24 / 556
1ミリ近づいて
「真斗と」*奏斗
しおりを挟む「カナは、しっかりしてそうで抜けてんだからさ……1人暮らし、大丈夫なのか? 変な奴につきまとわれたりしてない?」
「してないよ」
「家から通えばいーのに。つか、やっぱ心配だから家帰ってこいよ」
「……まあそれはしょうがないだろ?」
オレが言うと、真斗はため息。
「……オヤジなんてどーせ忙しくて家に居ないんだから関係ないじゃん」
「そうだけど…… でも顔合わせない訳にはいかないし。お互いの精神衛生上、これがいいんじゃないかな。しょうがないよ」
「しょうがなくない。――――……別に、カナがゲイだって、家族に変わりはねーのにさ。あのくそ親父」
父の事を、吐き捨てるように言う弟に、困ってしまう。
「しょうがないよ。息子が、男に、とか――――……受け入れられないのも分かるし。……マンション借りてくれてさ。見捨てるとかでもないし、むしろ感謝してるよ」
「――――……しなきゃいけないのは、そこじゃねえし」
淹れ終えたコーヒーを、ローテーブルの上に置きながら、真斗を見つめる。
「時間かかるんだよ。そう簡単に受け入れられる事だと思ってないし」
――――……大好きだった恋人と、別れたその日。
最後、別れ際にキスした所を、父さんに、見られた。
外でなんかした事なかったのに。
――――……最後だからと。もうその時は別れがショックすぎて、隠すとか人が居るとか、全然気にしてなくて。
オレが馬鹿だったんだし。
カミングアウトもしてない状態で、仕事帰りの父さんが、外で、息子が男とキスしてるの見たその衝撃、想像できるし。
「……あんまり父さんの事、悪く言うなよ」
「――――……カナの事に関しては許せない」
「……オレが悪いんだから」
「カナは別に悪くない」
まっすぐ真斗の視線に、ふ、と嬉しくなる。
「もー、真斗は、ほんと可愛いなー」
ぎゅー、と抱き付いて、よしよし、と撫でると「やめろよ」と離される。
「照れんなよ」と再び抱き付いて。
「真斗がずっと、認めてくれてるから。……なんかすごく、救われてるし」
「……当たり前だろ。兄弟なんだから」
「――――……真斗が嫌悪したって、おかしくないっても思うんだけどね」
「カナの事、嫌悪するとか、ねーから」
「……ありがと」
ふ、と笑って、よしよし、と撫でて、真斗から離れる。
「ほんと、イイ男に育ってるなー、真斗」
「――――……」
何も言わないけど。
ちょっと喜んでるっぽいのは分かる。
ふ、可愛い。
「そういえばまだバスケ部引退しないの?」
「最後の大会に負けた時点で引退。そしたら受験生」
「ていうか、今も受験生だけどねー。勉強ちゃんとしてる?」
「一応してる」
「頑張れよなー」
「頑張るよ」
コーヒーを飲みながら、あ、と思って、真斗の顔を見る。
「大会応援に行くから。教えてね」
「ん。来週末からだよ」
「……ていうか、そんな時に、明日部活休みでいいの?」
「なんか体育館の点検があるとかで、使っちゃダメなんだって。明日は各自自主トレしろって。だから明日付き合ってよ」
「ん、いーよ」
なんだかんだで、真斗が泊りに来るのは久しぶりで。
連絡は取り合ってるけど、顔見てゆっくり話すのも久しぶり。
2人でソファに座って、他愛もない話を続けた。
113
🧡💛💚💙💜💚🩷🩵
お読みいただき、ありがとうございます♡
🩵🩷💚💜💙💚💛🧡
感想やリアクションが、色々な意味で、作品への後押しになります。
なにげないひとつの「ぽちっ」が、私のやる気も後押ししくれています(´∀`*)ウフフ
いつもありがとうございます🩷
投稿サイトが増えてきて全部でお知らせとかが大変なので、
Xでまとめてすることが多いです。
Xノベルとか、短いBL創作とか、これから色々していこう~と思っているので、
フォロー&応援お願いします🩷
🩵「悠里のX」こちら✨です🩵
お読みいただき、ありがとうございます♡
🩵🩷💚💜💙💚💛🧡
感想やリアクションが、色々な意味で、作品への後押しになります。
なにげないひとつの「ぽちっ」が、私のやる気も後押ししくれています(´∀`*)ウフフ
いつもありがとうございます🩷
投稿サイトが増えてきて全部でお知らせとかが大変なので、
Xでまとめてすることが多いです。
Xノベルとか、短いBL創作とか、これから色々していこう~と思っているので、
フォロー&応援お願いします🩷
🩵「悠里のX」こちら✨です🩵
お気に入りに追加
1,684
あなたにおすすめの小説

紹介なんてされたくありません!
mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。
けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。
断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?

もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる