【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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至近距離で

「毎朝?」*奏斗

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 顔を洗って戻ると、なんか、もうほとんど準備されてて。

「すぐ出来るから、座ってて」
「うん」

 ほんと、手際が良いというか。何でもできるんだろうなあ、とぼんやりと、思う。その背中を何となく見つめる。


 ……モテるだろうな。
 女に困ったりすること、絶対無いよね。

 話すまでは、笑顔嘘っぽいとか。本気で話してんのかなってなんかひっかかって、警戒してたけど。
 オレにとっては嘘っぽかった笑顔をしなくなったら。

 愛想笑いをしないそのまんまの四ノ宮は、全然嫌じゃなくて。
 そのまま居ればいいのに、と思うような感じで。

 愛想笑いしたり本心隠したり、無意識なのかよく分かんないけど必要ないのにと、すごく思って。

 まあでも、周りの皆は王子と信じて疑ってないから、他の皆は、愛想笑いとは思ってないんだろうけど……。もしかしたら四ノ宮も、どこまでが愛想笑いでどこまでが本気なのかも、実はよく分かってなさそうな。

 基本的には、優しいんじゃないのかなと思う。

 オレを心配したり、世話したり。
 まるでお母さんみたいな時あるし。

 
 まあだから。
 ――――……素だろうが、素じゃなかろうが。

 多分、すごいモテるんだろうなと。素直に思う。


 相手に困らない。
 困るわけがないと、思う。


 ――――……で?? 

 オレの相手をするって。
 なぜにそんな事になるんだろうか。

 やっぱ、全く分からないや。


「ん、お待たせ」

 半分に切られたホットサンドが、なんかカフェかなんかで出てきそうな見た目で、目の前に置かれる。

「中身はかえたけどいい? 今日は卵とハムとチーズ」
「……すっごいうまそーなんだけど」

 そう言うと、四ノ宮は、ふ、と笑んだ。

「うん。食べていいですよ」

 言いながら、四ノ宮もオレの向かいに腰かける。

「いただきまーす」

 手を合わせて言ってから、ホットサンドを頬張る。


「――――……」
「……どうです?」


 何も言わないオレに、四ノ宮が聞いてくる。


「すっごい美味しい。昨日もそう思ったけど、今日も、おいしー。他にもある? 中身って」
「色々出来ますよ。ていうか、何入れても美味しいと思うけど」

 クスクス笑って、四ノ宮が言う。

「例えば??」
「今はスクランブルエッグだけど、目玉焼きとか、卵サンドの具とか、ハムとかベーコン、ウインナーとか、チキンでも良いし、キャベツとかタマネギとか。 味もマヨネーズとかケチャップとか、カレー味とか。アボカドとエビとかも、美味しいし」

 次々並べられていく、めっちゃ美味しそうな予感しかしない中身の候補たちに、「全部食べたい」と言うと。
 四ノ宮は、クスクス笑って。

「いいよ。毎朝、作ってあげても」

 と、普通に答えてくる。

 やったー、と言いかけて。
 ん? 毎朝? と止まる。

 毎朝、四ノ宮と朝ごはん食べるって変だよね。
 と、思っていると、四ノ宮がクッと笑い出した。


「色々考えずに、頷けばいーのに」


 なんて、すごく楽しそうに笑って言う。





   
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