上 下
246 / 274

◇可愛くて。※

しおりを挟む

 
「陽斗さん、話したいこと、今はもう無いですか?」
「……?」

「始めたらもう止めらんないと思うから。話したいことあったら、今全部言って?」

 そう言うと、一瞬間をおいてから、無い、と答えてくれた。

 ベッドに組み敷いて、唇を重ねる。すぐに、深く深く重ねながら、服の裾から手を入れる。肌に触れて、まだ汗ばんではいない、さらさらした触り心地の良い肌を撫でると、たまに、ん、と声を漏らして、ぴくんと動く。

 くすぐったがるの、可愛い……。
 ――――……つか……なんかすでに、もうオレ、準備オーケーかも……。

 早く、繋がりたい、とか思ってしまう。……もちろん、そんなわけにはいかないけど。

「陽斗さん……」
「……ん……ン……」

 舌を存分に絡めて、奪う。

「……ん、ぅ……」
「――――……」

 オレの袖に手がかかって、ぎゅ、と握られる。――――……そんな仕草だけで可愛いとか。
 なんでだろ。 オレ、ほんとにヤバいな。


 ――――……お試しじゃない、恋人。

 そう言ってくれたのが思っていた以上に、じわじわと嬉しくなっていって。
 触れてるこの人が、大事に思えて、しょうがない。

 手を胸に滑らせて、突起を指の腹で刺激する。

「んっ……」

 びく、と震えて舌が外れるけど、すぐにまた、舌をオレに触れさせてくる。
 胸に触ってオッケイてことで受け取って、つまんだり、引っかいたりしてみる。

 思う通り、震える体。
 前の時も、初めてだったけど、結構、敏感だったっけ……。

 ――――……すげー可愛い……。


 先輩のが、だんだん反応してきたのが分かって、オレが自分のを押し付けてみると。


「……っ」

 とろんとした顔をして、伏せていた瞳が見開かれて、至近距離のオレを焦ったみたいに、見つめてくる。


「……わかる? これだけで、もうすっげえ硬くなってんの」
「――――……っ……」

 一気に赤面するとか。
 ……反応が、可愛すぎて。

 …………だから、まずいって……。


「……すげえ、好き。陽斗さん」

 ぎゅ、と抱き締めて、首筋に顔を埋める。

 舌を這わせて、そのまま耳に這わせると、あ、と声が上がる。
 しばらく胸をいじりながら、耳を嬲って。

 すると、あっという間に涙目になってて、それに気づくと――――……可愛くて、ふ、と笑ってしまう。


「……っん、ん……」

 また唇を合わせて、深くキスしながら着ていた服をめくる。唇を一度離して、すぽ、と脱がせた。

 肌、綺麗――――……。
 細めだけど、細すぎず。いい感じに、さわり心地、良いし。


「……じ、ろじろ見んなよ」

 む、として言われて。


「見るでしょ……」

 そう言い返して、手を体に這わせると、困ったように、眉が顰められてしまう。

「――――……三上、てば……」

「……恥ずかしかったら、目、つむってていいよ」

 そう言ってから胸の位置まで下がって、舌で舐めると。
 びく、と震えて、背中がベッドから浮いて、少し反る。

「……ふ……っ」

 顔を見ると、ぎゅっと瞳をつむって、唇を噛みしめている。

 もう片方を手でつまんで、軽く擦ると、噛みしめていた唇が解けて、あ、と短い喘ぎが立て続けに上がった。
 髪に、先輩の指がかかって、なんだか、しがみつくように、頭を押さえられる。


「……っん……ぅ……」


 くぐもった声。
 ――――……強く吸ったら、また体が跳ねた。


「――――……っ……」


 その感覚に驚いたみたいに、オレを見る。目が合うと、また赤くなって、顔を少し背ける。

 でも、抵抗は、しないでくれている。


 多分、今までずっとノーマルだった人が、男に好きにされて、感じさせられるとか。
 きっと相当ハードル高いことだと思うし。

 ――――……きっと思うより、ずっと、恥ずかしいんじゃないかと、思うけど。



 抵抗はしないで、受け入れてくれてるのが。
 すごい、嬉しいし。

 我慢できずに漏れる声や、体が震えるのを感じると。

 気持ちいいと思ってくれてるのかなと思って――――……もっともっと、触りたくなる。



 




しおりを挟む
感想 119

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・不定期

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...