【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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揺れる

「舌打ち」*大翔

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「……奏斗の気分転換になるならいいかなとは思うし」

 オレが言うと、葛城は少しだけ間をおいてから。

「気分転換をしないといけないような何かがあるんですね……」
 そう言われて、余計なこと言ったなと思ってしまう。

「……とにかく奏斗に聞いてみて、連絡する」
『あ、大翔さん』
「ん?」
『……見合いとかの話、そこでも出ると思いますからね』
「……オレにそういう話があるのは、奏斗、知ってるし」

『――――……大翔さん』
「……何?」

『雪谷さんとはどうなりたいか、考えましたか?』
「――――……またそれ?」

 どうなりたいと聞かれても、まだはっきりは答えられない。
 ……ただ、そばには居たいけど。

『あなたの求めているのは、本当にどこなのかと思いまして』
「――――……奏斗はまだ前の失恋引きずってるし。辛そうなのがほっとけない。って感じ……?」
『――――……でしたら、本気で考えてみてくださいね』
「何を?」

『雪谷さんがその失恋を乗り越えた時、あなたがどこに居たいのかを』
「――――……」

『乗り越えて元気になったらもう放っておけるなら、こちらの方々とも一度くらい会ってください。それで断るなり気に入るなり、それはお任せしますから。大変なんですからね、私のところで止め続けるのも』

 苦笑いの葛城に――――……とりあえず、分かった、と伝えた。

「……パーティーの件は聞いたら連絡する」

 そう言って、葛城との電話を切った。


 ――――……失恋を乗り越えた時、か。
 元の鞘に収まるっつー可能性も、まだ、ゼロじゃねえしな。

 スマホをテーブルに置きながら、そう考えて……。
 イライラする。

 あー。ムカつくな。
 やっぱり、無理かも。それ。

 ――――……オレの目の前で和希と話させて、絶対、より戻すなんて話は拒否らせて。
 ……と、思ってしまうが。

 それもやっぱり奏斗が決めないと、あとでまた後悔しそうな気がする。

「――――……」

 やっぱり、分かんねえな。
 オレには、よりを戻したいと思うような相手も居ないし。
 なんなら、名前と顔すら一致してねえかも……。短かった奴とか、覚えてないし。……あんな風になる位、好きになったことが、ない。

 そんなに何年も好きな奴を、どうしたら忘れるのか。

 うんざりしてきたその時、テーブルの上のスマホがまた音を立てた。
 ディスプレイの名前は奏斗で。首を傾げてしまいながら受けた。


「もしもし、奏斗?」
『うん――――……』

「……? どうしたの?」
『ごめん、ちょっと用事、あって』
「用事?」
『うん。用事……』
「今、外なの?」
『うん、外……今日、ごめん、帰るの遅いと思うから、行けない』
「――――……どんな用事?」
『……別に和希じゃないから。心配しないで』
「……今どこ?」
『また、連絡するから』

 言おうとしない。
 ため息が出そうだ。

「――――……奏斗」
『ん?』

「……待ってるから、こっちに帰ってきてよ」
『――――……』

「……あと、気を付けて」
『うん…………でも、今日は、そっちには行かない』

「……でも、待ってる」

 所々で返ってくる沈黙と、奏斗の声の出し方から、嫌な予感しか、しない。
 でも、きっと、今詳しく聞いたって、多分、言わない。

『ごめん、夕飯……』
「いいよ。そのかわり、奏斗」
『――――……』

「気を付けて」
『……うん。じゃ、ね』

「……奏斗の気分転換になるならいいかなとは思うし」

 オレが言うと、葛城は少しだけ間をおいてから。

「気分転換をしないといけないような何かがあるんですね……」
 そう言われて、余計なこと言ったなと思ってしまう。

「……とにかく奏斗に聞いてみて、連絡する」
『あ、大翔さん』
「ん?」
『……見合いとかの話、そこでも出ると思いますからね』
「……オレにそういう話があるのは、奏斗、知ってるし」

『――――……大翔さん』
「……何?」

『雪谷さんとはどうなりたいか、考えましたか?』
「――――……またそれ?」

 どうなりたいと聞かれても、まだはっきりは答えられない。
 ……ただ、そばには居たいけど。

『あなたの求めているのは、本当にどこなのかと思いまして』
「――――……奏斗はまだ前の失恋引きずってるし。辛そうなのがほっとけない。って感じ……?」
『――――……でしたら、本気で考えてみてくださいね』
「何を?」

『雪谷さんがその失恋を乗り越えた時、あなたがどこに居たいのかを』
「――――……」

『乗り越えて元気になったらもう放っておけるなら、こちらの方々とも一度くらい会ってください。それで断るなり気に入るなり、それはお任せしますから。大変なんですからね、私のところで止め続けるのも』

 苦笑いの葛城に――――……とりあえず、分かった、と伝えた。

「……パーティーの件は聞いたら連絡する」

 そう言って、葛城との電話を切った。


 ――――……失恋を乗り越えた時、か。
 元の鞘に収まるっつー可能性も、まだ、ゼロじゃねえしな。

 スマホをテーブルに置きながら、そう考えて……。
 イライラする。

 あー。ムカつくな。
 やっぱり、無理かも。それ。

 ――――……オレの目の前で和希と話させて、絶対、より戻すなんて話は拒否らせて。
 ……と、思ってしまうが。

 それもやっぱり奏斗が決めないと、あとでまた後悔しそうな気がする。

「――――……」

 やっぱり、分かんねえな。
 オレには、よりを戻したいと思うような相手も居ないし。
 なんなら、名前と顔すら一致してねえかも……。短かった奴とか、覚えてないし。……あんな風になる位、好きになったことが、ない。

 そんなに何年も好きな奴を、どうしたら忘れるのか。

 うんざりしてきたその時、テーブルの上のスマホがまた音を立てた。
 ディスプレイの名前は奏斗で。首を傾げてしまいながら受けた。


「もしもし、奏斗?」
『うん――――……』

「……? どうしたの?」
『ごめん、ちょっと用事、あって』
「用事?」
『うん。用事……』
「今、外なの?」
『うん、外……今日、ごめん、帰るの遅いと思うから、行けない』
「――――……どんな用事?」
『……別に和希じゃないから。心配しないで』
「……今どこ?」
『また、連絡するから』

 言おうとしない。
 ため息が出そうだ。

「――――……奏斗」
『ん?』

「……待ってるから、こっちに帰ってきてよ」
『――――……』

「……あと、気を付けて」
『うん…………でも、今日は、そっちには行かない』

「……でも、待ってる」

 所々で返ってくる沈黙と、奏斗の声の出し方から、嫌な予感しか、しない。
 でも、きっと、今詳しく聞いたって、多分、言わない。

『ごめん、夕飯……』
「いいよ。そのかわり、奏斗」
『――――……』

「気を付けて」
『……うん。じゃ、ね』


 切れた。……つか。帰すんじゃなかった。ち、と舌打ち。
 クラブだろうか。……違うなら、それでいいから、とりあえず、行ってみるか。
 行って、運よく見つけたとして、止める権利があるのかどうかすら、分からないが。


 そんなことを思っているくせに。
 速攻で家を出た。



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