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近くて遠い

「絶交とか」*奏斗

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「……あのさ、オレ、こんなとこで店員とかにまで声掛けたり、しないから」 
「さっき部屋ん時から楽しそうに話してたし」

 ……ああ、それもね。
 見てたのか。……ていうか。

「――――……あれは、お酒受け取ってただけだし……」

 そう言ったら。
 四ノ宮は、ふ、と息を吐いた。

「………ほんとに誰でも良いんだなって、思っただけですけど」
「――――……」

 かっちーん。
 今のオレを効果音で表すなら、今度はそれだ。

 ムカつきすぎる。

 いくら。抱き付いてると思われたとしても。
 ……つか、思うなよ、そんな事……!


「……離せよ」

 掴まれていたままだった腕を振りほどいて、四ノ宮から離れる。


「――――……もー……こういうの、言いたくなかったけど……」


 本当に、言いたくなかったけど。
 ――――……心配、してくれてるのは、分かってたから。

 でもなんか――――……限界。
 1回、言っとく。今後、付き合ってく為にも。


「お前はオレの弟じゃないし。……恋人でも、ないし。オレは、今までだって、自分の責任で行動してきたし、リスクだって、分かってる。でもそんなリスクって、誰だってあるし。――――……オレが誰とどうなろうと、お前には関係ないし、お前だって、好きにすればいいと思うし」

「――――……」

「今日お前に近付いてた子達、お前が誘えばすぐ乗ってくるよ。別に小太郎の友達の友達だって、向こうも合コンきてるんだから平気だよ。お前はお前の事、頑張ればイイじゃん。でもって、もうオレに、この件で、構わないで?」

「――――……」

「オレ、ほんとに、そんなそこら中に相手なんか求めてないのに。もう、この件でお前と話すの、嫌だ」
「……先輩」

 さすがにオレが怒ってるのが分かったのか、とりあえず、待って、とばかりにまた腕を掴まれたけれど。

 オレは、また、振り払った。


「オレ、もう今日、勝手に繰り出すから、絶対ついてくんなよ、ついてきたら、絶交するから! お前は女の子と、楽しい一夜をすごせばいいし!」

 店の廊下はガンガンに音楽が鳴ってるので、比較的大きい声で言っても、別に響かない。それをいい事に、思い切り言い切って。

 四ノ宮から離れて、部屋に駆け戻った。

 ――――……絶交なんて。
 小学生以来じゃねえかな、使うの。

 自分に少し呆れながら。
 部屋に入ってすぐ、小太郎の所に向かう。

「小太郎、ごめん、オレ、急用……! 会費はもう払ってあるから、今帰って大丈夫だよね?」

 走って戻ったオレが早口でそう言ったので、「え? ああ、うん、大丈夫。気を付けろよ!」と、小太郎が咄嗟に返す。

 「ありがと」と頷いて、オレは、荷物を手にとると、急いで部屋を出た。他の誰にも話しかけられずに過ぎれるように、猛ダッシュで。 
 
 店の出入り口は、トイレとは逆の方向だから。
 四ノ宮には、会わなかった。まだ、こっちに戻って来てないで、さっきの角の向こうに居る、んだと思う。


 ………立ち尽くしてるとかじゃ……ないよな? 
 トイレ、行ってる……んだよな? 



 ――――……いいや、気にしなくて。


 ……もう、うんざり。


 良い相手探して、発散してやる……。
 





◇ ◇ ◇ ◇


(2022/2/5)





ここから、私がずっと書きたかった方向へ、一気に動いていく……と思います。多分……。
出来たら、ついてきて頂けたら…(*'ω'*)💦


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