【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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きづいたら

「けじめ」*奏斗

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「あの時は、四ノ宮がほんと心配しまくりだったから……」

 大地はそんな風に言って、クスクス笑いながら、オレを見つめる。

「……あー。ごめん、な? 大地にも心配、かけたよな」
「大丈夫です。もとはと言えば、オレのうかつな言葉からってとこも、あるし……」
「お前のせいじゃないから」
 そう言うと、大地はちょっと苦笑いで、困ったように頷く。

「……にしても、四ノ宮って、ほんと変な奴ですよね」

 変な奴?
 ……って、思うってことは。

「……大地って、四ノ宮と仲いい?」
「え、全然? 仲良くはないですよ」

 言いながらも、何だか笑っている大地。

「あいつの王子説って嘘だと思いません? どこが王子だって感じ。皆、まんまと騙されてますよね?」

 そんな風に言う大地に、苦笑してしまう。
 この感じだと……大地の前では、素なのかな、四ノ宮。
 
「まあでも、カナ先輩のこと大好きっつーのは一緒だから、とりあえずそこは認めてますけど……ってこういうこと勝手に言うとヤバそうだな……」

 大地が最後の方ぶつぶつ言ってるけど。
 ……カナ先輩のこと大好き、って……。何それ。

「カナ先輩?」
「え?」
「なんか顔、赤いですけど」
「ぇ。赤くないけど」
「――――……」

 赤くなってた? オレ。
 ちょっと待って、何で。

「……今日暑いよね」
 言いながら、手でパタパタしていると、オレをじっと見ていた大地が「もしかして」とオレをさらに覗き込む。

「な……なに?」
「告白でもされちゃいました? カナ先輩、大好き、とか」

 大地は、あはは、と笑って言うけど。
 
 ……そうなんだよ、もう、こいつ、ほんとにこういう奴なんだよね……。
 鋭いし。……すぐ口に出すし。
 はあ、とため息をついてしまった。

「え。もしかしてほんとにそうですか?」
「ち、ちが……」
「あー、つかあいつ、ちょっと前まで認めなかったくせに、早やー」

 オレの否定などものともせずに、話を進めてく。

「まあ必死って感じですかね、あ、でも、カナ先輩は、ちゃんと考えた方がいいですよ、王子はまやかしですからねっ」

 クスクス笑いながら、大地は言う。

「あー、でも……オレ、何でかあいつのこと、気に入ってはいるんですけど。まあ同志ですしね」
「……同志って何の??」
 不思議に思って聞くと、大地はニヤッと笑って、オレを見下ろす。

「えーと。カナ先輩を守る同志? みたいな。んー、合ってるかな。カナ先輩を可愛がる会? とか?」
「…………」

 何言ってんだ、もう。どう返せばいいのやら。

「あ、オレ、四ノ宮のこととか、そこら辺だけは鉄壁の箝口令をしくんで、安心してくださいね」
「――――……」

 もう辛うじて頷くしかない。

「……カナ先輩」
「ん?」

「オレ、こないだ、カズ先輩と話したんですけど」
「……」
「……もし、カナ先輩ができるなら、話、聞くのもありかなと思いました」
「――――……」

「って、もちろん、無理はしないでほしいですけど」
 大地はそう言って、にっこり笑う。

「けじめ、つけるのも、ありかなって」
「――――……」

 大地の言葉を聞きながら、オレは、ん、と小さく頷いた。



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