【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

文字の大きさ
上 下
234 / 557
揺れる

「何でオレは?」*奏斗

しおりを挟む


 食事を終えて片付けた。
 シャワー浴びたいし、着替えとかも無いし、帰る、と言うと。
 シャワー浴びたら、コーヒー淹れて持ってきて?と言われた。

 ――――……なんか。結局朝からずっと、世話、かけた気がするし。
 ……それくらい、いっか、と思って、頷いた。

 家に帰って、シャワーを浴びて、コーヒーを淹れ終えて、何となくスマホを手に、ソファに腰かけたところで、四ノ宮からメッセージが届いた。

『もうシャワー終わったから、いつでもいいよ』と。
「分かった」と返す。

 なんか最近ずっと、生活してる全部に四ノ宮が絡んでて。
 ――――……何でこんな感じだろうと思うと。

 ……オレが、ふらふら、情けないからかなあと、思いついた。

 ……後輩なのにな。
 心配させちゃってる、気がする。

 ……でも、普通の人は、心配するか……。

 振られて、家族にバレて、家を出て一人暮らしで、行きずりの奴と一時限りで寝て。泣いたりうろたえたり。情けないとこばっかり見せてる気がするもんなぁ。ここまでくれば、心配するか……。

 …………もうちょっと、しっかりしよう。
 四ノ宮に心配かけずにいられるように。
 うん、そうしよう。

 気を取り直して、立ち上がると、コーヒーとスマホを持って、家を出た。
 ピンポンを鳴らすと、程なくドアが開く。

「おかえり」と迎えられて、ちょっと戸惑う。
 おかえり、か。
 オレの帰る家は、隣だけど。と思うけど。

「……何で、そんなに嬉しそうなの」

 そっちの方が気になって聞くと。

「ちゃんと、戻ってきたから」
 と笑う。何と答えていいか、悩む……。

「鍵かけて」
 言われて、ドアに鍵をかけて、部屋に上がる。

「もう、こっちで寝られるようにしてきた?」
「――――……オレ、今日もここで寝るの?」
「問題ある?」
「……でも……」
「……まあ、後で話そうか。コーヒー、飲も?」

 そう言う四ノ宮に頷いて、一緒にリビングに。
 四ノ宮が出してくれたマグカップに、コーヒーを注ぐ。

「牛乳入れる?」
「あ、うん」

 なんかこの流れも慣れてきたなぁ……。
 テーブルで並んで、一緒にコーヒーを飲む。

 また、隣同士で、並んで。

「……あのさあ、四ノ宮」
「ん?」

「二人なのに並ぶって、変だと思わない?」
「別に?」

「……他の人ともこうやって並ぶの?」
「並ぶ訳ないし。……てか、家にそんな、呼ばないし」

「呼ばないの?」
「呼ばないよ。オレ、基本、家には他人を入れたくないから」

 その言葉に、ものすごく複雑な気分になる。
 ……他人は入れたくない、って。

 ……オレは、嫌がっても、居させられてる気がするんだけど気のせい??
 むーん……??
 
 ちょっと眉をひそめながら、コーヒーをぐびぐび飲んでいると、隣の四ノ宮が、クスッと笑った。

「なに考えてる?」
「……いや。別に……」

「絶対今何か思ってるよね。何?」

 ニヤニヤ、面白そうに笑ってる。
 ……別に思ったこと言う位、いいか。そう思って。

「何でオレは? って思ったけど……」

 そう言うと、四ノ宮は、ああ……と相槌を打ってから、ふ、と笑んだ。


「奏斗も、他人ではあるけど……これはもう、必然ていうか。連れてこざるを得ない感じっていうか」

 ……必然? 
 連れてこざるを得ない……???

 全然分からないけど。

「分かんない」

「――――……そこら辺の他人とは違うってことだけどね」
「……意味が分かんない」

「……まあいいけど。分かんなくても。……オレもよく分かんないし」
「……分かんないの?」

「分かんないけど、違うってことは分かってる」


 ううん。
 ……良く分かんない。


 そんな良く分からない会話をしながらコーヒーを飲み終えた。


しおりを挟む
🧡💛💚💙💜💚🩷🩵
お読みいただき、ありがとうございます♡
🩵🩷💚💜💙💚💛🧡

感想やリアクションが、色々な意味で、作品への後押しになります。
なにげないひとつの「ぽちっ」が、私のやる気も後押ししくれています(´∀`*)ウフフ
いつもありがとうございます🩷

投稿サイトが増えてきて全部でお知らせとかが大変なので、
Xでまとめてすることが多いです。

Xノベルとか、短いBL創作とか、これから色々していこう~と思っているので、
フォロー&応援お願いします🩷 
🩵「悠里のX」こちら✨です🩵

感想 331

あなたにおすすめの小説

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜

車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

処理中です...