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ずっとそばに

「望んでるのは」*奏斗

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 順番が来て、観覧車に乗り込む。少しずつ、高さが上がっていく。

「やっぱ、昼と違うね。超綺麗」

 昼に見える色んなものが見えない代わりに、色々なライトがキラキラしてて、綺麗。

「一周一時間とか乗ってられたらいいのにね。ずっと見てられる」
「綺麗なの好き?」
「ん。そだね」
「そっか。じゃあまた、どっか行こ」
「……ん」

 またどっか。少しだけ、引っかかったけど。
 ここで否定することもないのかなと思って、曖昧に頷いた。

「……四ノ宮は、これに何時に乗りたかったの??」
「んー。あと二分位」
 腕時計を見て、四ノ宮がそう言う。

「二分で何時になるの?」
「二十時五十分」
「ふうん……?」
「そう。閉園前の十分」

 何でその時間に乗りたかったんだろ。
 よくわかんないな、と思いながら、少しの間、外の景色を眺めていたら。

 突然目の前に、花火が上がった。

「……うわ、何……花火?」
「天気が良くて上空に風が無ければ、今の時期の週末いつもやってるんだってさ」

 下で見るより、花火が近い気がする。

「――――……」

 すごい。綺麗。
 しばらく見ていると。

 何だか、どうしても、疑問がわいてくる。


 ――――……観覧車で、花火見るとか。それが何で、オレとなのか。


「……意味、分かんない」
「え?」

「…………女の子、連れてくればいいじゃん」
「――――……」

 なんか綺麗すぎて。
 良く分からないけど。……泣きたくなってくる。

 何でだか全然、分かんないけど。


「……奏斗?」
「四ノ宮はさ……何で、オレと居るの?」
「……何でって」

「隣だし……ゼミ一緒だから……たまに帰るの一緒とか、ご飯たまに食べようとかなら……分かるんだけど」
「――――……」

「……今の感じは……なんか……やっぱりおかしいかなって思う」
「…………それは、ただの知り合いならってことだよね」

「……だって、知り合いじゃん」

 四ノ宮は、すごく嫌そうにオレを見る。

「……花火。すぐ終わっちゃうよ。見たら?」
「――――……うん」

 ため息交じりで言われて、空に視線を戻す。


 ……オレが 今言ってることも……おかしい気がする。
 ただの知り合いに、一緒に居る意味を聞くなんて。

 …………何が聞きたいんだ、オレ。

 なんて答えてほしくて、聞いてるんだろう。
 ……明確な、言ってほしい答えが、あるわけじゃ、ないけど……。

 四ノ宮に、なんて言って、ほしいんだ。
 

 ただの知り合いだから、もうちょっと、一緒に居る時間減らそう、とか。
 ……オレを追いかけてるみたいな発言、無くす、とか。

 望んでるのは、それ……?


「……あのさ。オレは、奏斗を連れてきたいから、来てるんだよ」
「――――……」

「他の誰かとか、関係ないし」

 四ノ宮は、は、と息をついた。


「……オレ、ずっと居るって言ってるの、本気だよ。冗談とかで言ってない」

「…………全然、わかんない」


「いいよ。奏斗が分かんなくても、側に居るから」


 花火を見ていた視線を、四ノ宮に向けると。
 四ノ宮は、オレをまっすぐ見つめた。
 


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