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ずっとそばに

「ストーカー?」*大翔

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 五限が終わって、駅前から五分位離れたビルの中にできた焼き肉屋に到着。
 外に列が出来ていたけれど、もう中で待っていることを伝えて、店内に入れてもらった。

 オープン初日、張り切ってる感じで、店員の元気な挨拶が飛び交う。
 中を見渡すと、サラダバーやドリンクバーが中央にあって、厨房が丸見えになってる。開かれてて、良い感じ。

 元々入ってた四人と、今一緒にきた四人で、八人掛けのテーブル席だったが、隣との間は完全に壁があるし、換気がいいのか、煙もそんなにはひどくない。

「良い感じの店だな」

 オレがそう言うと、「肉もうまいよ」「サラダもー取っておいでよ」と先に食べてた皆が言う。

「でも値段結構するんだよねー。今日は全品安いけど」
「でもいいよねえ?」

 今日は女子三人。男子五人。女子が来るとは思ってなかった。
 隣に座ったのは、まあ、わりとよく話す子だけど……多分ちょっと意識されてる子なので、ちょっと微妙。まあスルーするしかない。
 なんかもう、奏斗以外に構う気ないしな……。
 そんなことを思ってるのは知らないその子は、大翔くんは、と色々話してくる。
 色々話しながらも、周りの男子にも話を振りつつ、メニューで注文を決める。注文を終えて、立ち上がった。

「サラダバー行く」
「じゃあオレもー」

 と後から一緒に来た皆が立ち上がる。

 サラダバー色々種類あるな。……ドレッシングも、普段見ないような味のも並んでる。
 ……奏斗どれが好きかな。今度ここ、連れてこようかな。どんな味が好きなのか知りたい。

「香織ちゃんて、大翔狙いだよなー」
 隣に来て、こそ、と囁かれる。「香織ちゃん」は隣に座った女子の名前。

「そうなのか?」
「えー見てれば分かるじゃん」

 ……分かるけど。分からない振りが一番楽。

「嘘だろ? 鈍い……ていうか、モテすぎて、麻痺してんのか」
「そういうことじゃないよ」
「だってもうバレバレじゃん、大翔くん大翔くんってずっと」
「つか、お前声でかい」

 そう言った時。隣に居た人が、ふっとこっちを見た。

「あ。四ノ宮じゃん」
「え。あ。相川先輩……」

 この人が来てる、てことは……。
 思わず見える範囲を探してしまう。

 相川先輩は、オレを見て笑顔。

「大翔って聞こえたからさ。奇遇だな~……っつか、安いからか。お前も並んだの?」
「いや、オレ今日五限なんで、四限の友達が並んでて」
「あぁ、そうなんだ」

 はは、と笑って、相川先輩は、右方向に視線を向けた。

「オレは、翠とかユキとかと並んでてさ」
「そうなんですね」

 居るのか、ここに。……ああ、じゃあ、連れて帰れるかな。……つか、時間合わせないとさすがに無理か。テーブルに行ったら嫌がるだろうし。先走って考えていた時。

「う、わー、何でお前、居んのー??」

 背後から聞こえてきた、聞き慣れた声。
 ……ぷ、と笑ってしまう。

「もしかして、ストーカー……??」
「……何でですか」

 空のグラスを持ったまま、オレを見上げて、とっても嫌そうな奏斗の顔に、苦笑い。

「お互い、オープンの日に並んで入ろうなんて おかしな友達が居るってことじゃないですか?」
「あ、オレが言ったの、それ。今日四限だし、並べば入れるかなーって。おかしなとか言うなよ」

 べ、と舌を出した奏斗に、軽く睨まれる。
 隣で、相川先輩も笑ってる。


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