【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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至近距離で

「馬鹿宮?」*大翔

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 めちゃくちゃ甘く、優しくしてあげた。
 キスたくさんして。乳首とかも弄りながら、たくさん触れて、イかせてあげて。……先輩は何回イったかな。ちょっとよく覚えてない。

 もうほんとは、後ろ触って、オレので、めちゃくちゃに乱したかったけど。
 ――――……オレに慣れてからって言っちゃったしな。仕方ない。

 強張ってるのを抱きたくない。

 ……と思ったけど。最後の方は、気持ちよすぎたのか、もう、ほんと、トロトロで可愛かったけど。

 ――――……この人がこんなに気持ち良いの事に弱いの。
 一晩だけの相手なのか。それとも、和希のせいなのか。

 …………まあどっちにしても、むかつきすぎる事に変わりはないけど。

 何度目かの後。かくん、と、力が抜けて、咄嗟に支えた。
 意識失ったのか。疲れすぎて、眠ったのか。

 とりあえず、体を拭いてあげてから、そのままベットで、枕に頭を沈めさせて寝かせた。オレは片肘ついて、先輩の方を向いたまま、片方の手で先輩のお腹の辺り、撫でている。


「……ん……」

 泣いてたからかな、ひく、と震えて小さく声を出して。でもそのまままた眠ってる。


 ――――……この人がこんなに、きもちいいことに弱いの。きっと、一回限りの相手のせいじゃ、ないよな。
 和希としてたせいで、我慢できないんだか、人肌に触れたいんだか。でも執着はしたくないから、一晩。

 ……何で振った?

 ――――……こんな、可愛いのに。

 こんなに何年も傷ついたままで居なきゃいけない位、傷つけて。


 見た事もない相手に、無性に腹が立つ。
 会って、その本意を、聞き出してやりたい。 
 その上会いたがってるって? なんだそれ。
 できることならぶん殴ってやりたい。


 けどんな事しても、先輩が、癒されるわけじゃないだろうし。


 ……めんどくせえ。
 早く忘れればいいのに。
 
 今、もともと気持ち良いとこじゃなくて。
 感じないとこ、感じやすくさせて。やられた事ないような抱き方で。忘れさせればいいのか。
 ……同じようにやってもだめだよな。

 ――――……くそ。絶対忘れさせてやる。
 

 …………って。
 ――――……オレはほんと。……何がしたいんだか。


 お腹から、手を上にもってきて、先輩の頬に触れる。

 ふ。……すべすべ。
 ほんと、すげー可愛いよな。この人。

 ――――……体も。男とか全然気にならない。
 むしろ。先輩のは、ついてても萎えないし。いやむしろエロいし。感じやすくて、可愛すぎる。

 何なんだもう。
 ――――……。

 つか。唇。柔らかそう。


 ――――……なんかオレ。
 変態っぽいな……。

 一瞬先輩から目を逸らし、自分に眉をひそめていると。


「……――――……?」


 少し動いた気配。
 ふと顔を見ると、先輩、ぼー、と瞳を開けて、こっちを見た。

 オレを見た瞬間に、起きてた時の記憶がよみがえったみたいで。
 手の甲を口元にあてて。かあっと真っ赤になった。


「先輩?」
「……っ何で、あんな、すんの! もーお前、ほんと、やだ!!」

 起き上がった先輩が、後ろ手に触れた枕を、オレに向けて、ぶん投げてきた。片手で咄嗟に押さえたら。

「おさえんな! 当たれよ!」

 何やら叫んで暴れてる先輩の腕を取って、引き寄せる。
 背中に手を回して、抱き寄せると。

「もう、ほんと、やだ……」
「あー…………ん、ごめんね」

 よしよし、と撫でる。

「撫でんな、馬鹿宮ばかみや……」

 何だ馬鹿宮って…。
 ぷ、と笑ってしまいながら。


「大丈夫? 急に意識なくなってちょっとびっくりした」
「……っっ急にっていうか、お前のせいじゃん! もう、あたま、真っ白すぎて、気が遠くなっただけだし!! 馬鹿宮!! もうずっとそう呼ぶから!!」

「――――……はあ……」

 頭真っ白で気が遠くなった、だって。
 気持ちよすぎて? ……つか、可愛すぎる。


「じゃあオレ、奏斗て呼んでいい? 呼び捨てしたい」
「は? やだよ」

「馬鹿宮でもいいから」
「はあ??」

「オレ、奏斗って呼びたいな」
「やだ。オレ、名前呼ばれたくない」

「名前嫌いなの?」
「――――……別に」

 多分オレの腕から逃げないのは。真っ赤な顔、見られたくないからなんだろうな。ほんとは、逃げたいんだろうけど。
 そう思うと、ちょっと可笑しい。


「弟は、カナって呼んでたよね」
「……カナは、もっと嫌だ」

 はー。頑な。
 ――――……それも和希絡みか?


「奏斗。いいじゃん。呼びやすい」
「嫌だってば。呼んだら口きかない」

「――――……呼んでいいって言うまで……色々してあげてもいいけどね」

 そう言ったら、数秒無言。
 さっきの事思い出したのか、また、真っ赤になって、きっと、睨んでくる。


「もう、お前嫌い、帰る、オレ、もう離せ、馬鹿宮」
「――――……はいはい」


 すっぽり抱き込んて、ぎゅ、と抱き締めると。

 ――――……もう諦めたように動かなくなるのも、なんか、可愛い。
 



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