【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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近くて遠い

「関係ない」*大翔

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「うん。ていうか、オレ今、お前を捕まえに行こうと思って歩き出そうとしてたんだけど」
「――――……何でですか」
「……謝んないと、と思って」
「――――……昨日のは、先輩は悪くないです」

 あれは、オレが悪い。


「いや。悪いよ。――――……心配してくれてるって、ちょっと考えれば分かる事なのに…… オレが、勘違いして……危ない、とか。そういう意味でいったんだろ?」

 ――――……先輩は、いつも。
 人の言いたいことを、何となくだとしても、察する。

 基本ムッとする前に、気づくはずだ。
 ――――……それでもあの瞬間、先輩が怒ったのは。
 多分、元カレの事で余裕が無くなってたって、ことで。

 もう2、3年は経つんだろうに、まだひきずってるって……。
 

「……そうですけど、言い方が悪かったと思って」
「……違う、オレのメンタルが、ちょっと普通じゃなかっただけだから……ごめんな?」

 先輩がそう謝る。
 ――――……メンタルが普通じゃない。

 自分で言えるなら……分かってるって、ことで。とりあえず今は冷静かな。
 少しほっと、したら。


「……じゃあ――――……仲直り、で、いい?」

 ――――……何だそれ。……ガキっぽい言い方。

 何でか、一瞬心の中が、ふわ、と揺れたような気がした。
 ――――……なんだかよく分かんねえけど。


 とりあえず。
 先輩と「仲直り」は、できた、らしい。
 その後、話していたら。


「はは。そういうブラックなとこ、出せばいーのに。面白いから」

 先輩がそう言った時。

「めんどくせえし――――……先輩の前でだけですよ」


 何か自然とそう漏れた。
 先輩は、きょとんとして、それから――――……ぷ、と苦笑いしてる。



 ――――……なんかオレが今言ったセリフって。
 何だろう、先輩の前だけ、とか。まるで特別、みたいな。

 何言ってんだか。
 一瞬、自分が不思議になりながら。
 会話を続けた。


 その後――――……。
 本棚の所で、一緒に本を探していた時。

 首に、赤い痕を見つけてしまった。


 ――――……キスマーク。 しか、ないよな。

 昨日。
 どっか行ったってことか。


 思わず聞きそうになったけど。
 ――――……オレには、関係ないと、そこで堪えた。


「――――……ん?」

 気づいた先輩に、見上げられる。

「……いや。 何でも、ないです」
「なに?」
「いや……」

 何も言わず、一緒に本を、探すフリを続ける。
 先輩はちょっと気にしてたけど、オレが何も言わなかったので、そのまま、本の方に目を向けた。


 先に先輩が戻って、消えてから。
 は、と息を付いた。

 出さないように、堪えた言葉。

「――――……」


 やっぱ、腹立つな。
 ――――……何……あとなんか、つけられてんだか。

 関係、無いから。言わねえけど。

 つーか。何でこんなに腹立つんだろ。



 なんか、モヤモヤしながらも、とりあえず関係ないと自分に言い聞かせながら、課題に取り組んでいると。

 どーやら集中力が切れたらしい先輩らが話し出した。

 ――――……雪谷先輩は、キスマークを突っ込まれて、彼女居ないしとか、素知らぬ顔ですっとぼけているし。

 しばらく課題に集中していたのに、またムカムカが湧き上がってきた。

 そんな気分なのに。
 何だか知らないが相川先輩に合コンに誘われ。


 はっきり言って、相川先輩の知り合いと合コンとか。
 マジメに付き合うつもりならいいのだろうけど、

 迂闊に手ぇ出すわけにもいかねえし、何が楽しくて、と思うのだが。



 雪谷先輩が参加、と聞いて。
 ――――……行こうかな、とか。


 自分で、全く意味が分からない。






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