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至近距離で

「何なの」*奏斗

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 夜中。
 目が覚めた。

 ――――……ウエストにまわってる、四ノ宮の腕と。
 なんか背中が暖かい。


 ……もー。なんなの、こいつ……。

 動いたら、四ノ宮起きそう。絶対動かないぞ。と、固まる。


 ――――……こんな風に、男同士で、寝る事って、ある……?
 付き合っても、ないのにさ。

 もう。こいつ、意味わかんない。
 なんか――――……言ってる事、結構むちゃくちゃなんだけど。

 ……四ノ宮の瞳、見てると。
 ふざけてんなよ、と、言えなくなる。


 何でだろ……。


 こいつって何なの。
 ――――……ほんとに……。


「 ――――……」


 こんな風に、誰かと寝るのは――――……。
 和希の時、以来で。

 なんだろう。
 なんか、ただ――――……戸惑う、と言うのが、正しい気がする。

 思ったよりも、気持ち悪くなく、嫌悪が無くて。


 気持ち良い事は好き。というか。……慣れてて。
 時たま、めちゃくちゃに、されたくなる。

 ――――……キスは、したくなかったけど。別に、出来なくもなかったし。
 セックスは、うまい奴なら――――……ちゃんと気持よかったし。

 でも、添い寝とかは、冗談じゃなくて。
 コトが終わると、帰って、シャワーを浴びた。

 抱き締められて眠るとか。
 絶対、嫌だった。


「――――……」


 変な奴。
 ――――……お前、なんか。キャラ、違くなってる気がするぞ。

 気持ち悪い位の王子っぷり。
 オレの前でだけやめたのは良かったけど。

 そこからなんか――――……話すようになって絡むようになったら。
 なんか……変に心配症になって。

 ……昨日から今日なんて。
 もはや宇宙人&お母さんという、訳の分からない奴になって。

 ほんとの四ノ宮は、どれなんだろうっていう……。


 ――――……一生相手するとか。
 冗談でも、言うなよな……。マジ意味分かんない。


 ……何でオレ、ここに居るんだろ。
 別に、振り切って帰っても良いんだ、よく考えたら。

 ――――……媚薬もアルコールも初めてで、どっちがどれだけ効いたのかもよく分からない。でも、アルコールは多分朝起きた時には残ってなかったし。媚薬も、別に……ちょっとぼーっとしたのは、むしろ寝不足なんじゃないかなと思ったり。

 ……だから、世話なんかしてもらわなくたって、オレ倒れないし大丈夫。
 そう強く言えば、四ノ宮に世話される事も、無かった。
 それで良かったはずなのに。


 ――――……ここに居て、って顔で。
 心配だからって、言ってくれるのが。

 オレは、嬉しかった……のかなあ……。
 

 あんなことさせてしまった、後輩。
 ――――……その後輩に甘えて……何してんだろ。

 だんだん自己嫌悪に陥ってきて。少しだけ、俯いてしまったその時。



「先輩……?」

 囁かれて。四ノ宮を振り返る。


「目ぇ覚めちゃいました?」
「――――……うん。ごめん。起こした?」

 ちょっと目が覚めただけです、と言って。
 四ノ宮がオレを、ぐい、と抱き寄せた。


 オレの事、なんだとおもってるのかなぁ……。もう。
 ――――…… オレは、抱き枕じゃないぞ。女の子でも、ないし。



「先輩って、あったかいですね……」


 そんなこと言って、クスクス笑う。




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