【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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至近距離で

「ボードゲーム」*大翔

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 早めに夕飯を作ったので、片づけ終わってもまだ20時前。

「まだ眠くないでしょ?何かして遊びませんか?」
「……遊ぶって?」

 先輩、ふとオレを見上げる。


「ボードゲームとか?」

「んー。例えば?」
「オセロとかは?」

「いーけど。オレ強いよ?」
「オレも強いと思うけど。葛城とやってたから」

「ああ、なんか葛城さんて強そう」

 ソファに座ってた先輩は、クスクス笑いながらオレを見上げる。

「でもオレもさ、すごい強い、友達、とずっとやってたから」
「……ふうん? そいつ強いの?」

「……ん。そういうのすごく得意だった、から」

 なにその顔。
 しまった、みたいな顔して。

 ――――……それってもしかして、カズキ?


「ふうん。そーなんだ」
「……うん」

「じゃあ、勝負します?」
「……いいよ。すごい久しぶりだけど」

「まあオレもそうです。じゃあ待ってて。準備してくる」
「うん」


 どっか、オセロのゲームつっこんどいた気がする。
 思い当たる所を漁っていたら、少しして見つけた。


 テーブルに盤を広げて、石を手に持つ。
 独特の触感と、カチャ、という音。

 その音を聞きつけたのか、先輩がソファから立ち上がって、テーブルに歩いてきた。


「うわ、なんかすげー懐かしい」
「いつ位にやってたんですか?」

「んー。一番やってたのは中学ん時……かなあ」
「結構ブランクありますね。 楽勝かなー」

 オレがそう言うと、先輩はムッとして、そんな簡単に負けないし、とすぐムキになって、オレの目の前の席に座る。


「早くやろうよ」
「はいはい」

 完全に臨戦態勢。わくわくして見える。
 ――――……単純だなあ。ほんと。

 クスクス笑ってしまいながらオレも腰かけて、「白黒どっち?」と聞くと、「どっちでもいーよ」と言う。じゃあオレが黒で、と、ゲーム開始。

 最初はあまり考えてない。お互いどんどん進めていく。
 中盤あたりから、少し考え始める。


 ――――……あぁ、でも。
 結構強いのかも。言ってた通り。

 目の前の真剣な顔を見つめる。


 ――――……こんな顔して。
 カズキと居たのか……。


 今よりずっと幼い、もっと可愛い顔、してたんだろうな……。
 ――――……それを、カズキは、ずっと見てて……。

 中学の卒業式に告白したって言ってたっけ。で高2まで付き合ったっけ?


「……ねー、先輩」
「ん?」

 ふと顔を上げて、オレを見つめてくる。


「何か賭けません?」
「えー。……何を賭けるかによるけど」

「オレ、先輩の昔の写真が見てみたい。中高の頃の」
「――――……そんなもん見たい?」
「ん」

「いーけど別に。……そんな変わんないっていわれるけどいい? ちょっと幼い位。だって高校なんて2年前だし」
「うん、良い。中学も見せてね」

 オレのセリフに、先輩は、「いーけど」と頷いて。それから、変な奴、と呟く。

「じゃあオレが勝ったら? どうする?」
「何かあります?」

「……んー。あ、じゃあ」

 ぱ、と笑顔に変わる。


「今日お昼に食べた、ホットサンド。朝食べたい」
「――――……気に入ったの?」
「ん。美味しかった。朝から面倒だろうけど」

「いいよ。作るよ」


 ――――……はは。
 なんか。

 すげー可愛いと、思ってしまった。






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