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きづいたら
「再認識」*奏斗
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「脱いだものはこちらに入れてくださいね」
カーテンで仕切られたところで、葛城さんがカゴを渡してくれた。
服を脱いで軽く畳んでカゴに入れて、着慣れないなりに、なるべく手早く着替えて、靴下と靴も履いた。ネクタイとジャケットを残して、ベストまで着終えたところで鏡を見る。
すごく着心地がよくて、驚く。サイズを測ってもらって作ってもらうってこんな感じなのか、と感心していると、隣で四ノ宮がカーテンを開けた音がしたので、オレも仕切りを開けて中から出た。
「――――」
隣で着替えていた四ノ宮はもうネクタイまで締めていて、もうほぼ完成してる。
うわ。……似合う。
これは文句なしで、カッコいい。最近なぜか可愛く見えてた、その雰囲気は全然ない。
皆の前で着せたいと、四ノ宮のお父さんも思うよな、なんて思ってしまった。何も言葉が出ず、ぼーと見てしまうと、オレを見つめていた四ノ宮が。
「奏斗、すごくイイ。似合う」
ふ、と笑むいつもと同じはずの笑顔まで、なんだか、違うように見える。
……ほんと。カッコイイ奴だってのを再認識。
「奏斗、めちゃくちゃ似合ってるよ」
まっすぐ見つめられて、ありがと、と頷く。
「奏斗、ネクタイは締めれる?」
「ん、多分?」
そう答えると、ふっと笑う四ノ宮。
「多分って。あんまりやったことない?」
「うん、何回か、かな。ネクタイ、縁なかったから」
「やってあげるから貸して」
逆らうことなく四ノ宮の手にネクタイを委ねると、するりと首にネクタイが掛かる。
すごく近くで、四ノ宮が、なんだかとっても嬉しそうに続ける。
「奏斗にネクタイ締めてあげるとか、すげー嬉しいかも」
クスクス笑う四ノ宮に、葛城さんが「大翔さん、時間がないですよ」と苦笑い。
「いいじゃん、ちょっとくらい遅刻したって」
「ダメですよ」
苦笑交じりの即答に、四ノ宮も、はいはい、と言いながら、きゅ、と最後、ネクタイを締めてくれた。
「ん、出来た」
「ありがと」
言って見上げると、すごく嬉しそうな、キラキラした視線。
四ノ宮にこんな瞳で見られる日が来るとか、ほんと、最初は思わなかったな。最初の頃はむしろ、眉顰められて見られていたような気がするし。
そんなことを思いながら、ジャケットに袖を通す四ノ宮を見て、オレも同じくジャケットを着た。
ほんと、オーダースーツってこんな感じなんだ。体にぴったりしてるのに、ジャケットを着ても窮屈な感じは全然なくてすごく動きやすい。入学式とかで着たスーツとは全然違う。
「どう? 着た感じ」
「ん、着心地、すごくいい……びっくりした」
そう言うと、四ノ宮と葛城さんが微笑む。「でしょ」と嬉しそうに笑う四ノ宮に、うん、と頷く。
四ノ宮、パーティーとかは嫌がってるように見えたけど、スーツの仕上がりとかそういうところはちゃんと認めてて、お父さんの会社も好きなんだろうなぁと、その笑顔を見てそう思った。
「ほんと、似合う。全然、七五三じゃないよ」
笑いながらの四ノ宮の言葉に、葛城さんがオレを見て微笑した。
「そんなことを思われてたんですか?」
「着慣れないですし、七五三でも笑うなよって言ってて」
オレがそう言うと、葛城さんはクスクス笑って、首を振った。
「とてもお似合いですよ。社長が、大翔さんと雪谷さんで広告を作ろうとか言いだしそうですね」
「言いそう……あ、それは受けなくていいからね、奏斗」
「ないでしょ」
笑いながら言うと、「ありそうだから嫌だ」と四ノ宮。
「とにかく行こっか」
「ん」
着替えた部屋を出ると、待っていてくれた瑠美さんと潤くんがオレ達を見て、わぁ、と微笑む。
「大翔は見慣れてるけど……ユキくん、本当に素敵ね」
「ユキくんーすごいー」
