【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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至近距離で

「意味わかんないけど」*奏斗

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 少しの間、色々考えたけど。

 ああ、なんか。
 ……もう、断れそうにないし。

「……分かった…………けど、邪魔、じゃないの?」
「あんた、ちゃんと聞いてました? オレは、心配なんだって」

 そう言われて、もう、しょうがなく。もう一度、分かった、と頷いた。

「でも――――……ほんとに、1人にしてもらって良い?」

 そう言ったら、四ノ宮は、まっすぐにオレを見つめて、頷いた。

「気が済むまで好きな部屋で1人で居ていいよ。ただ、たまに様子だけ見たい」
「分かった……着替えたら、行く」

 頷くと、四ノ宮がホッとしたように微笑む。

「――――……待ってますね」

 言って、四ノ宮が部屋に消えてくのを見送って。
 自分の部屋の鍵を開けて中に入った。

「――――…………」


 言ってる事は、分かるし。
 心配してくれてるのも分かるし。
 これ以上変に心配かけたくないから、頷いたけど。


 ……なんかもう、オレ、どうしたらいいか、よく分かんない。

 だって――――…… あんな事、しちゃったのに。

 ほんとに。
 ――――……どうしたら、いいんだろ。これから。
 四ノ宮とどうやって、付き合ってくべきなんだろう。

 靴を履いたまま、玄関に座って、膝に頭をこすりつける。

 ――――……なんか。
 もう。

 四ノ宮に、ゲイがバレてから。

 ……なんかずっと、狼狽えてばっか……。
 あそこまでは、何となくうまく、やってた気がするのに。


 ――――……全部、一度、落ち着かないと。



 ふー、と息を吐いて――――……また、膝に突っ伏した。



◇ ◇ ◇ ◇


 でも、いつまでも行かないでいる訳にはいかないので、部屋着に着替えてから、スマホと鍵だけを持って、四ノ宮の部屋を訪ねた。


「いらっしゃい」
「うん」

「入って」
「うん」


 四ノ宮がリビングに向かうので、オレもついて歩いて、中に入る。

「今、家で何か食べました?」
「――――……ううん」

 そういえば、なんか食べようって気すら、全然してなかった。

「とりあえず、うどんだけ食べて」
「――――……ありがと」

 テーブルに、卵とじうどんが置かれた。
 言われるまま、向かい合わせて、座って。

「――――……いただきます」

 何でオレは。
 四ノ宮に抱かれて。四ノ宮とホテル泊まって。キスされて。
 一緒に帰ってきて。四ノ宮の家で。

 うどんたべてんの??

 はー、意味わかんない。


「――――……おいしい」

 意味わかんないけど、口に入れたら、温かいし、美味しいし。
 自然と、そう漏れた。


「……それは良かったです」

 くす、と笑って、四ノ宮がオレを見る。

 
 ――――……なんか。
 ほんと、よく分かんない。



「……四ノ宮?」
「はい?」

「……昨日――――……ほんと迷惑かけてごめん」
「――――……良いですから、食べて」

 オレの言葉に、ふ、と笑むと。
 四ノ宮は、ゆっくりそう言った。






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