【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

悠里

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番外編◆クリスマス🎄2/2

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 ふと、目が覚めた。
 とてもとても、あたたかくて幸せな気持ちで。

 目を開けたら、三上に抱き締められてて、そっと上に視線を向けると、三上は、すやすや眠ってた。

 ……珍しい。

 ……ていうかさ。昨日、めちゃくちゃするから。
 疲れてんだろ。

 と、昨日の三上にツッコミを入れたくなる。

 たまに、少しだけ暴走……な感じのする年下の、恋人。
 ――――……大好きだから。いいんだけど。

 昨日もほんと激しかったな……。
 体、痛い気がする。

 ……幸せな感じ、だけど。
 …………ってオレ、恥ずかしくない? 一人で何言ってんだろ……とも思うんだけど。でも。

 端正な顔。整ってて。ほんとカッコいいなと、思ってしまう。
 ……別に、カッコいいから好きだとか、そんな訳じゃないけど。

 今までも、そこまで外見重視で付き合ってた訳じゃないし。
 まあ……なんとなく綺麗な子は多かったけど、それは告ってくる子がそうだっただけで……。

 でもなんか。
 この整った顔が、オレを見て、笑ったり、困ったり、たまに焦ったり。
 ……それから。

 可愛いとこ一切なくなって、オトコだなって顔をして、オレを熱っぽく、見つめてくるのが。

 ……とにかく、全部、好きだなあ……。


 寝てると、可愛い。
 ふふ。

 こういうとこは、弟っぽいかもしれない。
 すやすやって感じ。
 可愛いなあ。

 って……好きすぎだよな。オレ。三上のこと。

 三上じゃなかったら、オレは男とは付き合ってないと思う。
 対象にもならないし。

 三上にしたみたいに、他の誰かにあの悩みを話して、試しにキスして、なんて話になったとしたって……やっぱり土壇場で、無し、だったよな。

 ……ていうか、そもそも、あんな話、ほいほい誰かにしないし。
 ってことは、オレ。やっぱりもともと、三上を信じてたんじゃないかなあ。バカにしたり、からかったりしない奴だって。……ずっと避けて話もしてなかったくせに。

 会社で、三上がモテる話を、オレの同期とかが話すのをたまに聞く。「お前の後輩が~」っていう話の流れで。三上ってやっぱり目立つみたいで、よく話に出るらしい。

 ……まあ分かる。
 カッコいいもんな。うん。

 とか思うと。……普通に女の子と付き合って、普通の家庭を持った方がいいんじゃというそんなことを、先輩としては、後輩にお勧めしてあげたい気持ちも少しはあるけど。

 ……でもダメかも。
 三上がオレを好きって顔で、見てくれてる間は、ずっとそばにいる。
 ……それがずっとだといいなと、思うオレも居るし。


「――――……」

 なんか今日、すごい寒い。
 ……あと、すごく、静か。


 三上の腕を抜け出して、窓から外を見ると――――……。
 白い。……雪だ。
 道理で、寒い。


「三上……」

 思わず名を呼んで、ポンポンと触れた。

「陽斗さん……?」

 眠そうな声。
 ……可愛いな、なんて思いながら。

「雪が、降ってるよ……」
「……え」

 三上が起き上がって、窓から外を見下ろす。

「ほんとだ。……道理で寒いと思った」

 ふ、と笑んで見つめられる。なんだか言葉が出ないけど。
 二人同時に、ぶる、と震えた。

 昨日抱き合って、そのまま寝ちゃったから、上は着てないんだよね。寒い……。
 二人でクスクス笑いながら、布団にもぐって。中で、ぎゅ、と抱き締められた。


「……今日、どうする?」

 オレが聞くと。

「オレも聞こうと思ってたんだけど……」
「あ、そうなんだ」

 ふふ、と笑った唇に、キスされる。


「ずっとこうしててもいいし――――……出かけてもいいし」
「……うん。だね」

「陽斗さんと二人で居れるなら、ほんとに何でもいいですよ」

 ――――……きゅん。
 みたいな効果音が。自分の中で聞こえる気がする。

 漫画で見かけた気がする、心臓に矢が撃ち込まれるような。そんな感覚が、三上と居ると、よくある気がする。

 なんなのこれ。
 ……カッコいいけど、可愛いし。
 可愛いのに、すごく頼りになったり。

 …………好きすぎるかもしれない。



「……オレも、ほんとになんでもいいけど」
「ん?」

「とりあえず、一緒に風呂入って、あったまろ? シャワーじゃ寒い……」

 そう言うと、三上は、オレを抱き締めたまま、ふ、と微笑んで頷いた。



「あー……」
「……ん??」

「……積もったら、ホワイトクリスマスですね」
「うん。そだね。……三上って、ロマンチスト、だよな」

 クスクス笑うと、ちょっと思っただけですよ、と苦笑いしてる。

 ――――……可愛いな。
 オレを抱いてる三上の方に、少し体を寄せて、ちゅ、とキスした。

「……あの」
「ん?」

「……昨日めちゃくちゃしたんで、我慢してるんですよね、オレ」
「――――……」

 めちゃくちゃした自覚、あるんだな、とか思って、少し可笑しい。
 ……ん?? 我慢?

「……我慢してんの??」
「――――……してますよ」

「え、何を?」
「何をって……」

 めちゃくちゃ苦笑の三上。

「触りたいのを」
「嘘でしょ?……マジで?」

 あんなにしたのに? 
 思わず好奇心に負けて、そろそろと、三上の下の方に手を伸ばしてしまう。

「ちょっ……! 陽斗さん!」

 なんかちょっと、怒ったように呼ばれてしまった。

「ごめん、だって……」

 ほんとかなって思ってつい……。
 ますます反応しちゃったような……。
 えーと……。

「あの……一回だけ、な?」
「――――……」

 言うと。一瞬、え、いいの? みたいな顔をしたけれど。
 すぐに、もうすっかりその気の三上に押し倒されて、キスされる。

「あ……」
「え?」

 ふと思い出したことを、話し始める。

「……ホワイトクリスマスのさぁ」
「はい……?」
「反対の言葉、知ってる?」
「えーと? ……ブラッククリス……」
「不正解、だよ」

 途中でふふ、と笑いながら言うと、不思議そうな顔をした三上の首に手をかけて、引き寄せる。

「グリーンクリスマスって言うんだってさ」
「……何でですか?」
「さあ……よくわかんない……そう聞いただけ」

 ふうん、と笑う三上に、キスする。


「……ごめん。ちょっと思い出したから、言いたかっただけ……続き。しよ」

 そう言うと、なんだか、食べられてしまいそうな感じで、キス、される。


「……ん……っふ……」



 ……ああ、なんか。
 …………きもちぃな。


 こんなに。
 好きになるなんて。
 

 ――――……クリスマス、これからも、ずっと。
 一緒に居られたらいいな、なんて。思うなんて。






 三上との初めてのクリスマスの朝は。
 結構長いこと。ベッドで過ごすことになった。 






- Fin -







(2022/12/31)
大晦日……(^^;♡



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