【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

文字の大きさ
上 下
205 / 557
揺れる

「先帰る」*奏斗

しおりを挟む

 もー、マジ何なの。離れろよ。
 四ノ宮を離させようと、藻掻き始めた時。

「相川先輩、あの……オレ、考えてたんですけど」
「んん?」

 オレを引きずり寄せたままで、小太郎に向けて話し出す四ノ宮に、小太郎もちょっと首を傾げている。

「オレ達、超ご近所さんだったことが、こないだ判明したんですけど」
「え。ユキと四ノ宮が?」

「そう。それで、合宿も、オレ達は自分ちから、高速乗っちゃった方が楽そうなんで……それでも良いですか?」
「あー、ユキんち、高速出入口近いんだっけ」

 近いっても、十五分位はあるし、別に皆と一緒に行けないことはないしっ。
 言おうと思うのだけれど、四ノ宮に邪魔されて。

「そうなんですよね。オレの学年、家はちょっと離れてるで……」
「じゃあ、別にそれでも良いけど。そしたら、一、二年で近い同士で待ち合わせ場所考えようかなぁ」
「そうしてもらえると助かります」

 にこ、と笑って、四ノ宮が小太郎に向けて、締めの一言。
 そっか、オッケー、と言いながら、良い奴で素直すぎる小太郎が頷いてる。

「誰と誰が近いんだっけー?」

 とか言いながら、席を移動して、向こうに行ってしまった。
 オレはと言えば。

 まだ近いままの四ノ宮を思い切り引きはがす。

「……もー、なんなの」
「――――……言うって言ったじゃん。家近いって」

「……言ったっけ?」
「うん。言ったよ。あんたはちょっと拒否ってたけど」

 ……あぁ。そういえばそんな話、したな……。
 拒否ったじゃんか、あんまり仲良いってしとかないほうがいいって、言ったじゃんか、オレ。

 すぐ近くに先生や先輩たちもいるこの状況では、言いたい文句も言えない。
 どうしてくれようか考えていると。

「そろそろお開きにしようか?」

 先生がそう言って、はーい、と皆が返す。
 会計を呼んで、多分先生がかなり多めに出してくれて、皆、二千でいいよー、とか。いつもそんな感じ。

 皆のお金を集めるのも一年がやることが多いから、付近のお金を四ノ宮も集め始める。
 オレは、速攻お金を渡して、外に出た。

「――――……」

 ……このままだと、また四ノ宮と家まで一緒か……。
 もうむかつくから、先帰っちゃお。

「小太郎、オレ、ちょっと用事があるから、先に帰るー!」
「えっ? ユキ?」

「先生に言っといてー!」
「ちょっ……気を付けて帰れよー」

 頷いて別れて、小走りで進むけど。

 ……気を付けて帰れって、また言われた。いっつも小太郎、言う。お前もな、て返すと、ユキは特にって言われる。
 オレが、男に狙われそうとか思うのかなぁって思うけど、まあそこは地雷に触れるみたいな話になるので、聞いたことはないけど。

 五分位したところで、着信。
 やだなあ、と思いながら見ると、案の定、四ノ宮。


 うう。出たくない……。





(2022/9/5)
しおりを挟む
🧡💛💚💙💜💚🩷🩵
お読みいただき、ありがとうございます♡
🩵🩷💚💜💙💚💛🧡

感想やリアクションが、色々な意味で、作品への後押しになります。
なにげないひとつの「ぽちっ」が、私のやる気も後押ししくれています(´∀`*)ウフフ
いつもありがとうございます🩷

投稿サイトが増えてきて全部でお知らせとかが大変なので、
Xでまとめてすることが多いです。

Xノベルとか、短いBL創作とか、これから色々していこう~と思っているので、
フォロー&応援お願いします🩷 
🩵「悠里のX」こちら✨です🩵

感想 331

あなたにおすすめの小説

あの頃の僕らは、

のあ
BL
親友から逃げるように上京した健人は、幼馴染と親友が結婚したことを知り、大学時代の歪な関係に向き合う決意をするー。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

そばにいられるだけで十分だから僕の気持ちに気付かないでいて

千環
BL
大学生の先輩×後輩。両片想い。 本編完結済みで、番外編をのんびり更新します。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する

SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。 ☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます! 冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫 ——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」 元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。 ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。 その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。 ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、 ——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」 噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。 誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。 しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。 サラが未だにロイを愛しているという事実だ。 仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——…… ☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので) ☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

処理中です...