【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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揺れる

「男に興味」*奏斗

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 マンションについて、四ノ宮の部屋に入って、食事の支度を手伝った。
 特にさっきの話とかは何もしないで、ごくごく普通の会話をしながら。

 それで、一緒に食べ始める。

 ――――……少し前まで、隣に住んでることも、知らなかった。
 人当たり良いけど、本気じゃない気がして、胡散臭いって思ってて、あんまり近寄りたくなかった。
 ……ゲイってバレた時は、もう、終わったと、思った。
 よりによって、一番知られたくなかった奴だって、思ってた。

 それから……四ノ宮と居る時に、なんか、色々あって。
 ……ズカズカ、オレの世界に入ってきて。

 こいつがオレの秘密とかを、周りに面白おかしく言ったりはしない奴だって思ってからは――――……なんか、信用、してるのか、何も隠せないで、全部、色んなこと、知られてる気がする。

 ……こんなに、オレがしてること全部知ってるのは、四ノ宮しか居ない。

 そもそもオレがゲイだっていうのを知ってるのは、家族と和希だけだったし。……あとは、リクさんと、クラブの中の人たちだけ。……まあ大地にもバレてたと知ったけど。

 ゲイで、和希と付き合ってて振られて。家族ともうまくいかなくなって家を出たこと、クラブでしてたこと、和希が最近オレと話したいって言ってること。その内の、どれか一部を知ってる人たちは、何人かずつは居るけど。

 ……全部を知ってるのは、四ノ宮だけで。
 ――――……しかも。薬盛られた時に、相手をしてもらって。キス、とか、色々してるのも。四ノ宮だけ。一緒にご飯食べたり、真斗の試合一緒に見たり、一緒に……寝たり。


 ………………なんか。
 意図するしないに関係なく、相当、特別なとこに、居る。……気がする。


「……奏斗?」
「――――……」

「奏斗?」
「え。……あ。何?」

 隣に居る四ノ宮に視線を向けると、ふ、と苦笑い。

「寝てんの?」
「……ううん。起きてる」

「分かってるよ。真顔で答えないでくれるかな…… 美味しい?」
「うん。いつも、美味しい」
「――――……はは。そっか」

 いつも、に止まったのか、四ノ宮はオレを見つめてから、また笑った。

「いつもとか、普通に嬉しいかも。葛城に料理勉強させられて良かったな」
 クスクス笑いながらそんな風に言う。

 勉強してた料理を……オレだけにずーっと作ってくれてるけど。
 ……それは、楽しい、のかな……。


 …………ずっと、意味が、分からなかったけど。
 ――――……何でこんな構うのか、一緒に居るのか、キスしたり、一緒に寝たり、するのか。

 何回したって、執着したりしない。
 あんたに好きな奴が出来たら、そこでちゃんとやめてやる。

 ホテルで話した時、四ノ宮、そう言ってた。

 …………オレにちゃんとした、相手ができるまで。
 見も知らない奴と、するなら、オレがするって。

 …………恋人作る気ないって言ったら、それなら、ずっと居るって。

 一生恋人要らないなら、一生付き合うって。


 …………意味が、分からない。

「奏斗、考えごと、してる?」
「……してる……」

「後で話してくれる?」
「……まとまるか、分かんない」

「まとまんなくてもいいから、途中経過で、話せる?」
「…………無理かも」

「――――……まあいいけど……」

 そんなこと言いながら、四ノ宮はクスクス笑ってる。


 いいんだ。
 ……そっか。

 ――――……四ノ宮は、不思議だ。
 すげーズカズカ来るし、強引だったり、なんかちょっと機嫌悪くなったりするけど。なんか、ここって時は、たまに引いてくれて。……たまに優しくて。



 ……さっき、大事だからって。
 ――――……言ってたなあ……。

 …………どういう意味???

 よく分かんない。

 男に興味なんか、絶対無いはず。
 絶対、女の子……というか――――……そもそも、男となんて、考えたこともなかったタイプだろうなと思うし。


 ……何がしたいんだろ。

 ちら、と隣の四ノ宮に視線を向ける。



 ……ていうか、そもそも、四人掛けのテーブルで隣に座ってるのから、おかしいしな。

 慣れてきてるけど、改めて思うと、絶対おかしい。





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