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◇浮かれて。

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 一緒に食事をして、片付けるからと、陽斗さんには座っててもらうことにした。片付け位一緒にできるのにというけど、今日はオレが世話する日、と言って断った。

「陽斗さん、コーヒー飲みますか?」
「うん」

 ソファに座ってる陽斗さんに聞くと、頷く。それだけでなんか幸せ、とか。
 ああ、オレ相当浮かれてるかもしれない。

 テレビをつけて、ぼーと眺めてる。
 天気もいいし、明るい陽の中、穏やかな雰囲気で座ってる陽斗さん。
 どう落ち着こうとしても、やっぱり幸せすぎる。

 コーヒーを入れて、マグカップを陽斗さんに渡して、隣に座った。

「ありがと」
 ふわ、と笑って、コーヒーを飲んだ陽斗さんと、目が合う。

「三上って」
「はい?」
「イイ男だよな」
「――――……」

 まっすぐ言われて、とっさに返せない。

「……そう、ですか?」
「うん」
 ふ、と笑う。

「陽斗さんに言われると――――困りますね」
「困る? 何で?」
「……絶対陽斗さんのが、イイ男だと思われてると思うので」
「そんなこと無いと思うよ」

 コーヒーを一口飲んでから、オレを見つめる。

「見た目だけでもさ、背高いし、強そうだし。筋肉あるの、スーツ着てても分かるし」
「でも別に陽斗さんも小さいとかじゃないし」
「まあそうなんだけど。三上が入ってきた時、後ろにいた女子たちが良い体してるって静かに盛り上がってて、確かに、と思ったんだよね」
「そうなんですね」

 まあ、良い体してるとは言われるけど。

「特攻服、似合ってたもんなー。あれ、体格いいと、カッコいいよな」
「その話、好きですね」

 また出てきた特攻服に、笑ってしまうと、陽斗さんも、悪戯っぽく笑う。

「だって、あれカッコいい」
「本気ですか?」
「うん。似合ってたよ?」
「族とか、憧れありました?」
「ん、高校生の時?」
「はい」
「憧れは、ないかなあ。オレ、バイオレンスとはかけ離れたとこに居た」

 クスクス笑う陽斗さんに、そうですよね、と笑ってしまう。

「良かったですよ、陽斗さんの顔、殴られたりしたら、嫌ですし」
「はは。そう?」
「そうですよ。過去でも、考えただけで嫌ですね」
「そっか」
「何してました? 高校ん時」
 ふ、と笑う陽斗さんに、思いついた質問をすると。

「部活頑張ってた。――――……何部だったと思う?」

 楽し気に微笑んで、陽斗さんがオレを見つめる。
 何だろ?

「文化部じゃないですよね?」
「うん」
「サッカーっぽくないような……」
「何で?」
「脚、綺麗だから」

 言ったら陽斗さんは、きょとんとして、脚?と聞いてくる。

「サッカーって筋肉つくからもっとごついかなって」
「なるほど……うん。サッカーじゃないよ」
「んーなんだろなぁ」
「あててみて」

 クスクス笑って、オレを見つめてくるのが可愛く見えて、抱き締めたいのだけれど、コーヒーを持っているし、その前にと答えを考える。

「……剣道とか?」
「んー……違う」
「んー、って?」
「……ちょっと惜しいから」
「惜しいの? ……フェンシングとか?」
「フェンシング、高校の部活にあるとこあるの?」
「うちありましたよ?」
「へえ、そうなんだ」
「でも違うんですね。んー……」

 ……惜しい、か。
 何だろ。柔道ぽくないし。……あ。

「弓道は?」
 言った瞬間、陽斗さんがぱっと笑顔になった。

「あたり」
「弓道か……似合う、すごく」
「そう?」

 ふ、と笑って、またコーヒーを飲んでるけど。

 なんか、袴姿とか。エロい。
 ――――……怒られるか。



 
(2023/9/24)
5か月ぶり(^^;
すみません、お久しぶりで。
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