262 / 274
◇浮かれて。
しおりを挟む
一緒に食事をして、片付けるからと、陽斗さんには座っててもらうことにした。片付け位一緒にできるのにというけど、今日はオレが世話する日、と言って断った。
「陽斗さん、コーヒー飲みますか?」
「うん」
ソファに座ってる陽斗さんに聞くと、頷く。それだけでなんか幸せ、とか。
ああ、オレ相当浮かれてるかもしれない。
テレビをつけて、ぼーと眺めてる。
天気もいいし、明るい陽の中、穏やかな雰囲気で座ってる陽斗さん。
どう落ち着こうとしても、やっぱり幸せすぎる。
コーヒーを入れて、マグカップを陽斗さんに渡して、隣に座った。
「ありがと」
ふわ、と笑って、コーヒーを飲んだ陽斗さんと、目が合う。
「三上って」
「はい?」
「イイ男だよな」
「――――……」
まっすぐ言われて、とっさに返せない。
「……そう、ですか?」
「うん」
ふ、と笑う。
「陽斗さんに言われると――――困りますね」
「困る? 何で?」
「……絶対陽斗さんのが、イイ男だと思われてると思うので」
「そんなこと無いと思うよ」
コーヒーを一口飲んでから、オレを見つめる。
「見た目だけでもさ、背高いし、強そうだし。筋肉あるの、スーツ着てても分かるし」
「でも別に陽斗さんも小さいとかじゃないし」
「まあそうなんだけど。三上が入ってきた時、後ろにいた女子たちが良い体してるって静かに盛り上がってて、確かに、と思ったんだよね」
「そうなんですね」
まあ、良い体してるとは言われるけど。
「特攻服、似合ってたもんなー。あれ、体格いいと、カッコいいよな」
「その話、好きですね」
また出てきた特攻服に、笑ってしまうと、陽斗さんも、悪戯っぽく笑う。
「だって、あれカッコいい」
「本気ですか?」
「うん。似合ってたよ?」
「族とか、憧れありました?」
「ん、高校生の時?」
「はい」
「憧れは、ないかなあ。オレ、バイオレンスとはかけ離れたとこに居た」
クスクス笑う陽斗さんに、そうですよね、と笑ってしまう。
「良かったですよ、陽斗さんの顔、殴られたりしたら、嫌ですし」
「はは。そう?」
「そうですよ。過去でも、考えただけで嫌ですね」
「そっか」
「何してました? 高校ん時」
ふ、と笑う陽斗さんに、思いついた質問をすると。
「部活頑張ってた。――――……何部だったと思う?」
楽し気に微笑んで、陽斗さんがオレを見つめる。
何だろ?
「文化部じゃないですよね?」
「うん」
「サッカーっぽくないような……」
「何で?」
「脚、綺麗だから」
言ったら陽斗さんは、きょとんとして、脚?と聞いてくる。
「サッカーって筋肉つくからもっとごついかなって」
「なるほど……うん。サッカーじゃないよ」
「んーなんだろなぁ」
「あててみて」
クスクス笑って、オレを見つめてくるのが可愛く見えて、抱き締めたいのだけれど、コーヒーを持っているし、その前にと答えを考える。
「……剣道とか?」
「んー……違う」
「んー、って?」
「……ちょっと惜しいから」
「惜しいの? ……フェンシングとか?」
「フェンシング、高校の部活にあるとこあるの?」
「うちありましたよ?」
「へえ、そうなんだ」
「でも違うんですね。んー……」
……惜しい、か。
何だろ。柔道ぽくないし。……あ。
「弓道は?」
言った瞬間、陽斗さんがぱっと笑顔になった。
「あたり」
「弓道か……似合う、すごく」
「そう?」
ふ、と笑って、またコーヒーを飲んでるけど。
なんか、袴姿とか。エロい。
――――……怒られるか。
(2023/9/24)
5か月ぶり(^^;
すみません、お久しぶりで。
「陽斗さん、コーヒー飲みますか?」
「うん」
ソファに座ってる陽斗さんに聞くと、頷く。それだけでなんか幸せ、とか。
ああ、オレ相当浮かれてるかもしれない。
