【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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ずっとそばに

「買って良かったかも」*大翔

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 午前の授業を終えて、食堂に来た。

 今日はもう学校では奏斗には会わないかな……。
 昼食を終えても、見かけないので、そんな風に思う。

 少し前まではそこまで気にもしていなかったから、会っていたのかどうかも怪しいけど。……苦手だったから、たまたま見つけても話しかけるとか考えることもなく、スルーだったしな。

 ……もう今日学校で会わないで、夜はお互い別で食べるとなると、奏斗は完全に自分の家に帰るだろうな。今朝、鍵は無理無理持たせたけど、絶対使わないだろうし。
 早く帰って、どこかまで迎えに行くか? ……って過保護な母親かって絶対言われる。

 宇宙人とか、母親かとか、……あと何言われたっけ??

 
「――――……」

 周りであれこれ話しかけてくる周囲に適当に返しながら、オレはスマホを手に取った。
 でもそこで、何ていう言葉を入れるか考えて、手が止まる。

『先帰ったらオレんちに入ってていいよ』

 ……これは、違うか。……これ入れても、絶対オレん家には、入らないよな。すぐ、何でだよって返ってきそう。
 何てメッセージを入れればいいか。うまくオレん家まで、誘導できたらいいんだけど。

『寝る準備して、待ってて』

 これは? ……絶対見た瞬間、嫌な顔しそう。
 返事も、来ないかもな。

「ね、大翔、何、険しい顔してるの?」
 隣に座ってた女子に、クスクス笑われながら、見つめられる。

「……険しい顔してた?」
「うん。ちょっとね」

 そう言われて、オレは自分の顎に触れて、ちょっと息をつく。
 そんな顔に出てたかな? と自分に呆れながら、スマホを見つめる。

 あ。
 ……かなり不本意だったけれど、これなら来るかなというのを思いついた。


『また夜、ぬいぐるみ、抱きにおいでね?』

 とりあえず、これが一番マシな気がして、送ってみた。
 実際送ると、やっぱり想像以上にものすごく不本意だった気がして、取り消しをしようかと思った瞬間、既読のマークがついてしまった。

 少しの間、返信が来ない。

 ……あー、何考えてんだろ、今頃。
 呆れてんのかな。やっぱ今の入れなきゃ良かった。

 すると、手の中で、ぶ、と震えたスマホの画面を見ると。

『分かった』
 という言葉と、犬の絵文字が奏斗から送られてきた。

 ――――……。

 知らずに、ふ、と微笑んでしまう。
 顔が綻んだことに気づいて、ふーと息をつく振りをして、顔を引き締めた。


 ……あの犬もどきの、変な顔して笑ってる、ちょっと間抜けな、ぬいぐるみ。
 買って良かったかも。……なんて、思う自分に、ちょっと呆れた。
 




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