【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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ずっとそばに

「桁違い」*奏斗

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 四宮に連れて来られた店は、なんというか。初めてという位の高級感のある店だった。

 今までなんとなくだけど、オレの家ってわりと裕福な方なのかなと思ってたけど。必要もないのにあんな高そうなマンションに一人暮らしさせてくれるような。……でもなんか、四ノ宮んちって、ほんと、桁違いな感じがする。

 ……ていうか、家にパーティーするとこがあるって、何だろ? もう、テレビで見るような豪邸ってことなんだよね、きっと。見てみたいけど、なんかちょっと怖いような。まあ、葛城さんが居て、お手伝いさんたちが居るって言ってたし。その時点ですごいと思ってたんだけど……。

 瑠美さんもなんかゴージャスな感じで、潤くんも、ほんと、おぼっちゃんていう感じ。嫁ぎ先とかもお金持ちなのかなーという……ちょっと、世界の違いを感じたというか……。


「奏斗、疲れた?」
「……ん?」

 可愛かった潤くんと、めちゃくちゃ美人なお姉さんと別れて、葛城さんの車の中。ちょっとぼーとしてたら、四ノ宮に話しかけられた。

「疲れ……うん、ちょっと。雰囲気にのまれたって感じかな……別に体力使ってないのにね」

 そう言うと、「そっか」と少し苦笑い。

「ありがと、一緒に行ってくれて」
「……いや。こちらこそ。ほんとにいいのって感じなんだけど」
「一緒にパーティー出てって、オレの我儘じゃん。出てくれるだけで嬉しい」
「……なんでそんなに一緒に出たいの?」

 ずっと不思議に思ってたけどタイミングを逃してたことを聞いてみたら、四ノ宮は「一緒に出たいからだけど?」と、きょとんとした顔を見せた。

「パーティー退屈なんだよ、マジで。奏斗が居てくれたら、楽しいじゃん」
「そんな理由?」
「スーツ姿見たいし」
「……それも理由なの?」

 ちょっとどーなの、と、悩みながら聞いたら、葛城さんが運転席で少し笑った気配。

「……何笑ってンの、葛城」
「いえ、別に……」
「別にじゃないし」

 四ノ宮がツッコんでるけど、葛城さんはさらっと流して、ちらっとバックミラー越しにこっちに視線を流してきた。

「それより夕飯はどうされますか? 行きたい店があれば、お連れしますが」
「……葛城も一緒に食べるか?」

 スルーされて若干の沈黙の後、諦めたのか、四ノ宮は話を受けてそう言った。

「いえ、まだ屋敷でやることがあるので、お送りしたら帰ろうと思ってます。大翔さんたちの帰りは、場所によってはタクシーを呼びますが」

 その言葉を聞きながら、「場所によってはタクシー」かぁ、とぼんやりと。
 大学生がご飯を食べに行ってタクシーで帰るってあんま無いよな。大体駅まで行って、電車だし。……四ノ宮とか葛城さんの中では当たり前みたいだけど。

「奏斗、何食べたい?」
「……んー……」

 なんかものすごく、高そうな場所で疲れちゃったから……。

「ラーメン……がいいな」
「ラーメンか。いいよ、店決まってる?」
「ラーメンならどこでもいいよ。葛城さんが帰るのに楽などこか駅とかで降ろしてくれれば」

「私は大丈夫ですよ?」
「でも、駅の周りならラーメン屋さんてどこにでもありますし。電車で帰ればすぐなので」

 そう言ったら、葛城さんは少し黙ってから。

「大翔さん」
「ん?」

「雪谷さんをちょっとは見習って下さいね」
「は? 何を?」
「この気遣いですよ、心配りといいますかね……」
「……気遣いねー。まあそう言われたら何も言えないよーな……」

 言いながらちょっと面白そうにオレを見る。

「雪谷さん、困ったことがあったら何でも言ってくださいね。私ができることなら何でも」
「あはは。ありがとうございます」

 なんでもってなんだろ。そう思ったけど、笑いながら返すと、四ノ宮はふ、とオレを見た。

「葛城じゃなくて、まずオレを頼っていいから」
「…………」

 何を張り合っているんだろうか。……気のせい? 張り合ってるみたいに見えるんだけど。

「ね?」
「……」

 頷かないと終わらなそうなので、辛うじてちょっぴり頷いて見せると。
 前で葛城さんが苦笑してる雰囲気が分かる。



 



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