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きづいたら

「パーティー色々」*奏斗

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「雪谷くん。こんばんは。こないだはありがとうね。それから今日も、来てくれてありがとう。本当にとても似合ってるよ」

 四ノ宮のお父さんが、オレの前に立って、そう言った。「いえ、こちらこそ、ありがとうございます」と笑うと、隣で、なんだかすごく可愛い感じの四ノ宮のお母さんが、オレを興味津々に見つめる。なんだかすごく若く見える。瑠美さんや四ノ宮のお母さんといわれても、パッと見、信じられないくらい。

「大翔と仲良くしてくれてるみたいで、ありがとう」
「雪谷奏斗です」

 名乗ると、四ノ宮のお母さんはクスクス笑い出した。

「ふふ。主人がふたりのたこ焼きパーティーに乱入したって聞いておかしくて……しかも葛城も一緒にって」

 可笑しそうに笑って、じっと見つめられる。

「潤が一目で気に入ったって瑠美が言ってたけど。分かる、とっても素敵」
 あんまりまっすぐに褒められて、なんだかものすごく照れてしまう。

「潤、オレのとこ来ないよ、奏斗の方ばっかで」
「あら。今まであんなに大翔大好きだったのにねー」

 からかうように言われた潤くんは「ヒロくんも好きだよ」と言う。「でも、ユキくん、大好き」なんて言って、皆に笑われてる。

「葛城、奏斗と潤が居やすいところに連れて行ってやって」

 四ノ宮が葛城さんにそう言うと、葛城さんは、にっこり笑って頷く。

「じゃあ挨拶いってくるね」
「ユキくん、潤をよろしくね」
 四ノ宮と瑠美さんがそう言うので頷くと、二人は四ノ宮のお父さんやお母さんの進んだ方に歩いていった。

「雪谷さん、テラスの方が居心地はいいと思うので……こちらです」
「あ、はい。潤くん、いこ」
「うん」

 潤くんと一緒に葛城さんの後をついて、人の間をすり抜けていく。

「潤くんのお母さんも、四ノ宮も、皆、カッコいいね」
 
 そう言うと、潤くんは嬉しそうに笑って頷く。
 パーティーは四ノ宮の言っていた通り立食。テラスにはおしゃれな丸テーブルとイスが並んでいて、そこで食べることにした。
 まだ始まったばかりなので、出席してる人たちは色々話をしてるみたいで、テラスにはほとんど人が居なかった。
 葛城さんは、食べ物の取り方や飲み物の頼み方など、色々教えてくれてから、奥に入っていった。

「潤くん、何か取りに行こ?」
 うふふ、と笑いながら頷く可愛い潤くんと、食べ物を取りに歩き始める。

「潤くん、今日はオレと一緒に居てね」
「うん! 楽しみにしてたのー」

 満面の笑顔で言われると、とっても可愛い。微笑みながら、やっと周囲を見回す余裕が出てきた。
 会場は広くて、たくさんの人が居る。
 世の中にはこんなパーティーに出席する人達が、こんなに居るんだな。ていうか、こういうのって、テレビだけじゃないんだなぁ、とさっきからかなりのカルチャーショック。
 お偉いさんの誕生パーティーとか、会社とかの創立記念パーティーとか、ドラマや映画とかには出てくるけど、実際出るのは初めて。縁がないもんね。

「あの……すみません、さっき紹介されてた方ですよね?」
「え?」
 急に女の子たちに話しかけられて、一応頷くと、大学生ですか? どこの大学ですか? と、色々質問が飛んできた。
 しばらくなんとなく答えていたのだけれど、連絡先がどうのこうの言い出したあたりで、ナンパなのかな? と気づいた。
 大翔さんと一緒に、というセリフも聞こえるので、あ、もしかして、四ノ宮と連絡とりたいのかな、とも思いながら。 

「今日はそういうのは……すみません。潤くん、ごめんね、いこ」

 潤くんにそう言って、手を繋ぐと、それ以上は話しかけてはこなかった。ああ、潤くんと居ればって、四ノ宮が言ってたのってこういう意味か……。
 同じようにちょこちょこ話しかけられて、なんとなく少しだけ会話してから、潤くんが居るから、と離れる。

 ある程度、潤くんの好きな食べ物を取ってから、潤くんと一度テーブルに戻った時には、もう大分疲れていた。全く接点のない人に話しかけられるって、そういえば今まであんまりないことなのかも。向こうから見たら、社長の息子の友達、なのかな。スーツが似合うって褒めてもらえるのは、宣伝としては、役に立ったのかな? と良かった気もするんだけど……。
 
 でも疲れるからもう誰とも目を合わせないようにしよ。なんとなく視線を感じて、目を合わせてしまうと話しかけられてしまう気がする。



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