193 / 551
揺れる
「気にしすぎ」*大翔
しおりを挟む
「じゃあオレ、着替えて準備するから」
朝食を食べ終えて、片付けも終えたところで、時計を見ながら奏斗が言った。
「一限からでしょ?」
「うん、そう」
「オレもそうだから、一緒に行こ」
そう言うと、奏斗はオレを見て、ちょっと困った顔で。
「――――……別でもいい?」
そう言った。
「どうしてですか?」
「――――……なんか、ほんとにずっと居る気がしない?」
「嫌ですか?」
直球で聞いてみると、奏斗は、オレを見て、少し口を閉ざしてから。
「――――……家ならまだしも……毎朝一緒に学校行くとかさ……」
そんな風に言う。
家ならまだいいけど、外だとダメって。
……自然にそんなような内容の言葉が出るところに、イラっとした気持ちが、沸き起こる。
「――――……あのさあ」
ぐい、と腕を掴んで、オレの方に引き寄せて、近くから見下ろした。
「オレは気にしないって言ってるでしょうが」
「――――……じゃあさ」
ムッとした顔で、オレを見上げながら言ってから、少し視線を逸らして、黙る。
「じゃあ、何?」
促すと、奏斗はまたオレを見上げて、半分睨んでるみたいな顔をした。
「……オレと変な噂が立ったらさ。お前が彼女欲しいなって時に、その噂が邪魔になるかもしんないけど。いいの?」
「いいよ」
即答すると、奏斗は困った顔でオレを見る。
だから。
――――……彼女欲しいとか、全然思わないって、言ってんのに。
ほんっと分かんねえな……。
「……大体、朝、一緒に登校した位でそんな噂立たないって。オレもあんたも、モテるって有名なんだからさ。ここ二人がくっつくなんて、普通の奴は、思わないよ」
「――――……」
「気にしすぎなんだよ、奏斗。誰もそんなに見てないから」
そう言ったら、奏斗は少し黙ってから、はーーー、と、ため息をついた。
「……確かに、女子にモテモテな、外ではすごい優しそうな王子だもんね。ゲイとか思われないか……」
その言葉の、「外ではすごい」のところにものすごい力を込めて言った奏斗に苦笑い。
「ん? なんか、オレに言いたいことありますか?」
「……いっぱいあるし、いつも色々言ってると思うけど」
言いながら、オレから離れて歩き出そうとしてる奏斗の前から腕を回して止めて、そのままぐいっと引き戻した。
オレと向かい合って、むー、と眉を寄せてる奏斗を見下ろして。
「あんま可愛くないと――――……可愛くさせるけど」
「っやだやだ、離せ、学校行く準備――――……」
何かを察知してるのか藻掻いてるのをうまく押さえて、顎を捕らえた。
退こうとしてる顔をそのまま固定させて、唇を重ねる。
「……や……」
開いた唇に、ゆっくり、舌、触れさせて。
柔らかく、舌先に、触れた。
ぎゅ、と瞳をつむるのが。
――――……やっぱり、なんだか、可愛い。
朝食を食べ終えて、片付けも終えたところで、時計を見ながら奏斗が言った。
「一限からでしょ?」
「うん、そう」
「オレもそうだから、一緒に行こ」
そう言うと、奏斗はオレを見て、ちょっと困った顔で。
「――――……別でもいい?」
そう言った。
「どうしてですか?」
「――――……なんか、ほんとにずっと居る気がしない?」
「嫌ですか?」
直球で聞いてみると、奏斗は、オレを見て、少し口を閉ざしてから。
「――――……家ならまだしも……毎朝一緒に学校行くとかさ……」
そんな風に言う。
家ならまだいいけど、外だとダメって。
……自然にそんなような内容の言葉が出るところに、イラっとした気持ちが、沸き起こる。
「――――……あのさあ」
ぐい、と腕を掴んで、オレの方に引き寄せて、近くから見下ろした。
「オレは気にしないって言ってるでしょうが」
「――――……じゃあさ」
ムッとした顔で、オレを見上げながら言ってから、少し視線を逸らして、黙る。
「じゃあ、何?」
促すと、奏斗はまたオレを見上げて、半分睨んでるみたいな顔をした。
「……オレと変な噂が立ったらさ。お前が彼女欲しいなって時に、その噂が邪魔になるかもしんないけど。いいの?」
「いいよ」
即答すると、奏斗は困った顔でオレを見る。
だから。
――――……彼女欲しいとか、全然思わないって、言ってんのに。
ほんっと分かんねえな……。
「……大体、朝、一緒に登校した位でそんな噂立たないって。オレもあんたも、モテるって有名なんだからさ。ここ二人がくっつくなんて、普通の奴は、思わないよ」
「――――……」
「気にしすぎなんだよ、奏斗。誰もそんなに見てないから」
そう言ったら、奏斗は少し黙ってから、はーーー、と、ため息をついた。
「……確かに、女子にモテモテな、外ではすごい優しそうな王子だもんね。ゲイとか思われないか……」
その言葉の、「外ではすごい」のところにものすごい力を込めて言った奏斗に苦笑い。
「ん? なんか、オレに言いたいことありますか?」
「……いっぱいあるし、いつも色々言ってると思うけど」
言いながら、オレから離れて歩き出そうとしてる奏斗の前から腕を回して止めて、そのままぐいっと引き戻した。
オレと向かい合って、むー、と眉を寄せてる奏斗を見下ろして。
「あんま可愛くないと――――……可愛くさせるけど」
「っやだやだ、離せ、学校行く準備――――……」
何かを察知してるのか藻掻いてるのをうまく押さえて、顎を捕らえた。
退こうとしてる顔をそのまま固定させて、唇を重ねる。
「……や……」
開いた唇に、ゆっくり、舌、触れさせて。
柔らかく、舌先に、触れた。
ぎゅ、と瞳をつむるのが。
――――……やっぱり、なんだか、可愛い。
77
お気に入りに追加
1,593
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
短編エロ
黒弧 追兎
BL
ハードでもうらめぇ、ってなってる受けが大好きです。基本愛ゆえの鬼畜です。痛いのはしません。
前立腺責め、乳首責め、玩具責め、放置、耐久、触手、スライム、研究 治験、溺愛、機械姦、などなど気分に合わせて色々書いてます。リバは無いです。
挿入ありは.が付きます
よろしければどうぞ。
リクエスト募集中!
R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉
あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた!
弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる