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◇マジで。

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「――――……」

 いつも、誰に対しても、とても綺麗に笑う、その唇。
 触れると柔らかいそれを、自分のだけにできてるみたいで、熱くなる。
 後頭部に手を這わせて、自分の方に引き寄せる。
 後ろに退けないように、深く。

「……ん……っふ……」

 漏れた声に少し目を開けると、伏せた瞼が少し震える。愛しくてしょうがなくて、ぐいと背を抱き締めて、片手で頬に触れた。

「……っ……ン……ぁ……み、か……」
「――――……?」

 呼ばれた気がして、見下ろすと。
 すでに涙ぐんだ瞳と、視線がぶつかる。

 なんかもうすでに、ものすごく可愛いんだが、どうしたら……。

「……呼んだ?」
「ん……呼んだ……」

 は、と息を整えてから、オレを見上げてくる。

「――――……あのさ、三上」
「……うん?」

 可愛くて、涙を拭い、そのまま、頬にキスする。

「……くすぐったい、かも……」

 クスクス笑う先輩に――――……正直、限界。

「寝室、いこ?」
「うん」
 即答で頷いてくれるので、手を引いて、一緒に寝室に向かう。

「電気――――……つけます?」
「……えーと……小さいのが良いかな……」
「ん」

 オレンジの一番小さなライトだけ。
 お互いを見るには十分。
 ベッドに腰かけた先輩の隣に座って、腕を掴んでキスを再開しようとした瞬間。

「あ。さっき、何か言おうとしました?」
「うん、した」
「なんですか?」

「あのさ、三上」
 じっと見つめてくる視線に、止まった。

「少し話して、良い?」
「……?」

 話す。何だろ。思いながら頷くと、少し間をおいて、オレを見上げる。

「……あのさ」
「うん」
「……三上、オレと本気で付き合いたい?」
「――――……当たり前ですけど」

「…………オレさ」
「ん」

「……三上のこと、好き、だと思う」
「――――……」

 好きって思ってくれてるのは知ってるけど。
 こんな時に、あえて言う意味、は。

「……オレ、三上とこうなってから……ずっと、好きだと思ってる」
「――――……」

「……あと、もしかしたら、こうなる前から……なんか……好きだった、かもと、思い始めてて――――……」
「――――……」

「……だから……もし、三上が……ほんとにオレで良いなら……」
「――――……」

 話途中だったけど。抱き締めてしまった。
 そのまま、顎に触れて、唇を塞ぐ。

「――――……っ……」

 先輩の手が、オレの腕に触れる。


「――――……ン、ふっ……っ……」

 音が立つ位、激しく絡めて、ぐい、と抱き寄せる。

「……っ……は……」

 先輩の口の中、舐めつくすみたいにキスしてから、舌を吸って、噛む。

「ん、ンっ……」

 びく、と震える。唇の間で、はあ、と熱い吐息が漏れる。

「……っん……」

 こらえきれないように、唇の間で漏れる声が、甘くて。
 なんか、ほんと――――……ヤバい。

「……陽斗さん」
「――――……っ……?」

 キスを離して名を呼ぶと、ふ、と息をつきながら、軽く握った手で唇を押さえてる。
 顔、真っ赤。

「もし、じゃないからね」
「……??」

 頭ちゃんと働いてないのか、不思議そうな顔をされる。
 
「……もしオレが陽斗さんで良いなら、とか言ったでしょ」
「――――……あ、うん……」

 なんだか恥ずかしそうに、視線を逸らされて。
 オレは、先輩の顎をとらえて、自分の方に向けさせた。

「……言い方おかしいんだよね」

 苦笑いしか浮かばない。

「……オレは、陽斗さんが良いってば」

 そう言うと、言葉に詰まったみたいに一度、黙ってから。

「三上……」
「……うん?」

「……お試しとかじゃなくて――――……」

 じっと、オレを見上げて、それから。ぎゅ、と首に腕が回った。

「ちゃんと、付き合いたいんだけど……」
「――――……陽斗さん……」

「……本当に、いい?」

 なんだかもう――――……聞き方が可愛くて。
 少し離させて、顔を見つめる。

「いいに決まってるし……ていうか、オレはずっと、そうしたいって言ってるし」

 そう言ったら、めちゃくちゃ照れたみたいに、ふわ、と微笑んで。
 うん、と頷く。
  


 もーマジで無理。
 可愛い。



 そのまま、ぎゅ、と抱き締めた。





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