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きづいたら

「ドア一枚」*大翔 ※

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 ……めちゃくちゃ涙目、可愛いけど。もうイかせてあげよう。
 ぺろ、とその涙を舐めたその時。がたっと、ドアから音。
 ドアを開けようとして、鍵に阻まれたらしい。

「あれ、鍵かかってますね」
「マジ? ユキ、居るのかな?」

 ――佑と相川先輩の声だ。
 奏斗は、ドアが音を立てた時に大きく震えたきり、口元抑えたまま、目を見開いている。

「ユキ、いる?」

 奏斗は、赤い顔。息、あがって、涙目のまま、オレをじっと見つめて、小さく首を振ってる。

「あ、四ノ宮います」
 オレがそう言うと、「あ、大翔居た。そこに雪谷先輩も居る?」と佑の声がする。

「そろそろ部屋に戻ろうってなってさ。帰ってこないから」
 続けて、相川先輩の声も。

「今、先輩が個室に入ってて。腹痛いって」

 奏斗に睨まれるが、それしかないと思うんだけど。
 触れたままの、もうすぐイきそうなそれは、手の中で震えてる。
 奏斗もビクビクしてるし。息をめちゃくちゃ抑えて、涙目のままで。

 あー。やば。……めちゃくちゃそそる。

「……っ……!」
 奏斗のを少しだけ握ると、びく!と震えて、眉を寄せてオレを睨む。

「先輩が出てきたら、連れて帰るんで。先、戻っててもらっていいですか?」
「りょーかい、ユキ、平気そう?」
「多分」

「大翔がテーブルに置いてったスマホ、オレ持ってるからなー」
「ああ、サンキュー」

 二人は、多分何も疑わず、離れていった。
 良かった、開けてって言われなくて。

 固まったまま、静かになるのを待ってたオレ達は、少しして、はー、と息をついた。

「ちょっとびっくりしたね」
「も……っば、かみ、や、いいかげんに、し、ろよ!!」

 顰めた声で言って、めちゃくちゃ睨んでくる。
 ……でも、もう、なんかほんとに可愛く見えてしまう。

「ごめん。なんか我慢してるの、可愛くて」
「……っバレたら……どうす、だよ」
「今のじゃバレないよ」
「……友達とドア一枚のとこで……こんなことする趣味、ないからな……!」
「ん。今、終わらせるから」

 ぐい、と抱き寄せてキスしようと顔を傾けると、奏斗が顔を引く。

「……っ離せば落ち着くから、もう離し……ぅ、ん……っ」

 抱き寄せて口づけて、奏斗のを愛撫して抵抗を奪う。

「……っん、ん……っ」

 すぐに感じるところ、刺激すると、は、と息を抑えて、ひく、と喉が反る。快感に弱いとこ、可愛い。

 ちゅ、と首筋に口づけると、びくん、と震える。

「……っぁ……っ……ッ……」

 少しの刺激で、オレの手の中で達した奏斗は、は、と背を壁についた。
 手で口元を抑えて、オレを睨む。

「……ッ……馬鹿」
「ん。ごめん。……ちょっと待ってて」

 奏斗から離れて、水道で手を流す。手を拭いてから、奏斗の側に戻って、ぎゅ、と抱き締めた。

「……ごめん。なんか。ヤキモチかと思ったらすげー可愛くて」
「ち、がうし」

 違うって言うけど。

 オレが、里穂と神社に行くのを、楽しそう、とか。
 そんなのヤキモチ以外に何があんの。と思うと。違うっていう奏斗も、なんか愛しい。

 でも、認めたくないんだろうと思う。
 ヤキモチって認めたら、オレのこと、好きみたいってことになっちゃうもんな。

 だけど、そういうのを絶対に認めたく無さそうな奏斗が、それを口にしたって思うと……なんだか胸の中が、じんわり熱くなる。



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