【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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至近距離で

「気まずい」*奏斗

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「雪谷先輩、起きれる?」
「――――……ン……?」


「もうマンション着くから。一回起きて」
「――――……ん……」


 ……四ノ宮の声。
 なんか。頭の上から――――……。

 ぱち、と目を開けると。上からのぞき込まれていて。
 がば、と起き上がって、退ける所まで動いたけど、車の後部座席なので、少し離れただけで、背中をドアにぶつけた。

「……っ???」

 ひ、ざまくらされてた…………??

 もう今日、夜中からずっと、パニックしかない。


「薬のせいか、ぐったりしてたから、よっかからせただけです」

 平気な顔でそう言われて、オレはふと、葛城さんを見てしまった。
 なんか、葛城さんもまったく気にせず、普通に平気な顔で運転してて。

 もう外は見慣れた風景。マンションの駐車場に車が入った。


「先輩、よく眠れました?」
「あ、うん。ごめん……」
「いえ」

 狼狽えてる間に、車が止まって、四ノ宮がドアを開けた。
 車の外に降りて、出てきた葛城さんと、向かい合う。

「すみません。……ありがとうございました」
「いえ。今日は、ゆっくりされてくださいね?」
「はい……」

 知られてるんだもんな、薬の事とか。
 ――――……ああ。ゲイって事とかも、知ってんのかな……。女に薬盛られたとか、思わない……よな??

 ……四ノ宮としちゃった事は、知らないよね???

 怖いのでもう聞く気はない。
 ――――……知らないと思いたいので、このまま別れたい。

「葛城、ありがと」
「はい。大翔さんも、お疲れでしょうし、ゆっくり休まれてくださいね」
「分かった」

 少し会話をして、葛城さんが車に乗り込んで、帰って行った。
 それを見送ってから、四ノ宮に振り返られる。


「行きましょ」
「うん」

 一緒に歩いて、エレベーターで、部屋の階で降りる。


 ――――……気まずすぎる。
 何話せば、良いんだ。


「先輩」
「え?」

「帰って、楽な格好に着替えたら、オレの部屋に来てください」
「――――……え?」

「分かった?」
「……やだ」

 オレは。
 1人で考えなきゃいけない事が、死ぬほどあるんだし。無理。


「――――……」

 四ノ宮は、ものすごーく、嫌そうな顔でオレを見た。


「1人になりたい気持ちもわかるんだけど、オレはまだ心配なんですよ」
「――――……」

「……オレんちで寝てくれていいから。別に同じ部屋に居なくても、様子見れるとこに居てほしいだけ」
「…………」

「さっきだって、寝ないって言ったそばからぐったり寝ちゃってたし」
「――――……」

 返す言葉も無い……。

「……オレは、薬の事が心配なだけ。これ以上、無駄に心配かけないでほしいんだけど。見えないとこで倒れてたらとか、心配したくない」
「――――……」


 そんな風に言われてしまうと。
 何て断るべきか、よく分からなくなってくる。






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