【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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揺れる

「嫌じゃないけど」*奏斗

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 後ろから抱き締められたまま。
 もう、四ノ宮、意味が分からないので、寝たふりを続ける。


 ……オレが抱かれたければ、抱く、だって。
 ――――……宇宙人め……。

 オレとそんなことして、ほんと……なんの得があんの。


 さっき……和希がオレとやり直したいって言ったらとか、聞かれた。
 ……言ったことは、本当。

 もともと和希はノンケだし……。
 オレとは親友だったから、もしかしたら少し後悔はしてるかもしれないけど……また付き合っても、どこかできっと、子供が欲しいとか、家族に紹介できない関係なんて、とか、きっと悩むんだろうし。そしたらまた捨てられるだろうって、どうしたって思ってしまう。

 そんな心の状態で付き合ったって、うまくいくわけがない。
 それにオレ、もう和希のことなんて、何とも思って、ない……し。


 ……よりを戻すなんて、ある訳ない。


 でも――――……オレが和希と、よりを戻したら。
 四ノ宮は、良かったって言って、オレから離れるのかな。

 ……オレに恋人ができるまでって、言ってたよな。

 別に和希じゃなくても、オレが不特定多数とそんなことしなくなれば、それでいい、みたいなことも言ってたし。



 ……あー。ほんと。
 意味わかんない。

 もう、寝る。絶対、寝る。
 もう何も話さず、寝るんだ。

 ぎゅう、と目を閉じているけど、なぜかそう思えば思うほど、眠れない。

 ふ、と小さく息をついた。


 ずっと静かで、四ノ宮が先に寝たかなと思ってたのに。
 不意に動いた四ノ宮に、くるん、と逆向きにされて。

 え、と思った瞬間に、唇が重なってきた。


「っん、ん……」

 突然絡んできた舌に、声が、くぐもって、漏れた。

「……っふ」

 息がまともに出来なくて、押し返そうとした手を取られて、ベッドに括られる。


「――――……ん、ン……ッ」

 口の中、めちゃくちゃ優しく、触れられる感じ……。
 その内、顎を押さえられて、より深くなる。

 掴まれてた手は離されたけど、押し返そうとは動けなくて、四ノ宮の服を握りしめた。


「……奏斗」

 呼ばれて、ふ、と瞳を開けた。


「――――……」

 少しだけ唇を離して、オレを見下ろす、四ノ宮は。
 ふ、と瞳を優しく、緩めた。

 少し前まで、苦手で嫌だなと思っていた、作ったみたいな笑顔じゃなくて。
 なんだか、ほんとに。

 ……まっすぐ、見つめられて。
 まっすぐ、笑って、くれてるような。



「――――……」


 ドキ、と心臓が、揺れた。


 ――――……?



「……またキスしながら、寝よっか……」

 クスッと笑う唇が、何も言えないままのオレの唇にまた重なる。


 四ノ宮の手が後頭部に回ってきて、ぐい、と押し付けられる。
 逃げようもない、感じ。


「……んン……」



 ――――……違うかも……。
 逃げようもない、んじゃなくて。



「……ん、ふ――――……」



 ――――……よく分かんない、けど……。
 
 


 キスするの……本当に、嫌じゃない、のかも。
 ――――……。




 でも、やっぱりオレは――――……。
 …………誰にも、執着なんか、したくない。
 



 だからこれは、まずいって。
 キスされながら、思ってた。






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