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ずっとそばに

「お礼」*奏斗

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 とりあえずいつ渡せるか分かんないから、真斗へのおみやげは賞味期限が長いものを買うことにした。

「何買うの?」
「お煎餅とクッキー」
「……お煎餅?」
「……何?」

 四ノ宮にクスクス笑われる。

「お、がつくのが可愛い」
「…………つけない?」
「煎餅。お煎餅…… 煎餅だね」
「そうなの……??」

 うーんと考えながら。

「……おせんべ、て言ってた気もしてきた。なんかそういう歌、無い?」
「しらない」
「おせんべ焼けたかな、みたいな歌」
「あるような……ないような……」

 言いながら、クッと笑い出す。

「つか、なんか不愉快。なんで笑うの」

 むー、と四ノ宮を睨んでると。

「オレは超楽しいけどね。どっちにしても可愛くて」
「……つか、オレのこと、可愛いって言うな」
「じゃあ可愛いこと、しないでよ」
「してないし」

 ちょっと睨みながら言うと、そう? と楽しそうに笑って、四ノ宮はオレを見下ろす。

「……オレ、あっち見てくる」
「はいはい」

 四ノ宮から離れて、まだ見てなかったキーホルダーとかのコーナーに移動。
 ……可愛いとか言いすぎ。あいつ。意味がわかんない。

「――――……」

 ……四ノ宮に、何かお礼、と思ったけど。
 四ノ宮にあげたいものも、ここには無いな……。

 彼女とかだったら、おそろいで持つとか、ありなんだろうけど。
 ……うーん……だめだ、また別のものでお礼しよう。

 何がいいのかな。いまいち、分からない。
 ……ていうか。ほんとになんか。……四ノ宮が何が好きで、何が嫌いかとか。……なんかむしろ、普通のことを知らない気がする。

「奏斗、なんか買うの?」
「あ、ううん。いいや」
「良いの?」

「――――……四ノ宮、なんかここでほしいものある?」
「ん? オレが欲しいもの?」
「うん」
「んー? どうだろ……奏斗は? ある?」
「オレのは良いんだよ、つか、お礼にって思ったけど、やっぱないよね」
「……ああ、じゃあ。いっこ、買ってもらおっかな」
「無理に選ばなくていいよ?」
「無理にじゃないよ……えーと……」

 四ノ宮は並んでる中から、ここのキャラクターのついてるのを一つ取った。

「これが良い。鍵につける」
「……」

 さっき、オレが選んだ笑顔の犬もどきがついたキーホルダー。

「……これでいいの?」
「うん。大事にするから」

 クスクス笑って、四ノ宮が言う。

 ……なんか、四ノ宮の普段持ってる持ち物と、ものすごく違うんだけど。
 黒とかそういうのが多いのに、こんな可愛い顔した犬みたいなキャラクターが、めちゃくちゃ笑ってるキーホルダー……。

「これ、ほんとに欲しい? つけるの恥ずかしくない?」
「奏斗がこの顔選んだって思うとちょっと面白いから。家の鍵なんか、誰にも見せないし。……あ」
「……? 何?」

「……それ二つ買ってくれない?」
「ん? 同じの?」
「ん」
「いいけど……これでお礼になる?」
「十分」

 四ノ宮はなんだかご機嫌で、クスクス笑いながら頷く。






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