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ずっとそばに

「写真」*奏斗

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 ……とか。馬鹿か、オレ。
 いっこ下の後輩の言うこと。何、真に受けてんの。
 何が楽しいんだか、今はオレと居たいみたいだけど。
 ……ずっとな訳ないし。
 ていうか、四ノ宮と絡むようになって、まだそんな時間も経ってないし。
 
「奏斗、何乗る?」
「んー……」

 ……とりあえず、今、楽しいなら。今は、それでいい、よな。
 オレも、四ノ宮と居るのは……。
 すごく意味わかんないこともあるけど。居心地よくて、楽しい時があるのもほんとだし。……それでいい、かな。

「ん、じゃあジェットコースター行こ?」
「はいはい。なんかほんと、平衡感覚やられそうだけど」
「でもなんだかんだ言って、お前全然平気だよな?」
「オレ、平気でよかったね。付き合ってあげられないでしょ、ダメな人は」
「うん、良かった良かった」

 クスクス笑って言うと、四ノ宮も笑う。

 こういう感じは、楽しい。
 一緒に、何かをするのも。

 抱かれるのは――――……どうしたらいいのか、よく分からない。
 ……キスされるのも。なんだか、よく分からないまま、普通にキスされてるとか、良いのかオレこれで。と、思うんだけど。

 セフレ……みたいになるのもどうかと思うんだよな。
 ……執着したくないから、一回でって言ってきたけど、よく考えたらオレ、キスもしたくないような人たちに、執着しただろうか。

 …………四ノ宮とするの、嫌じゃないし。
 しかも、他の人達と違って、私生活でもがっつり絡んでる。
 一番、執着しやすいというか、境界が怪しくなってく相手なんじゃないだろうか。そう思うと、離れた方がいいんじゃないかな、と思うのだけど。

「奏斗?」

 ぼーっとしてたら、腕を引かれた。

「早く乗ろ」
「あ、うん」

 四ノ宮と一緒に、今日何回目かのジェットコースターに乗り込んだ。

「今日はこれが最後?」
「うん。寂しいけど」

 言いながら頷くと、四ノ宮はクスクス笑う。

「じゃあさ、最後、写真買おうよ」
「写真? ……ああ、写真かぁ」

 ジェットコースターの一番激しく落ちるところに、カメラが設置されてて、自動的に撮影されて、それが出口のところに映る。欲しければその番号を言えば印刷してくれて、持って帰れるんだけど……今までは全部、スルーしてた。

「買って、その写真どうすんの?」
「オレんちに飾っとく」
「……変じゃない? カップルとかなら飾るだろうけど」
「誰にとって変?」
「四ノ宮んちに来た人がそれを見たらさ、何でって思うと思う」
「葛城くらいしか入れないから」
「……そうなの?」
「そうだよ。オレ、自分ちはあんま人入れないから」
「――――……」

 ……じゃあ何で、オレのことはあんなに無理無理入れさせるんだ。
 そんな問いがよぎるけれど、またなんか余計な答えが返ってきそうなので、言うのをやめた。

「買うから、ポーズとろうよ」
「ポーズ? どんな? 腕上げるとか?」
「手ぇつないで万歳とか?」
「手つなぐ必要ある?」
「ある」
「うーん……できたら、ね? そもそもめちゃくちゃガタガタするしさ」
「了解。できたらでいいよ」
 四ノ宮は笑んで頷く。

 ……手つないで万歳したら、繋いだとこって写真に写るのかな?? 
 そんなことを思っていたら。

 四ノ宮はその写真ポイントに近づくと、オレの手を取って、顔の近くで握ってて。あ、これは映るなと思いながら「奏斗笑ってて」と言われて。

 ていうかこういうのって普通、ぎゃーって言ってる写真なんじゃ。笑っててって……とおかしくなりながらも、写真ポイントを通り過ぎた。

 どんな風に写ったんだろ、と思いながら、出口に向かって、写真が画面に写るのを待っていると。

「はは、超仲良さそうじゃない、これ」
「…………」

 めちゃくちゃ手をつないで、二人して超笑顔のタイミングで撮られたらしい。
 ……えーと。これ買うのかなり恥ずかしくない……? データ消してもらって永久に消えた方がいいと思うんだけど……。

「これ、残さなくていいんじゃない? 後々処分に困るよ絶対」
「は? 処分しねーし」

 嫌そうな顔で、速攻オレにツッコんだ直後、四ノ宮は、そのやり取りを笑ってみてる係りのお姉さんに、「これ下さい」と笑いかけた。


 

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