【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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近くて遠い

「戻らない」*大翔※

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 抱くと言っても、男とのやり方なんて詳しくは知らない。

 でも、性別は、関係ないはず。
 感じる所探して、舐めて、噛んで、指で刺激して。

 一番違うのは繋がる所。慣れてないならどうすべきか悩んだと思うけど。
 この人の場合は慣れてるんだし、快感があるから相手を探してするんだろうから。とりあえず、解して、中で、どこが感じるのか、探せばいい。そう思った。

 とりあえず、ホテルにあったローションとゴムだけ用意してから。
 体中、隅々まで触れて、舐めて、感じる所を探した。

 薬の影響もあるんだろうけど、めちゃくちゃ敏感で。
 乳首、首、耳は特に。太腿なんかも、甘噛みすると、甘く鳴く。

 どこもかしこも、感じるみたいで。


「……は――――……ン……」

 キスが好きみたいで、顔を上げると、すぐ求めてくる。
 一生懸命キスしてくる感じが――――……たまんなくて。

 こんな風に、ずっと、抱かれてたのかと思うと。
 ムカついて、しょうがない。

 ローションをたっぷりつけた指は、容易く中に吸い込まれていく。
 最初は恐る恐る、ゆっくりと探っていたけれど。

「……強く、して……?」

 うわごとみたいに、喘ぐから。
 指を増やして、奥まで慣らす。

 いちいち、ムカつく。
 ――――……オレがする事、全部気持ちよさそうに受け取るのが。

 どんだけ、されてきたんだと思うと。
 薬の影響はあったって。元々慣れてなきゃこんなんならねーだろ、と思うと。


「……あ、んん……っひ、ぁ…………っ」


 どんなにしても、気持ちよさそうな喘ぎ。それが、腰に、響く。
 ムカつく一方で、嫌という程、煽られる。


 あーもう……無理――――……。


 興奮しすぎて、痛い。
 こんなの、久々……? ――――……初かも。

 その相手が、男の先輩とか。マジで意味わかんねえ。


「……なあ」

 顎を掴んで、まっすぐオレの方に向けさせる。


「入れていいの?」
「……ん……」

 欲に濡れた瞳。顔は上気してて、息がやたら熱くて早くて、絶えず声が漏れてきてる。いつもの先輩からは、想像もできない位。

「……やらしすぎンだよ……」

 ゴムをつけて、多分充分すぎるほどに、慣らしたそこにあてがう。

「――――……っふ……」

 そのまま止まって――――……ほんの少しだけ、躊躇する。
 せめて、もう少し、ちゃんと意識がある時に……と思うのだけれど。

「……ん…… はや、く――――……」

 涙目が、細められて。オレの肩に先輩の熱い手がかかって、そこでしがみつくようにされて。


「――――……先輩。オレ、誰?」
「…………っ?」


「オレが誰か、言って」
「――――…………しのみや……」

「もっかい」

「しの、みや……」

「オレを見てて」
「――――……」

 先輩の瞳と見つめ合ったまま。
 慣らしたと言っても、狭いその中に、ゆっくりと。


「……っん、あ……」
「だめ。ちゃんとオレを見てろよ」

 目をぎゅっとつむった先輩の顎を捕らえて、そう言って。
 見つめ合ったまま、舌を絡める。

 一度少し抜いてから。ゆっくりと、奥まで挿し入れた。


「……ン……あ……っ」

 声――――…… エロイ。
 つか。


 ……可愛い。
 甘えてる、みたいな。


 言う事をちゃんと聞いて、目をつむらずに、必死で見上げてきてる。ゾク、としたものが、沸き起こる。

 

「――――……ッ……」
 

 ――――……ヤバいなー、これ……。



 ……ハマりそうで。



 覚悟決めたと言ったって――――……少し、うんざりする。




「……ん、ンン……っ――――……」


 瞳から涙があふれてくのを見て、たまらなくなる。
 奥まで押し込んで。きつく抱きしめて、キスした。

 

「――――……ふ……?」


 こんなにキスしたの初めてかもと思う位、キスを繰り返していたら。
 少し、違う感じの声が漏れて。

 先輩の顔を見つめた。


「――――……しの……みや?」
「……ん、そう」

 まだぼんやりしてるけど。
 すこし、まっすぐ、見られてるような気がする。


 時計を見ると、もう4時間は確実に過ぎている。
 そろそろ――――……戻るか? 


 完全に戻った時。
 何て言うか知らねーけど。


 もう、戻らねーから。



「――――……ん……っぅ……」


 オレを見つめる先輩に、また深く、唇を重ねた。





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