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side*陽斗 3
しおりを挟む『そっか。あのさ、今度合コンしようっつー話になって。陽斗も来る?』
「合コン?」
『っても、オレ達の中で、合コンですっていうのは何だかなーって話になってさ。バーベキューでもしようって事になったんだけど』
「そうなんだ」
『ん、皆も職場の奴とかちょっとずつ集めてさ、とりあえず楽しもうって』
「そっかー……」
『ちょうど桜も咲くだろ。来週か再来週くらいで陽斗もどう?』
「あー……週末って事だよね?」
『うん』
――――……週末。
別にどうしても嫌って程の事じゃない。
こういうの、前にもやってたし、別に、興味がないならただ知ってる友達と楽しく過ごせばいいし。別に。そこまで、行きたくないとか、思わないけど。
週末。三上が色々言ってたのが、浮かんでくる。
「……修司、あのさ」
『うん?』
「オレ、彼女は居ないんだけど……気になる奴は居て……だから、しばらくはそういうのはやめとく」
『えっそうなの? まだ付き合ってはないって事?』
「……ちょっとまだ色々で……」
『なんだ、そうなんだ。分かった、じゃあそう言っとく』
「ん。普通の飲みなら行く」
『OK。なあ、どんな子? 気になる子』
「……どんな子。――――…………ちょっと、可愛い……かなぁ」
そう言ったら、修司が可笑しそうに笑い出した。
「何、ちょっとって。『可愛い』んじゃなくて、『ちょっと可愛い』なの?」
いや、だって。……可愛いよりは、カッコいい方が多いから。
それ言えないし。でもたまに、ちょっと可愛いんだよな……。
「うん。ちょっと……可愛い」
『ちょっとなんだな』
クックッと笑って。
『うまくいくといいな』
そう言う修司に、うん、と頷くと、じゃあまた連絡するーと言って、電話が切れた。
ふ、と何となく笑んで、スマホをテーブルに置くと。
また着信。修司が何か言い忘れたのかと思ったら、今度は三上だった。
「もしもし?」
『あ、陽斗さん? 今どこ?』
「……お前んち、だけど」
『ちゃんと居てくれてる?』
「居るよ」
くす、と笑ってしまいながら答えると。
『良かった。じゃあオレ、今皆と別れたから、ダッシュで帰るから』
「え。もう帰るの?」
『打ち合わせ終わりだから、置いて帰ってきた』
「飲んでこなくて、いいのか?」
『良いに決まってるし。すぐ帰るね』
「走ってこなくていいから」
『走る! じゃね、陽斗さん』
ぷち。
切れた。なんかすごい勢いで、嬉しそうに言いたいことだけ言って、切れた。
――――……うん。
やっぱ、ちょっと。可愛い。
…………ちょっと、じゃないか。
すっごく。かなあ……。
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