【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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近くて遠い

「どーして?」*奏斗

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「……四ノ宮が、相手をする?」
「はい」
 
「……何の?」
「セックスの」

 ……平然と答えられると、本当に意味が分からなくなる。

「――――……誰とすんの……?」
「オレが。先輩の相手をします」

 あぁ、もう。

「…………オレと、四ノ宮が、すんの?」
「もうさっき、したでしょ」

 分かってない訳じゃないけど。
 ――――…… 言いたい事、分かってるけど、確かめずにはいられない。
 

「……だって――――……あれは……」
「あれは何?」

「薬のことがあったから、だろ……何で、これから先、オレがお前とすんだよ? 意味、分かんないんだけど……」

 本当に、何言ってるのか、分からない。

「あのさあ」

 ぐい、と顎を掴まれて、上向かされて、まっすぐ見下ろされる。

「覚えといてよ」
「――――……」

「オレは、一滴も酒なんて飲んでねーし、媚薬なんて欠片も入ってない」
「――――……」


「その状態で、あんたのこと、抱いたんだよ」


 ものすごい、圧のある感じの言い方に。
 言葉が一つも出てこない。


 ……そうか。
 オレは、意味わかんなくなってたけど。

 ――――……こいつは、完全にシラフで。
 ……勝手にフェラしたり、キスしたり、乱れてるオレの相手をしたんだ。
 

「――――……」

 ――――……ん? どういう事??

 シラフで抱いたから、何なの?
 ……何でこの後も、オレと寝る事になんの?????


 もう分からな過ぎて、ただただ、四ノ宮を見上げていると。


「オレ、あんたが知らない奴に抱かれに行くのが、我慢なんねえの」
「――――……」

「ずっと、すげえムカついてた」
「――――……」

「だけど、オレにあんたを抱く事なんか出来る訳ないしと思ってて。だから、仕方ないと思って、だからせめて危なくないようにしろって、言ってた訳」
「――――……」

 ……言っている事は、分かる。

 嫌そうなのは知ってたし。
 ……心配してるんだと、思ってた。


「でももう、オレが抱ける事が分かったから」
「――――……」

「だから、どうでも良い知らない奴に、抱かれたりさせない」
「――――……」


 ここから急に分からなくなるんだよ。

 なんかもう、何も言葉が出てこない。


 どーしてそうなんの?


「オレ、近い、奴とはしないって……」
「もうしちまったから関係ないよね? オレがばらさないことも、もう分かってるだろ?」

「……1回しか、しないって……」
「――――……別にオレは、何回したって、執着したりしねえし。あんたに好きな奴が出来たら、そこでちゃんとやめてやるから」

 ――――……ここが、少し、違う気がする。

 四ノ宮が執着するとか、そっちだけじゃなくて。
 オレの方も、繰り返してたら、愛着が沸いてしまうかもしれない。だから、それも嫌なんだから。そう思うんだけど。

 ……四ノ宮に執着するかも、なんてセリフを、言ってはいけないような気がして。

 
「――――………ていうか……ゲイじゃ、ないだろ、四ノ宮」


 辛うじて、別の質問をすると。


「そうですね」

「……なんで、そんな事、しようとすんの……? 気持ち悪く、無いの?」
「は?――――……もう、ほんっとに、何言ってンの?」

 眉が寄って、見下ろされて。
 首にぐいと腕が絡んで、覆いかぶさるみたいに、キスされそうになって。


「……っや、め」

 抵抗しようと思ったのに、手首を掴まれて出来ず、深く重なった。









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