【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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きづいたら

「断固決意」*大翔

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 途中、休憩を一度挟みながら午後のゼミの活動を終えた。十八時。もうそのまま食事らしい。普段のゼミもよく時間が延びることもあるけれど、まあ……五時間近く、集中することってあまりない。
 しかも今回みたいに、皆の意見を聞いて、あれこれ意見を出し合うっていうのを続けるのは、結構疲れる。

 さすがに、だるいな……。座りっぱなしだし。
 皆がバラバラと立ち上がって、教室を出ていく中、ん、と腕を上げて、背筋を伸ばした。

 す、と奏斗が、横を通り過ぎて行った。

「――――……」

 やっば……。自分が今しようとしたことに、ちょっと焦る。
 咄嗟に、奏斗の手、掴むとこだった。危なかった。

 掴んだら絶対怒られるよな。そう考えながら、ふ、と息をついた時、「大翔くん」と里穂が側に来た。
 なんとなく、視線を感じたような気がして、奏斗を振り返ったけれど、奏斗は、もうドアを出ていくところだった。

「ん、何?」
 里穂を見上げると、「疲れたねー」から始まって、普通の会話が続く。
 あ、別に用がある訳じゃないのかと納得しつつ、隣の席の佑と一緒に立ち上がる。美優もやってきて、四人で歩き始めた。

 とりあえず荷物を置いてから食堂に行くことになって階段から廊下に進むと、先輩達もまだ前を歩いていた。

「なんか首の後ろ虫に刺された気がする。かゆい……」

 とか、奏斗が言ってる声がする。

「え、あの部屋虫いた?」
「わかんない。蚊かなあ?」

 とか言いながら、うなじの辺りを触っている。
 そんなのを聞きつつ、なんとなく一年と話しながら廊下を進む。
 
 食堂に行って、夕飯。
 今回は一年の側に、椿先生と、三年と四年が座った。

 ゼミに良く参加するる先輩は、ゼミの後の食事も参加だし、当然どんな人かも知ってるが、あまり知らない人もいる。

「あれですね、四ノ宮といい、ユキといい、顔いい奴、多いですね」
「はは。まあそうかもね」
 先生が曖昧に頷いている。

「まあ、先生がイイ男なのも、学内で有名ですけど」
「そう?」
「そうですよー」
「はは。光栄だけど。別に普通でしょ」
「普通じゃないですよ」

 冴島という四年生は、ゼミではまだ見たことがあるようなないような、そんなレベルの人。ちゃらい。かな。見た目。このゼミにはちょっと珍しいタイプだけど、まあ先輩達の中で一番モテそうと言ったらこの人かも。

「四ノ宮って、モデルとかやってんの?」

 そしてとても気安い。
 まあ。オレの表バージョンの適当な合わせ方も相当なので、今日何回か話してる間に、気安く話しかけられる感じになってしまった。

「やってないですよ。無理です、モデルなんて」
「そうか? いけそう。ていうか、今、あの雑誌にのってますとか言われても、ああそうなんだって言うね、オレ」

 はは、と苦笑していると。

「ユキなんてアイドル出来そうだもんな。超可愛いし。カラオケもうまいしな。売れそうだよなぁ、アイドルで」

 ムカ。
 この人要注意。奏斗のこと好きすぎ。
 ……ああそっか、今年はあんまり顔出してないけど、去年来てれば、奏斗とは会ってんのか。なんにしても、要注意。

「ああ、そうだ、皆、食べながら聞いてー」
 皆が椿先生を見たタイミングで、先生は話し始めた。

「ほかの団体も何組かいるから、お風呂の順番を決めたんだけどね、うちのゼミは、十九時から二十時までの間になったから。そこまで広くはなくて、シャワーが三台しか無いから、うまく順番決めて、まわさないとね」
「先生はどうするんですか?」
「僕は部屋で入ろうかな。ああ、あと、皆の部屋にもシャワーはついてるから、そこも使いたければ使っていいよ。そっちは別に時間はないし。でも、大浴場は温泉らしいから入りたい人はそっちにどうぞ」

 はーい、と皆が頷いている。
 まあ、圧倒的に男子の方が多いから順番と時間きめなきゃいけないのは男子だな。


「じゃあ後で順番きめようぜ」

 三、四年の先輩たちがそう言った。
 とりあえず決めるとこには居よう。なんとしても、怪しい奴と奏斗が一緒は断固、拒否しよう。

 特に冴島さん。この人は、風呂、絶対ぇ一緒に入れさせない。


 夕食を食べながら、断固決意した。





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