって、小太郎と食堂に来た。まだご飯を買いに行くのは早いかなと、二人で席に座ると、小太郎にすぐにそう聞かれた。

「んー……そう?」
「うん。そんな気がする。疲れてる?」
「んー……小太郎、ちょっと聞いてみていい? 誰にも内緒で」
「ん、イイよ。どうぞ」

「……色んな世界が違う人と、一緒にいるのって、大変だと思う、よね?」
「世界って?」
「身分、とか?」
「今時、身分?」
 小太郎は苦笑い。んー、そう思うよなぁ、とオレも苦笑しながら。

「んーと……めちゃくちゃお金持ちとかさ、もう、普通じゃない感じの」
「そうだねぇ。まあ……大変、かなあ……?」
「だよね」
「何、大金持ちの女の子に惚れちゃったの?」
「あーううん。……大金持ちの男に、好きって言われてる人がいて」
「あぁ、ユキのことじゃないのか。ぐったりして話すからユキのことかと思った」

 クスクス笑って、小太郎が続ける。

「まあ、でも、どんだけ一緒に居たいかじゃないの」
「――――」

「色々跳ねのけてでも一緒に居たいなら頑張ればって思う。だってそもそも好きなのは、お金持ちの彼の方なんだよね?」
「……そうらしいけど。でも、違うとこ、いっぱいあるんだよ」

 もともとノンケってとこも大きいのだけど、それはさすがに言えない。

「んー……でも、それでも好きになってくれてるんだろ? それなら信じて飛び込んでみるとか? 玉の輿って、そういうことを言うんだよな?」
「……そう、だね」
「あるんじゃないの、そういう言葉もある訳だし」

 ……うーん。男同士だから結婚できないってとこも大きすぎるのだけど、これも言えない。

「とにかく、一緒に居たいかどうか、お互いがどう思ってるかが大事でしょ」
「――小太郎って、強いよな。まっすぐだし……たくましい。そういうとこ、好き」
「――――」
 小太郎は、ぷ、と笑って、伸ばしてきた両手でオレの頭をクシャクシャに撫でた。

「照れるし! つか、オレもユキのそういうとこ、好きだよ」
「そういうとこって?」

 くしゃくしゃになった髪を直しながら聞くと。

「好き、とか言ってくれちゃう可愛いとこ?」

 クスクス笑う小太郎は、もう一度椅子に座りなおしてから、肘をついて頬杖をついた。

「あと、悩んでても、外に出さないで頑張るとこも」
「――オレ、悩んでる?」
「ユキが悩んでるなんて、あんま他の奴は気づいてないと思うけど」

 小太郎は、ふ、と笑って、オレを見つめる。

「元気で明るいけどさ。たまに、無理してんのかなって思う時はある」
「――オレ、小太郎にそんなに何か言ってる?」
「言ってない」
「じゃどうして、そう思うの?」
「んー。何でだろ? ああ、今日みたいな感じかな。一人の時ため息何回か、とか。少し俯くなーとか」
「……小太郎鋭すぎ」
「はは」

 小太郎は、クスクス笑って、オレをまた見つめる。

「良く分かんないけど……その子のことはそう思うけど。あと、ユキのことは、ユキ自身が、したいようにしたら?」
「……うん。ありがと……って、オレのことって?」

「言えないような、ユキのこともあるんでしょ?」
「……ん。わかった。ありがと」

 頷いたところで、他の友達たちがやってきて、隣に座っていく。

「なあ、勉強会、土曜からにする?」
「あ、うん。オレはそれでいいよ。誰の家にする?」
「オレんち、土日ならいいよー」

 週末からってことになり、土曜は友達のところに泊りに行くことが決まった。
 このテスト期間で、少し四ノ宮と離れて、考えられるかな、なんて。オレは、思っていた。





◇ ◇ ◇ ◇
しおりを挟む
🧡💛💚💙💜💚🩷🩵
お読みいただき、ありがとうございます♡
🩵🩷💚💜💙💚💛🧡

感想やリアクションが、色々な意味で、作品への後押しになります。
なにげないひとつの「ぽちっ」が、私のやる気も後押ししくれています(´∀`*)ウフフ
いつもありがとうございます🩷

投稿サイトが増えてきて全部でお知らせとかが大変なので、
Xでまとめてすることが多いです。

Xノベルとか、短いBL創作とか、これから色々していこう~と思っているので、
フォロー&応援お願いします🩷 
🩵「悠里のX」こちら✨です🩵

感想 331

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。 1日2話ずつ投稿します。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

紹介なんてされたくありません!

mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。 けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。 断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?

一日だけの魔法

うりぼう
BL
一日だけの魔法をかけた。 彼が自分を好きになってくれる魔法。 禁忌とされている、たった一日しか持たない魔法。 彼は魔法にかかり、自分に夢中になってくれた。 俺の名を呼び、俺に微笑みかけ、俺だけを好きだと言ってくれる。 嬉しいはずなのに、これを望んでいたはずなのに…… ※いきなり始まりいきなり終わる ※エセファンタジー ※エセ魔法 ※二重人格もどき ※細かいツッコミはなしで

処理中です...