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◇やばいって。

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「……昨日、キスしたよ。結構、たくさん」
「――――……」

 一瞬オレを見て、少し視線を落とす。

「……少しだけ、覚えてる」
「――――……寝ちゃったのは?」

「……そこは覚えてないけど――――……どうやって離れたか覚えてないから、そうなのかなと、思った」

 恥ずかしそうな言い方に、オレはぷ、と笑ってしまう。

「ごめん、な?」
「――――……だから謝んなくていいですよ」

 先輩の唇にキスして、それから、頬に口づける。


「可愛かったから、ほんといいから」

 クスクス笑って見つめると、先輩はオレをじっと見つめる。


「……三上って、怒んないよな。ほんとに」

 しみじみそんな事を言って、微笑む。


「怒る訳ないですよ。可愛いって思ってるし」
「――――……」


 先輩の手が不意に、オレの両頬に触れて。


「――――……」

 ちゅ、とキスされる。
 じっと見つめあった後。また恥ずかしそうに、先輩は、ぱ、と離れて。

「こ、れ。運べばいい?」
「……うん。まあ……」

 頷くと、先輩が、オレの手元から皿を運んでいく。



「――――……あのさ、陽斗さん」
「……ん?」

「……もー、ほんとさ。オレ、マジで、襲うけど」
「――――……」


 びっくりした顔でオレを見た後。
 また、かあっと赤くなるし。


「もうその反応も。ほんと、会社休ませるよ、もう」
「……2人で休める訳ないじゃんか……」

 照れながら、もごもごと、何かを言ってるけど。


「……もう、ほんと、そろそろ限界なんですけど」


 コーヒーのカップを持って、先輩の側に寄って、テーブルに置く。


「……明日、しませんか?」
「――――……」


 まっすぐじーっと見つめ合う。目をそらさず見つめ続けてると、陽斗さんは、どんどん真っ赤になっていく。


「――――……い、いよ」
「……え」

 惚けたオレ。


「え。……良いって言った?」
「……うん。言った。――――……っ……朝からこの話、無理。もう、おわりにしよ」


 そう言って、オレの向かい側に座る。


「――――……」


 今、良いって言ったんだよね。
 話、もう終わりって 言われちゃったけど。まあ、こんな朝日の中で話すのが、恥ずかしいんだろうけど。

 その前に、良いって、言ったよね。


「――――……ていうかさ。陽斗さん」

 オレも座って、朝ごはんを食事を始めながら。


「何でそんなに可愛いの?」

 思わずそう聞いたら。

「可愛くない」

 即答された。

「ね、陽斗さん」
「……何?」

 じっと見つめられて、ふ、と笑んでしまう。

「オレに、好きって言ったの、覚えてる?」
「――――……いつ??」

「昨日。キスしてる時」

 ちょっと眉を寄せて、オレを見てる。
 ……この反応は、全く覚えてないな。

「オレに抱き付いて、好きって」
「――――……ほんとに?」
「うん」

 先輩はしばらく食べるのも止まっていたけれど。


「――――……まあ……言うかも……しんない」


 ぼそ、と、そう言う先輩。



「~~~……休みましょうか、今日」
「……無理」

「何とかなりますって、休みましょう、あ、午前の半休でもいいですよ」

 オレが半分冗談、でも半分本気で言ってると。


「そんな事したら、午後、絶対働けないから無理」


 そんな理由で、断られた。恥ずかしそうに。



 ――――……はー。もー。
 テーブルに肘をついて、がっくり。頭を抱える。食事中だけど……。




 この人、喋れば喋るほど、ヤバい事言ってるの。
 わからないのかなあ……。

 



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