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よりによってなんで?
「予想外?」
しおりを挟む少し黙っていた四ノ宮が、ゆっくりとオレに顔を向けた。
「――――……隠すの、辛くないですか?」
「え?」
いきなり言われた言葉についていけず、四ノ宮を見つめ返すと。
四ノ宮は、一瞬、ふ、と笑って、続けた。
「オレ、なんでも話、聞きますよ?」
「――――……」
「誰かに話したい時とか。 オレに言ってくれたら、嬉しいですけど」
「――――……」
言葉だけ聞いてたら。いい奴だと、思う。
――――……ゲイ告白に引きもせず。しかも、生々しく男とラブホに入ってくとこまで見られたのに。
隠してると伝えたら、話聞きますよ、って。言ってくれる。
すごく――――……いい奴、に、聞こえる言葉なのに。
……ああ。
うん。
……面と向かって、言葉を聞いて、顔を見て。
そしたら、唐突に分かった。
オレがこいつを苦手な理由。
たまに一瞬だけ見せる、表情と、そのセリフが。
なんか、合って、ないんだ。
だから。――――…… うさんくさいって。
裏がありそう、本性隠してるって。
オレは、感じてるんだ。
「あのさ、四ノ宮……?」
「――――……」
「……お前、本気でそれ、言ってる?」
「――――……は?」
眉を顰めた顔。
――――……怒らせたら、ばらされるかなあ……。
なんて思いながらも。
もう、なんか。
このモヤモヤを晴らしたくてしょうがない。
「本気でしゃべってる?って、聞いてるんだけど……」
「――――……どーいう事ですか?」
す、と視線が鋭くなる気がする。
――――……いつもの、フワフワした、いかにも良い人な感じの笑みが、少し引いた。
どう、転ぶ、かなあ……。
これ、言ったら。まずいかなあ……。
でもダメだ。ここで止めるなんて無理。
「ほんとはさ、違うこと、思ってない?」
そう聞いたら、四ノ宮はオレをまっすぐ見つめた。
「……じゃあ、今、オレが何て思って話してると思ってるんですか?」
そう聞かれて、少し考える。
……何となく。浮かんではいるんだけど。
言って良いのか、躊躇う。
数秒躊躇ってから。オレは、思い切って、言ってみることにした。
「……間違ってたら、ごめんな」
「――――……はい」
「……ゲイなんだから辛いことなんかいっぱいあるだろうけど、まあ自業自得だし、オレ良い人って事になってるし、少しは、話位聞いてやろうかなあ。みたいな……?」
「――――……」
「……分かんないけど。なんか、そんな感じ……? 良い人って、思わせたいんだろうなあとか………そんな気がする」
「――――……」
なんか、ものすごいマジマジと、見つめられる。
あまりに長いこと、何も言われず見つめられて。
ちょっと冷静になると。
「……ごめん、失礼か。……失礼だよなオレ。悪い」
よく考えたら、ゲイを隠してくれて、表面上だったとしても、話聞きますよとか、言ってくれた後輩に言う事じゃない。
……どんなに苦手でうさん臭くて、耐えられなくなったとしても。
言うべきじゃなかった……かな。
「……ごめん、今の、言い過ぎた」
……唐突に失礼だったよな。そう思って、謝る。
四ノ宮は、じっとオレを見ていたけれど。
ふー、と息をついて。
自分の前髪を掻き上げた。
「……ほんと先輩てさ」
「――――……?」
「……なんか予想外っていうか………」
……予想外?
「……四ノ宮?」
四ノ宮は、目の前で、ふ、と苦笑いを浮かべた。
なんだか、その笑いは。
いつもの、良い人を作った、笑顔じゃない気がして。
じっと、見つめてしまった。
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🧡💛💚💙💜💚🩷🩵
お読みいただき、ありがとうございます♡
🩵🩷💚💜💙💚💛🧡
感想やリアクションが、色々な意味で、作品への後押しになります。
なにげないひとつの「ぽちっ」が、私のやる気も後押ししくれています(´∀`*)ウフフ
いつもありがとうございます🩷
投稿サイトが増えてきて全部でお知らせとかが大変なので、
Xでまとめてすることが多いです。
Xノベルとか、短いBL創作とか、これから色々していこう~と思っているので、
フォロー&応援お願いします🩷
🩵「悠里のX」こちら✨です🩵
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