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きづいたら
「流れるように」*奏斗
しおりを挟む「パーティーの間は、オレ、潤くんに遊んでもらうから。オレのことは気にしなくていいからね」
そう言うと、四ノ宮は少し黙って、それから、ぷに、と頬を摘まんでくる。
「奏斗のそういうとこ、好き」
「ん? 何が?」
「誘ったパーティーでほっといたら怒る人も居るだろうなと思うから」
なんだかすごく穏やかに笑う四ノ宮に、瞬きをパチパチしてると、四ノ宮はまた、ふ、と笑ってキスしてくる。
「状況次第だけど、ほんとにあんまり行けないかもしれない。ごめんね」
「……そっちはいいからさ」
「ん?」
「流れるようにキスすんの、やめてくんないかな」
そう言って四ノ宮から少し顔を引くと、四ノ宮はクスクス笑って、オレの頬から手を離した。
「オレ、こんな風にキスしてんの、奏斗だけだよ」
「――すごく、手慣れてるけど」
「なら、奏斗で慣れたんじゃない? ていうか、すごくしたくてしてるから」
「……オレで慣れないでよ」
「誰で慣れろって言うの」
「知らないけど」
コーヒーを飲み終えて前のテーブルに置き、隣にいた二号を何となく膝に乗せる。気持ちいい手触りを、ぷにぷに楽しんでいると。
「潤、奏斗に会うの楽しみにしてるって」
「ん?」
「さっき姉貴から連絡来てた」
「そうなんだ。可愛いよね、潤くん」
「ん。まーね。可愛いけど」
「けど?」
「奏斗のこと、好きすぎ」
「嬉しいけど」
何だか良く分からない仏頂面に、笑ってしまいながらそう言うと、四ノ宮は息をついて、苦笑い。
「奏斗のこと好きな奴はいっぱい居るもんね」
「つか、それは、そっくりそのまま返すけど」
オレは今日も笠井と話して、めちゃくちゃ好きなのも聞いたしな。
「んー? ……まいいや。とりあえず片付けよっか」
「ん」
二人でマグカップとコーヒーのサーバーを洗って、歯磨き等諸々、寝る準備を終える。
寝よ、と腕を引かれて、また一緒に寝るのか、と思いながら。でも今更断るのもなんだかなあと、そんなことをまた思いながら寝室に連れていかれる。
「あのさ、四ノ宮」
でもやっぱり言ってみようと、オレは口を開いた。
「うん?」
「今更って思うかもだけど……オレ、ちゃんと答えずに、こういう風にしてるのは、変だと思うんだけど」
「そう?」
「だって、普通しないと思うし」
「その普通って、何?」
話してる間に寝室について、ベッドの端に並んで座らされる。
「普通って言ったら、普通……」
「んなこと言ったら、オレらの全部普通じゃない気がするけど……でも、それでもオレは奏斗が好きだし、一緒に居たいし」
「――――」
「今まで何度も抱いてて、それも確かに普通じゃないかもしれないけど、でも、別に普通である必要もないでしょ。人それぞれ、皆違うよきっと。『普通』なんて、無いよ」
「――――」
もう四ノ宮って、ほんと……カウンセリング向いてるとかも思うし、詐欺師も向いてると思うし。ホストとか……。
口で勝てる気がしないんだよな。どう言ったらいいんだろうと思っていると、ふと頬に触れられて、覗き込まれた。
「ちゃんと好きって言ってからは、初めて触るんだけど」
四ノ宮がすぐ近くから、オレを見つめる。
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