【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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揺れる

「オレだけのに」*大翔

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 誰か適当な奴に抱かれるんなら、一生、抱いてもいい、なんて言える位、オレは、奏斗が「大事」で。離れたくないなら、離れなければ良い。
 オレは、奏斗が大事だってこと、思い知らせてやれば良い。

 そう思ったのだけれど、それでも――――……それが今の奏斗にとって、良いのか、よく分からなかった。

 和希に会って、少なからず動揺して、ふらふらクラブに行ってしまうような、投げやりな感じの、今の奏斗に、それを言うタイミングが、今かどうかがよく分からなくて。
 ……和希のことが完全には片が付いてなくて、もしかしたら、これからまた色々あるのかもしれないし。

 ……しょうがない、コーヒー持ってきたら、色々話してみるか。
 そう、思っていたのだけれど。

 風呂上がりのホコホコした感じで、コーヒーを持って現れた奏斗を見て、一瞬で決まった。
 ちゃんと、ここに戻ってきてくれたのが、こんなに嬉しいとか。
 ……正直、そんな風に思う自分が、全然意味が分からないが。

 でも、オレが、奏斗を大事で、どこにも行かせたくないのは、確か。
 自分を大事に思えてないこの人に、大事だって思い知らせてやろうと思った。
 それの手段は、まずは、奏斗が、自然と求めてしまうことでいいんじゃないかと。人に抱かれることで、多分、ぬくもりとか、求めてるんだろうと。

 だから――――……断れないような誘い方をした。

 オレのことを「絶対に嫌だ」なんて、奏斗は言わない。……言えない。
 それは確信していた。

 だから、あの聞き方は少し卑怯だったとは思うけど。
 ――――……今はそれでいい。

 卑怯でもなんでも、体だけでも。
 和希としてたより、他の誰としてたより。
 オレとするのが、気持ちいいって、思うようになればいい。

 相性がいいのは、前回ので分かってるし。オレとキスするのは、嫌じゃないみたいなのも。そこでもう第一段階はクリアしてるし。

 ――――……他の奴に抱かれたいなんて、思えないように。
 最大限に、気持ちよく、させたつもりだったけど。


 ――――……なんか、むしろ、こっちが、そう思わされたような。

 ぐっすり眠ってるその顔に、自然と微笑んでしまう。

 ……なんかオレ。
 もうこの人以外と、したくないかも。


「――――……」

 頬に触れて、そのまま髪の毛を撫でると、ぴく、と指が動いて。
 そのまま、またぐっすり眠る。

 ……すげー、可愛いかも……。
 すり、と頬に触れる。


「――――……」

 このままずっと、オレのとこに、居てくんないかな……。
 なんて、思ってしまう。 


 深く関わるようになってから、色々あったけど。
 一番腹が立ったのは――――……昨夜、してる時に、汚くない? と聞かれたこと。

 色んな奴と寝てきた自分のこと、汚いとか、思ってんのかと思って。
 すげえ腹が立った。

 そんなわけないし。
 そんなこと思うなら、そもそも、こんなに構ってねーし。
 そんな言葉が、あんな時に自然と出るなんて、マジで、ありえない。

「――――…………」

 あんなこと、絶対、もう言わせないようにするから。
 ……ずっと、オレのとこに居ればいい。

 そう思って。
 オレが、間違って抱いてるとか微塵も思われないように。
 オレに抱かれることに、慣れてしまうように。めちゃくちゃ、抱いた。
 眠り始めた人を抱いて起こすなんて、初めてやった。嫌だったかな。でも。

 ――――……最後の方は、反応が、素直だった気がする。

 目が覚めても、オレをまっすぐ見て、オレに抱かれててくれたら良い。

 ひとりで泣かせるとか、もう、絶対ムリ。
 もう、オレのに、するために、動く。


 フラフラしないように。オレだけのに。








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