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揺れる
「ほっとけない」*大翔
しおりを挟む「――――……?」
ふと気づいたら、腕の中に奏斗が居なくて、目を開くと。
すぐ隣に、奏斗が座っていた。
まだ静かだし、暗いから、夜中だろうと思う。
「……奏斗?」
座ってる奏斗の腕を引く。
「あ――――……ごめん。動いたから、起きちゃった?」
苦笑いを含んだ声。
「どうかした?」
「……何となく目が覚めただけ」
「――――……寝る?」
「――――……」
少しの間、沈黙。
「……四ノ宮」
「はい?」
「――――……お前って……何で、オレに、こんな風にすんの」
「何でって……」
「……隣だから?」
「――――……隣だからなんて理由で、オレがすると思います?」
「……思わないけど……じゃあ、協定、結んだから?」
「協定――――……」
その言葉……すでに遠い遠い向こうに、いってたけど。
「……まあ。それもある、かも……?」
「――――……かもって……」
奏斗は、苦笑い。
「絡んできた経緯とか、関係とか……色々複雑にあったからこうなってるとは思う、けど……」
「――――……うん」
「一言で言うなら――――……オレ、あんたを、ほっとけないから」
「――――……」
不思議そうに、じっとオレを見つめてくる。
「……でもオレ、かよわい女の子とかじゃないし。その言葉も、女の子相手なら分かるんだけど……」
「――――……」
はー、とため息をついてしまう。
……あんたの前で、つかないって、決めてんのに。
「……奏斗」
頬に触れる。
……頬に触れる位じゃ、もう、特に何も言わない。
「――――……女だとか、男だとか、関係ないんだけど」
「――――……」
「オレは、奏斗を、放っておきたくねえの。……分かる?」
「――――……」
「他の誰を放っといても、奏斗だけは、無理」
「――――……わ、かんない……なんでだよ」
「……何でとか言われても、分かんないよ。こんな風に思うの初めてだし……」
「――――……」
「……つか、か弱い女の子とか。マジで、どーでもいいんだけど」
はー、とまたため息……をつきそうになって、すう、と大きく吸い込んだ。
「……オレ、本気で言ってるよ。あんたがいいなら、ずっと側に居るって」
「――――……ほんとに……意味わかんない。ずっとって、何だよ」
奏斗は、オレを見てから、ふい、と顔を退いて、頬から手を外す。
ちょっとカチンときて。
追いかけて、頬を捕らえた。
「――――……その内、意味、分かってよ」
ゆっくり、近づいて――――……唇、寄せて。
奏斗が、ちょっと困った顔をして、固まった瞬間。
苦笑いで、止まる。
「――――……キス、するよ?」
「……っや、だよ、聞くなよ!」
「……嫌なら、突き飛ばして」
そう言って、そのまま、顔を寄せて――――……。
突き飛ばされないのを良い事に。
キスを、重ねた。
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