【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

文字の大きさ
上 下
82 / 555
近くて遠い

「後悔」*奏斗

しおりを挟む

「なんか元気ない? 大丈夫?」

 初対面の男が、オレを見て、そんな風に聞いてくる。
 
 ……うう。
 こんな初対面の人にまで分かる位、オレって今、落ち込んでるんだ。
 と、思い知る。
 ――――……やっぱり、さっきの、言わなきゃよかった。
 ごめんって謝ったら、許してくれるかなあ……。

 たださ。
 ただ、やっぱり心配するにしてもさ。
 もうちょっと違う感じで心配してくれないかなあ。

 オレ、ほんとに、誰でもいいとか、そこまでじゃないのに……。

 うーん……。
 どう言えばあいつは納得してくれるんだろう。

「な、一緒に飲まない?」
「ぁ、でも……オレまだお酒飲めないから」

「そうなの? じゃあジュース奢るよ」
「でもまだこれ入ってるし。……ありがとう」

 頭に四ノ宮とのさっきの事しかないし、今日はもう無理だ、と思って。
 話しかけてくれるのを、やんわりと、断っているのだけど。
 なかなか通じない。

 ……この人は、ゲイなのかな。
 ――――……誘い方がどっちなのか、よく分かんないけど。

 そこに、もう1人現れた。

「何してんの?」

 オレに話しかけてた人と、友達らしい。

「あーなんか、すっごく可愛い子見つけて、一緒に飲まないかなーって誘ったとこ」

 そんな風に言う男に、もう1人が、オレを見て、にっこり笑う。

「おー、ほんとだ。モデルさんとか?」

 さっきの店でも聞かれたなぁ、これ……。
 ゲイとかじゃないのかな。オレの見た目を弄りに来ただけ?

 オレは、違う、との意味を込めて、首を振った。

「ごめん、オレちょっとトイレ行きたくて……」

 そう言いながらさりげなく、離れようとしたら。

「いいよ、行ってきなよ、終わったらちょっとでいいから話そうよ」
「――――……」

 とうしようかな。うーん……。
 ちょっと固まっていると。

 1人が、飲み物を持ってた店員に話しかけた。

「ノンアルはある?」
「ジンジャーエールなら」

「飲める?」
 そうオレに聞いてくる。

「――――……」

 別にここでジュース飲む位、そんなに頑なに断らなくてもいいか。と思って。頷くと。

「3つ下さい」

 そいつが支払いを済ませるとジンジャーエールが3つ、目の前のテーブルに置かれた。

「トイレ行ったら戻っておいでよ」
「……うん」

 さっき自分で言った手前、仕方なく行きたくもないトイレに向かう。

 ――――……ここ来て、誰ともそうならずに帰るって、初めてかも。

 さっきの2人と話してた時、少し先に、前にホテルに行った奴が居て、一瞬目があった。

 別に、そういう相手に、1回限りだと断ってる訳じゃないから、2度目を誘われる事も無くはないんだけど――――……。

 今日はもう話すのも断るのも、面倒臭いな……。

 ちょうどいいから、さっきのよくわかんない2人と少し話したら、店出よう。

 四ノ宮に、電話しなきゃ。



しおりを挟む
🧡💛💚💙💜💚🩷🩵
お読みいただき、ありがとうございます♡
🩵🩷💚💜💙💚💛🧡

感想やリアクションが、色々な意味で、作品への後押しになります。
なにげないひとつの「ぽちっ」が、私のやる気も後押ししくれています(´∀`*)ウフフ
いつもありがとうございます🩷

投稿サイトが増えてきて全部でお知らせとかが大変なので、
Xでまとめてすることが多いです。

Xノベルとか、短いBL創作とか、これから色々していこう~と思っているので、
フォロー&応援お願いします🩷 
🩵「悠里のX」こちら✨です🩵

感想 331

あなたにおすすめの小説

【完結】捨ててください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。 でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。 分かっている。 貴方は私の事を愛していない。 私は貴方の側にいるだけで良かったのに。 貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。 もういいの。 ありがとう貴方。 もう私の事は、、、 捨ててください。 続編投稿しました。 初回完結6月25日 第2回目完結7月18日

あなたの愛はいりません

oro
恋愛
「私がそなたを愛することは無いだろう。」 初夜当日。 陛下にそう告げられた王妃、セリーヌには他に想い人がいた。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】 僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。 ※他サイトでも投稿中

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

どうやら俺は悪役令息らしい🤔

osero
BL
俺は第2王子のことが好きで、嫉妬から編入生をいじめている悪役令息らしい。 でもぶっちゃけ俺、第2王子のこと知らないんだよなー

処理中です...