6 / 551
よりによってなんで?
「5限が永久に来なければ」
しおりを挟む翌朝。電車の窓から外を見ながら、ため息を付いた。
昨日結局、四ノ宮には連絡は出来なかった。
向こうからも来ていない。
………今あいつって、何を思ってるんだろう。
オレがゲイだと知ってるのは、あのクラブ関係以外だと、父母と弟。
あとは、1人だけ。
そいつとはもう一切関わりが無いから、身近な他人は誰も知らない。
オレは、女の子にもモテる。別に悪い気はしない。
女の子と話すのも好きだから、仲の良い子も多い。
ただオレは、男にしか反応しない。しかも受け側。
物心ついて、ゲイという存在を知った頃から、もしかしてとは思ってはいた。女の子を可愛いと思うよりも、男をカッコいいと思う方が多かったから。
中学で、男に恋をした。
――――……迷うことも無い位、はっきりと恋だった。
でも最初は、少しは抵抗しようとしてはみた。
女の子にも興味が持てないか。色々見てみたりもした。
でも、すぐに自分で分かった。
女の子相手には、全く反応しない。これっちぽっちも、欲情しない。
あれからもう何年も経ってるし。色々あったし。
――――……自分がゲイだって事にはもう、納得はいってる。
もう、そういう運命で生まれてきたんだって、そう思ってる。
世で言う「普通」が良かったなと、少しは思う。
彼女が出来て、人目を気にせず彼女と手を繋いでデートして、いつか結婚して家族になる未来を望んだりしてみたかったなぁと思う自分も居るけれど。
まあでも。
……その点についても、もう諦めてるし。
性的嗜好が少し違うだけで。
そこについて悩む事も、もう無い。
――――……執着せずに今のまま、その時限りの関係を楽しんで。
あとは、普通の日々を楽しく生きていければ。
それでいいと思ってたのに。
もう楽しく生きていけないかな……。
はーー。 大学休みたい……。
5限が永久に来なければいいのに。
87
お気に入りに追加
1,602
あなたにおすすめの小説
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
初夜の翌朝失踪する受けの話
春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…?
タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。
歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる