【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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きづいたら

「最悪」*大翔

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◇ ◇ ◇ ◇

 最悪。
 ……はー。

 夕食後、集まって、風呂の順番をきめた時。まず、部屋でシャワーがいい奴―?と先輩が聞いた。
 どっちでもいいよ、という人達が数人。
 じゃあ温泉入りたい奴―と言ったら、奏斗も温泉がいいなーと手を挙げてる。手あげんなと思いながら、とりあえず、オレも挙げておく。

 じゃあ、三人ずつで行くかってことになって、もう端っこから三人ずつで組にしていって、あっという間に決まってしまった。
 よりによって、そん時、冴島さんは奏斗に張り付いて喋ってたから、まさかの冴島さんと。あと、もう一人は佑。

 オレは端っこで最後だったので、相川先輩と二人に決まった。
 ちっ。佑とオレが反対に立ってたら、オレがそっちだったのに。

 何か理由つけて、佑と替わってもらおうかと思ったが、そんな不自然なことしたら、絶対怒られる……。あー、どうすっかな。あ、そうだ。と思って奏斗に近づいた。

「雪谷先輩、オレと替わります?」
 こそ、と奏斗に囁いたら、え、何で? と怪訝そうに聞かれる。
 ……冴島さんがやばそうだからとは言えず。

「オレ相川先輩とだから、その方が、良くないです?」
「……」

 まだ風呂のこと言ってたのかという視線なのは、ものすごく分かる。
 ため息とともに。

「ああやって決めたのに、オレ達だけそんな理由で変えられないだろ」

 と、また優等生なことを言ってくる。
 そんなのどーでもいいから、チェンジしましょうよ、と言いたいのだが、冴島さんがふらふらーと寄ってきた。

「なあ、ユキ、オレら最後の方だし、売店行かない?」
「あ、イイですよ。おみやげ買いたいので」
「あ、オレも行きまーす」

 じゃな、とオレをちら見して、奏斗が離れていく。相川先輩もついてったので、もうアレにはついてかなくていいかなと、ため息。

「……何、どーしたの、大翔」

 オレが、部屋の窓のとこに座って、はー、と息をついてると、祐が寄ってきて、可笑しそうに笑った。

「何か疲れてる?」
「……いや。なんか色々うまくいかないよなーって思って」
「何が?」
「……いや、なんか。色々?」
「なんだよそれ」

 苦笑いで見下ろされる。

「ああ、そーだ。祐、雪谷先輩と、風呂一緒だろ」
「うん。そう。……ていうかさあ……あの決め方どうよって気ぃしない?」

 何だかんだと、風呂やら買い物やらで、誰もいなくなっていたので、祐が苦笑しながらそう言ってくる。

「オレ、雪谷先輩はいいけど、冴島さんとか、全然喋ってないし。その三人で風呂って……いいなあ、お前、相川先輩で。そっちが良かった」
「チェンジする?」
「……いやー……でもなんでチェンジしたのって言われても困るしさぁ」

 ……奏斗と同じようなこと言ってるし。


「あのさー佑」
「ん?」
「何も聞かず、聞いて」
「は??」
「雪谷先輩の近くに居てくれよな」
「……はい?」

「冴島先輩と二人にすんなよ」
「…………ああーーなるほど」
「?」

 なるほど、と返ってくるとは思わなかった。

「あれだろ、さっき、ユキが可愛い可愛いってヤバかったからだろ」
「……まあそう」
「何、本気でヤバそうな気ぃしてんの?」

 クスクス笑う佑。
 ……まあきっと本気ではとってない。

「だって、なんか雪谷先輩って、やばそーじゃん。なんか抜けてるし」
「えー? 抜けてるかなあ? しっかりしてそうだけど。何その評価」

 苦笑いの佑に、オレは、「とにかく任せた」と言うと。

「了解しましたー」

 …………絶対ぇこいつ、本気で取ってないな、と思いながらも。
 ちょっとそれ以上、繰り返す気にはなれなかった。
 

 はーくそ。
 温泉とか、帰ったら死ぬほど連れてってやるから、部屋でシャワー浴びればいいのに。はー。もう。


 うんざりなため息をつきながら、お前面白いな、とか笑ってる佑に、ほっとけ、と呟いた。






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