【初恋よりも甘い恋なんて】本編完結・番外編中💖

悠里

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1ミリ近づいて

「執事さん」*奏斗

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「じゃあな、カナ。また来る」
「うん」

 土曜は、午前バスケ、お昼を食べて、午後もバスケ。バスケコートで会った知らない人達とゲームまでしたりしてとにかく物凄い疲れた。一緒に駅前で夕飯を食べて、改札で別れた。

 ……あー疲れた。

 ――――……んー、なんかちょっと……シたい、かも。
 こないだは四ノ宮と会っちゃって、全く身が入らなくて、なんかほとんど記憶に残ってない位だし……。

 たまってんのかなあ……。クラブ、行こうかな……。

 でも今日はバスケに付き合ったせいで、すでに体のあちこちが痛い。やっぱり相当なまってて、現役で部活やってる真斗についてくのは本当に大変だった。明日はもっと筋肉痛になるかも……今日はやめとこ。


 アイス食べよっかなー。甘いもの補給して、早く寝よ。
 そう思って、途中のコンビニに行って、アイスを選ぶ。

 ひとつに決められず、いくつか買ってレジを済ませた。


 また木曜に、クラブ行こうかなー……。
 そんな事を思いながら、マンションまでの道のりを歩く。

 前方に、月。 昨日と同じ形だなあ……。なんて、のんびり歩いて帰りつくと、マンションのエントランス近くの来客用駐車場に、なんだかものすごく高そうな車が止まっていた。
 なんかすげー車……。なんて、目に映してたら。そこから降りてきた人に――――……足が止まった。

 相手も車から降りて中の人に何か言いながら顔を上げて、オレと視線が合って、固まった。

「……雪谷先輩」
「う、わー。四ノ宮……」

 オレから漏れた第一声はそれだった。すると。

「うわーって何ですか。失礼ですよね」
 すごく嫌そうな顔。

 ……ああ。なんか、素っぽいな。

「あ、ごめん。 だってここ数日の、お前の出現率が半端なくて」
「こっちのセリフでもあるんですけど。オレが出現してるみたいな言い方やめてくれません?」

「あ、確かに。お互いだよな」

 ふ、と笑ってしまう。

 すると、車の運転席が開いた。
 ものすごく品の良いと感じるスーツ姿。30前後かな、少し年上の男の人が出てきた。

「こんばんは」
「あ。どうも……こんばんは」

 挨拶されてしまって、ぺこ、と頭を下げる。

「大翔さん? ご友人ですか?」
「――――……ゼミの先輩」

 少し間を置いて、四ノ宮がそう言って、そしたらこれまた少し間が空いて、その人も、オレを見つめた。
 
「初めまして。葛城と言います」
「あ、どうも。 雪谷、奏斗です……」


「――――……雪谷さんですか」

 また変な間が空く。……こういう話し方をする人なのかな。

 オレってば、何となくフルネーム名乗ってしまった。
 だってあんまりこんな風に、挨拶することってないし。

 なんだろ、名字違うからお兄さんって訳じゃないだろうし。
 誰??と思っていると。

「私は四ノ宮家に仕えている者でして……大翔さんのお世話など色々しています」
「お世話……ですか?」


「お世話と言うのは……そうですね、一般的には執事のようなものだと思って頂ければ」
「え」

 聞き間違いかと思ってしまうけれど。
 確かに言った。

「しつ……じ??」
「先輩?」

「執事ってほんとに居るんですか?? 映画とかドラマの中だけじゃなくて?」

 思わずそう言ったら、四ノ宮がくっと笑ってる。

「ええ。居ますよ」
「うわー、すごい、初めて会いました」

「そうですか」

 葛城さんはオレを見て、ふ、と笑う。

「先輩、興奮しすぎ……」

 四ノ宮はさっきから、クスクス笑ってるし。

 並んだ2人に笑われて。 
 その時ふっと突然気づく。

 ――――……なんなの、この2人。
 顔面の偏差値が高すぎる。揃っちゃうと相乗効果でヤバい。



 イケメンは、執事もイケメンと決まってるのかな??


 この人は、顔も良いとは思うのだけど。

 なんか、それ以上に立ち姿が凛としているというか。
 ほんとに「品が良い」と感じる、あまり周りに居ない雰囲気の人だなあと、思う。




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