【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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至近距離で

「なんか可愛い」*大翔

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「いいよ。やりましょ。――――……オレ、今度は勝つから」

 オレがそう言うと、先輩は面白そうな笑顔になって。

「負けねーもん。 あ、オレ、白いの集める」

 クスクス笑う先輩が、手を伸ばしてきて、白石を重ねていく。
 すぐ目の前の先輩。

 何だか勝手に、体が動いた。


「――――……」
「え? な――――……」

 後頭部に手を置いて、ぐいと引き寄せる。


「…………っ……?」

 キスして。
 見開いてる瞳を見つめながら、そっと離した。


「――――……っ」 

 先輩は、石をテーブルに置くと。
 椅子の背もたれに、背を付いて座る。

 ――――……最大限離れられてしまった。

 先輩は、口を手の甲で拭う。


「――――……何でキスすんの」
「……んー何でって言われても……」

「――――……」

 じっと見つめられる。

「あー……ごめん、なんか可愛く見えるからかも」

 ごまかすのも限界があって、そう言ってみたら。
 予想外の返事だったのか、先輩がかあっと赤くなった。


「――――……っなんなの、お前……もー、帰っていい?」
「いやいや、帰んないで。早くやろ」
「――――……っ」

 オセロはやりたいけど、こいつは嫌だ。
 みたいな顔してるけど。

「明日ホットサンド食べるんでしょ?」
「…………っ」

 思考回路は読めないけど、でも結局、オセロして、泊まって、ホットサンドを食べる事にはしたみたい。
 ため息をつきながらではあったけど、石を手に持ってテーブルに肘をついた。


「もー、絶対勝つ」

 そんな風に言う先輩。
 ――――……は。おもしろ。
 
「ん、今度白黒どっちがいい?」
「――――……じゃあ今度黒」

「じゃーどうぞ」
「どうぞじゃねーし。……キスすんなってば」

 すごく複雑そうな顔をしながらそう言って、盤にひとつ石を置く。


 何だかよく分からないが、かなり、燃えているらしい。
 今度は、いい勝負になりそうなので、ちょっとワクワクする。


 ――――……別れた理由というか……先輩が恋人がいらないと言ってる理由は、今度ちゃんと、聞こう。……本当は、すげえ気になるけど。
 なんかさっきみたいな感じでは聞きたくないとか。

 あんな、先輩自身が、話したいのか話したくないのか。
 負けたら、仕方ないから話して終わりにしよう、みたいなんじゃなくて。


 オレに、ちゃんと、話したいと。
 そう思ってくれた時がいいとか思うとか。


 ――――……せっかく聞けそうだったのに。とも思うのだけど。

 ……よく分かんねえよな。オレ。



 今まで全部分かって考えて生きて来た気がするのに。

 この人と絡んでると。
 何だか、色んな事が、訳が分からなくなる。

 理屈とかがつかない、自分の行動が増える。


 でもなんか――――……それが嫌じゃない気がするとか。
 それもよく分かんねえ。


 なんか最近分かんねえことばっか。
 ――――……この人の事ばっか、考えてる気がするし。




(2022/4/19)
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