【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

悠里

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番外編【バレンタイン🍫ミニ小説】3/4

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 会社を出て、遅くまでやってるカフェに寄った。
 もうケーキはそんなに残ってなくて。

 チョコケーキは、ないかぁ……。
 ふと、レジの横にある、チョコがかかったクッキーに目が留まった。
 ――――……これでも、いいかな。

 もともと三上、そんなに食べないしな。一口が美味しいとか言うし。それで残りをオレに食べさせてくれたり。

 そんなのを思い出して、ふ、と顔が勝手に綻ぶ。
 すぐ気づいて顔を引き締めて、それを購入。

 三上のマンションに向かって急いで、入り口に到着。
 部屋番号を押そうとして、ふと気づいた。


 あ。……もう寝てても、おかしくない時間か。
 つか、そういうの、ここに来る前に気付けばいいのにオレ。

 先に連絡すればよかった……。
 仕事だと絶対こんなミスしないのに。何でオフだと抜けるんだろ。我ながら不思議……。

 んー……。どうしよ。


「――――……」

 電話だと起こしちゃうかも。そう思って、トーク画面に、「起きてる?」とだけ入れてみた。3分返って来なかったら帰ろう、そう思って。

 そしたら、即、既読が付いて。

『起きてますよ、待ってました。家着きました?』

 と、入ってくる。待ってました、だって。
 ……三上のこういう、なんか、嬉しくなるような事を、自然と言ってくれるとこが、なんか好きなとこなのかも。
 と、咄嗟に思ってしまう。

 電話をかけると、すぐに出てくれる。

『先輩? お疲れ様』
「うん。……寝るとこ?」

『まあ寝る準備はできてますけど……先輩が終わるの待ってたので、テレビはついてますよ』
「――――……あのさ、今から行ってもいい?」
『え? いい、ですけど……? まだ外なんですか? 会社?』
「……三上んちの、下にいる」
『――――……えっ?? 下?』
「開けてくれたら、すぐ行く」
『え? あ、はい、ちょっと待ってくださいね』

 少しして、目の前の扉が、自動で開いた。

「待ってて」

 電話を切って、ドアを抜けて、エレベーターに乗る。
 三上の階で降りたら。エレベーターの前で、急いで出てきたって感じの、三上が立ってた。


「うっわ、マジで、先輩だ――――……」
「部屋に居て良かったのに」

 でも、なんか、すごく嬉しい、気がする。
 ふ、と顔が綻んでしまうのが、自分でも分かる。

 不意に腕を掴まれて。え?と思いながら、引かれて、三上の部屋に入って、鍵がかかった瞬間。

 ぐい、と引き寄せられて、抱き締められた。

「――――……みかみ?」
「……何でこんな事するかなあ……」
「……え?」
「――――……もう、めちゃくちゃキスして、抱き締めて、オレのものにしたくなるでしょ」
「……っ」

 ぎゅと、抱き締められてた腕が解けて。
 ふ、と笑んで、三上が離れた。

「ダメだよ、先輩、オレ以外にこういう事したら。絶対勘違いするからね」

 くす、と笑われて。見つめられる。

「それで、どうしたんですか? わざわざ家まで」
「――――……勘違いとか…じゃないし、他の奴の家に、こんな時間に来ないし。……これ渡しに来たんだよ」

「――――……なに?」

 紙袋を開けた三上は、可愛い包みのチョコクッキーを見て。
 それからオレを見て、瞳を優しく緩ませて、微笑む。

 なんかものすごく恥ずかしいな。
 ……バレンタインにオレがあげる日が来るなんて、思わなかった。


「……これってさ――――……バレンタイン、関係あります?」
「あるに決まってるし……だから、今日、来たんだし」

「――――……抱き締めていい?」
「――――……」

「つか、これはもう、いいですよね」

 さっきよりも強く、抱き締められる。



「……ほんと、可愛いなぁ、先輩」


 なんか、三上、いい匂いする。
 お風呂から出た、あったかい、いい匂い。



「あ――――……オレ、外から、来てるから、綺麗じゃないよ」

 少し離れようとしたら。


「……てか、どーでもいい」

 ぎゅー、と抱き締められて、すっぽり包まれる。


「――――……」


 こういう事してると、すごく、思う。



 なんかオレって。


 ……三上の事、好き、だよなー…………。
 

 少しだけ。背中に、手を回してみた。






◇ ◇ ◇ ◇

次話で終わります♡♡
書き終えたら、番外編は番外編で並べますね(*'ω'*)。
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