きゃー、と抱きついてこようとした潤くんを、またも四ノ宮が苦笑しながら止めた。
カーテンで仕切られたところで、葛城さんがカゴを渡してくれた。
服を脱いで軽く畳んでカゴに入れて、着慣れないなりに、なるべく手早く着替えて、靴下と靴も履いた。ネクタイとジャケットを残して、ベストまで着終えたところで鏡を見る。
すごく着心地がよくて、驚く。サイズを測ってもらって作ってもらうってこんな感じなのか、と感心していると、隣で四ノ宮がカーテンを開けた音がしたので、オレも仕切りを開けて中から出た。
「――――」
隣で着替えていた四ノ宮はもうネクタイまで締めていて、もうほぼ完成してる。
うわ。……似合う。
これは文句なしで、カッコいい。最近なぜか可愛く見えてた、その雰囲気は全然ない。
皆の前で着せたいと、四ノ宮のお父さんも思うよな、なんて思ってしまった。何も言葉が出ず、ぼーと見てしまうと、オレを見つめていた四ノ宮が。
「奏斗、すごくイイ。似合う」
ふ、と笑むいつもと同じはずの笑顔まで、なんだか、違うように見える。
……ほんと。カッコイイ奴だってのを再認識。
「奏斗、めちゃくちゃ似合ってるよ」
まっすぐ見つめられて、ありがと、と頷く。
「奏斗、ネクタイは締めれる?」
「ん、多分?」
そう答えると、ふっと笑う四ノ宮。
「多分って。あんまりやったことない?」
「うん、何回か、かな。ネクタイ、縁なかったから」
「やってあげるから貸して」
逆らうことなく四ノ宮の手にネクタイを委ねると、するりと首にネクタイが掛かる。
すごく近くで、四ノ宮が、なんだかとっても嬉しそうに続ける。
「奏斗にネクタイ締めてあげるとか、すげー嬉しいかも」
クスクス笑う四ノ宮に、葛城さんが「大翔さん、時間がないですよ」と苦笑い。
「いいじゃん、ちょっとくらい遅刻したって」
「ダメですよ」
苦笑交じりの即答に、四ノ宮も、はいはい、と言いながら、きゅ、と最後、ネクタイを締めてくれた。
「ん、出来た」
「ありがと」
言って見上げると、すごく嬉しそうな、キラキラした視線。
四ノ宮にこんな瞳で見られる日が来るとか、ほんと、最初は思わなかったな。最初の頃はむしろ、眉顰められて見られていたような気がするし。
そんなことを思いながら、ジャケットに袖を通す四ノ宮を見て、オレも同じくジャケットを着た。
ほんと、オーダースーツってこんな感じなんだ。体にぴったりしてるのに、ジャケットを着ても窮屈な感じは全然なくてすごく動きやすい。入学式とかで着たスーツとは全然違う。
「どう? 着た感じ」
「ん、着心地、すごくいい……びっくりした」
そう言うと、四ノ宮と葛城さんが微笑む。「でしょ」と嬉しそうに笑う四ノ宮に、うん、と頷く。
四ノ宮、パーティーとかは嫌がってるように見えたけど、スーツの仕上がりとかそういうところはちゃんと認めてて、お父さんの会社も好きなんだろうなぁと、その笑顔を見てそう思った。
「ほんと、似合う。全然、七五三じゃないよ」
笑いながらの四ノ宮の言葉に、葛城さんがオレを見て微笑した。
「そんなことを思われてたんですか?」
「着慣れないですし、七五三でも笑うなよって言ってて」
オレがそう言うと、葛城さんはクスクス笑って、首を振った。
「とてもお似合いですよ。社長が、大翔さんと雪谷さんで広告を作ろうとか言いだしそうですね」
「言いそう……あ、それは受けなくていいからね、奏斗」
「ないでしょ」
笑いながら言うと、「ありそうだから嫌だ」と四ノ宮。
「とにかく行こっか」
「ん」
着替えた部屋を出ると、待っていてくれた瑠美さんと潤くんがオレ達を見て、わぁ、と微笑む。
「大翔は見慣れてるけど……ユキくん、本当に素敵ね」
「ユキくんーすごいー」
きゃー、と抱きついてこようとした潤くんを、またも四ノ宮が苦笑しながら止めた。
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