テレビをつけて、ぼーと眺めてる。
天気もいいし、明るい陽の中、穏やかな雰囲気で座ってる陽斗さん。
どう落ち着こうとしても、やっぱり幸せすぎる。
コーヒーを入れて、マグカップを陽斗さんに渡して、隣に座った。
「ありがと」
ふわ、と笑って、コーヒーを飲んだ陽斗さんと、目が合う。
「三上って」
「はい?」
「イイ男だよな」
「――――……」
まっすぐ言われて、とっさに返せない。
「……そう、ですか?」
「うん」
ふ、と笑う。
「陽斗さんに言われると――――困りますね」
「困る? 何で?」
「……絶対陽斗さんのが、イイ男だと思われてると思うので」
「そんなこと無いと思うよ」
コーヒーを一口飲んでから、オレを見つめる。
「見た目だけでもさ、背高いし、強そうだし。筋肉あるの、スーツ着てても分かるし」
「でも別に陽斗さんも小さいとかじゃないし」
「まあそうなんだけど。三上が入ってきた時、後ろにいた女子たちが良い体してるって静かに盛り上がってて、確かに、と思ったんだよね」
「そうなんですね」
まあ、良い体してるとは言われるけど。
「特攻服、似合ってたもんなー。あれ、体格いいと、カッコいいよな」
「その話、好きですね」
また出てきた特攻服に、笑ってしまうと、陽斗さんも、悪戯っぽく笑う。
「だって、あれカッコいい」
「本気ですか?」
「うん。似合ってたよ?」
「族とか、憧れありました?」
「ん、高校生の時?」
「はい」
「憧れは、ないかなあ。オレ、バイオレンスとはかけ離れたとこに居た」
クスクス笑う陽斗さんに、そうですよね、と笑ってしまう。
「良かったですよ、陽斗さんの顔、殴られたりしたら、嫌ですし」
「はは。そう?」
「そうですよ。過去でも、考えただけで嫌ですね」
「そっか」
「何してました? 高校ん時」
ふ、と笑う陽斗さんに、思いついた質問をすると。
「部活頑張ってた。――――……何部だったと思う?」
楽し気に微笑んで、陽斗さんがオレを見つめる。
何だろ?
「文化部じゃないですよね?」
「うん」
「サッカーっぽくないような……」
「何で?」
「脚、綺麗だから」
言ったら陽斗さんは、きょとんとして、脚?と聞いてくる。
「サッカーって筋肉つくからもっとごついかなって」
「なるほど……うん。サッカーじゃないよ」
「んーなんだろなぁ」
「あててみて」
クスクス笑って、オレを見つめてくるのが可愛く見えて、抱き締めたいのだけれど、コーヒーを持っているし、その前にと答えを考える。
「……剣道とか?」
「んー……違う」
「んー、って?」
「……ちょっと惜しいから」
「惜しいの? ……フェンシングとか?」
「フェンシング、高校の部活にあるとこあるの?」
「うちありましたよ?」
「へえ、そうなんだ」
「でも違うんですね。んー……」
……惜しい、か。
何だろ。柔道ぽくないし。……あ。
「弓道は?」
言った瞬間、陽斗さんがぱっと笑顔になった。
「あたり」
「弓道か……似合う、すごく」
「そう?」
ふ、と笑って、またコーヒーを飲んでるけど。
なんか、袴姿とか。エロい。
――――……怒られるか。
(2023/9/24)
5か月ぶり(^^;
すみません、お久しぶりで。
74
お気に入りに追加
1,258
あなたにおすすめの小説
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
初夜の翌朝失踪する受けの話
春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…?
タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。
歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる