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近くて遠い

「何で」*奏斗※

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「……んっ……ぁ……あ、ン――――……」


 声。
 ――――……誰の。


「……ん、あ……っ」

 ……あれ。オレの?
 ――――……オレのか。

 あれ、オレ今、何してンの……。
 って、誰かとシてんのか……。

 誰だっけ――――……今日、誰と…………?


「……ッア……っ……」

 う、わ。なんだこれ。
 ――――……今日、すげー、気持ちいいかも……。


「……んん、ンっ……」

 激しいけど。なんか……自分勝手じゃない、抱き方。
 あぁ、なんか――――……今日の人、アタリかも。


「……きもち、イィ……」

 思わず言ったら、深く、突き上げられた。
 のけ反った唇に、舌が入ってくる。


 ――――……あ、キス……したくないのに……。
 ああ、でもこいつ……キスも、うま……。


「……んん、ふ……」

 どうしよう。
 気持ちよすぎて。なんか、やばい。

 抜かれて、また、ずぶ、と硬いものが、中に埋め込まれる。

「……ンっ、あ、あ……っ」

 中だけで、イっちゃってる、オレ。
 やばい――――……何これ……。


 どんな、やつ――――……だっけ、今日の相手……。


 かろうじて瞳を開ける。
 暗い、部屋。

 めちゃくちゃキスされてるのを少し、引いて――――……。


「――――……」


 一瞬和希かと思って、心臓が止まりそうになって。
 それは、本当に、ほんの一瞬で。

 すぐに、誰なのか、分かって。
 全身が、強張った。


 ――――……え……?


「……し、の――――……?」
「――――……」

 乱れた前髪を掻き上げて。四ノ宮が、オレと視線を合わせた。


「……やっと、ちゃんと分かった?」

 言いながら、ぐ、と奥を突きあげてくる。


「……や、ぁ……っ……」

 奥で止まって。そのまままっすぐに。上から見下ろされる。


「――――……し……のみや……? 何で……?」
「抱いてほしがったのは、あんたですよ」

「――――……ちょ、待って……ぬ、いて……」
「は?」

「抜いて、とり、あえず……っ」

 こんな状態で、何を言ってるんだろうとは思う。
 思うけど。相手、四ノ宮だし! ……何してんの、オレ達……!

 そうか。なんか……クラブで変な風になった、オレ。
 その後の記憶が――――……何かはっきりしない。

 いくつか思い出せそうなシーンが浮かぶけど……
 なんか、いまいち、繋がらない。

 もしかしたら、何か飲まされたのか。
 だから、記憶もこんなに曖昧で……。

「ごめん……、四ノ宮…… 抜いて……」
「――――……冗談でしょ」

「え……ちょ、……あ、あ……っ……んっ、ん、あっ……!」

 激しく突かれて、意識が飛びそうになる。

「……ば、か……っぬけ、って……っ!」

 四ノ宮の裸の胸に手をついて、離そうとするのだけれど。


「――――……こんなとこで抜く男なんて、居ますか?」

 その手を掴まれて、ベッドにくくられる。
 呆れたように言われて、確かに、とは思うのだけれど。


「……っ――――……れよ!!」
「え? なんですか?」

「……こ、んなとこで抜く、初めての男になれよ…っ!!」

 思わず叫んだオレに、四ノ宮は何とも言えない顔をした。

「――――……もう完全に戻ったみたいですね……」

 ふ、と苦笑いして。
 ベッドに括ったオレの手首を、ぎゅう、と更に押し付けて。


「無理。――――……そんな初めての男になんて」
「……や……っ」

「……なれる訳、ないだろ――――……」
「……しの…… っあ……!」

 深く突かれて、名も最後まで呼べない。
 また唇を塞がれて、舌、絡め取られる。


「……ん、ふ…っ……っ……あ……っ」



 喘ぎ、漏らすまいと、思うけど――――……無理。
 こんなの、無理。
 






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