300 / 557
ずっとそばに
「心配って」*奏斗
しおりを挟む【side*奏斗】
四ノ宮からのメッセージを見て『一応連絡するけど、あわせなくていいからね』と入れたけど特に返ってこないので、スマホをテーブルに置いた。
何だかなぁ、あいつ。
……絶対、分かってやってる。そう思うと、なんかムカつく。
ただ「来いよ」だけだと、オレが断ると思ってて、「犬もどきと待ってる」とか言ったり。オレが「帰りは別で良いじゃん」てことを言うと「置いて帰らないで」とか、なんか急にちょっと可愛い感じ? ……いや可愛くないけど。 なんかその、オレが断りにくいとこを、絶対分かってるような。……なんだかなあ、もう。
オレがどういうのに弱いかとか、全部バレてるみたいで、なんかムカつくし。……あいつが分かってやってること、オレも分かってるのに、なんか言うままになってしまうのも、なんだかもう、意味が分からない。
一緒に帰ったら、一旦自分ちに帰るにしても、結局四ノ宮の部屋に入れられて、一緒にお茶飲んで一緒に寝る、みたいな。当たり前みたいに触れられてキスされて。……大した抵抗もできずに抱かれ……。わー、もう何思い出してるんだ、オレの馬鹿……!
友達の横で、とんでもないことを思い浮かべてしまって、狼狽えていたら。
「え、原島、彼女出来たの?」
そんな小太郎の言葉に、ぱ、と顔を上げる。
「そう。土曜に告白してさ。OKもらえたんだ」
「えー、だれだれ?」
「皆は知らないよ。バイト先の子だから」
「へえ。いいなあ」
小太郎は素直にそんな言葉を口にする。
「すごく可愛い子だから無理かと思ったんだけど」
「つか、即のろけか!」
即ツッコミを入れてる小太郎に苦笑いを浮かべながら、原島はちょっと頭を掻く仕草。
「でもほんと女の子らしい子でさ。ほんとはバイト帰りとかも暗いと心配で」
「おー、付き合ってすぐでもう、過保護か……」
「だって夜道とか、心配じゃん。今日もバイトから帰ったら連絡してねって言ってるんだけど……」
言いながら、スマホを見る原島。ついつい聞きたくなってしまって。
「……それってさ、夜道が心配なのってさ」
「ん?」
「具体的にはさ、どんな心配してるの?」
思うまま聞いてしまったら、皆がふっとオレに注目。
翠と小太郎がオレを見て、クスクス笑う。
「今更、何っていう質問なんだけど」
「彼女居たことのない奴のセリフみたいだけど?」
ほぼ同時に言われたそのセリフに、苦笑い。
皆、そんなわけがないと思ってるみたいで、それ以上はツッコんでこないけど。
……彼女は、居たことない。うん。多分一生できないと思う……。
心の中でつぶやきつつ。はは、と苦笑いを浮かべると。
「痴漢とかも心配だし、怖い奴とか居たら困るじゃん」
そのセリフに、うんうん頷いておく。
……まあそうだよね、心配ってそういうことだよね。しばらく、原島の話を聞いて、一通り話し終わった後、ちょっと聞いてみることにした。
「……あのさ、小太郎さ」
「ん?」
「オレによく、気を付けて帰れよって言うじゃん」
「ああ、それ? うん。だって心配なんだもんな」
「ていうか、それ言ったら私もユキに言っちゃうよね」
あは、と翠が笑う。
「そうだよ、それ、ほんとならオレが翠に言うセリフでしょ」
「だってー、なんか、私よりユキの方が心配で」
「何それ」
「だって……なんかユキって、可愛く見えちゃうんだもんなあ」
クスクス笑って翠が言うので、オレが思わず首を傾げてしまうと、横で小太郎も、分かる、と笑う。
「そーだよ、なんか、すごい変な奴に狙われたりしたら、困るし」
「あー……なんか、ユキは分かる気がする。あ、それでさっき、聞いたのか?」
小太郎と原島に苦笑しながら言われたところに、歌い終えた斎藤が戻ってきた。
91
🧡💛💚💙💜💚🩷🩵
お読みいただき、ありがとうございます♡
🩵🩷💚💜💙💚💛🧡
感想やリアクションが、色々な意味で、作品への後押しになります。
なにげないひとつの「ぽちっ」が、私のやる気も後押ししくれています(´∀`*)ウフフ
いつもありがとうございます🩷
投稿サイトが増えてきて全部でお知らせとかが大変なので、
Xでまとめてすることが多いです。
Xノベルとか、短いBL創作とか、これから色々していこう~と思っているので、
フォロー&応援お願いします🩷
🩵「悠里のX」こちら✨です🩵
お読みいただき、ありがとうございます♡
🩵🩷💚💜💙💚💛🧡
感想やリアクションが、色々な意味で、作品への後押しになります。
なにげないひとつの「ぽちっ」が、私のやる気も後押ししくれています(´∀`*)ウフフ
いつもありがとうございます🩷
投稿サイトが増えてきて全部でお知らせとかが大変なので、
Xでまとめてすることが多いです。
Xノベルとか、短いBL創作とか、これから色々していこう~と思っているので、
フォロー&応援お願いします🩷
🩵「悠里のX」こちら✨です🩵
お気に入りに追加
1,686
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
第12回BL大賞奨励賞いただきました!ありがとうございます。僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して、公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…我慢の限界で田舎の領地から家出をして来た。もう戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが我らが坊ちゃま…ジュリアス様だ!坊ちゃまと初めて会った時、不思議な感覚を覚えた。そして突然閃く「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけにジュリアス様が主人公だ!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。だけど何で?全然シナリオ通りじゃないんですけど?
お気に入り&いいね&感想をいただけると嬉しいです!孤独な作業なので(笑)励みになります。
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる