172 / 274
番外編【バレンタイン🍫ミニ小説】3/4
しおりを挟む
会社を出て、遅くまでやってるカフェに寄った。
もうケーキはそんなに残ってなくて。
チョコケーキは、ないかぁ……。
ふと、レジの横にある、チョコがかかったクッキーに目が留まった。
――――……これでも、いいかな。
もともと三上、そんなに食べないしな。一口が美味しいとか言うし。それで残りをオレに食べさせてくれたり。
そんなのを思い出して、ふ、と顔が勝手に綻ぶ。
すぐ気づいて顔を引き締めて、それを購入。
三上のマンションに向かって急いで、入り口に到着。
部屋番号を押そうとして、ふと気づいた。
あ。……もう寝てても、おかしくない時間か。
つか、そういうの、ここに来る前に気付けばいいのにオレ。
先に連絡すればよかった……。
仕事だと絶対こんなミスしないのに。何でオフだと抜けるんだろ。我ながら不思議……。
んー……。どうしよ。
「――――……」
電話だと起こしちゃうかも。そう思って、トーク画面に、「起きてる?」とだけ入れてみた。3分返って来なかったら帰ろう、そう思って。
そしたら、即、既読が付いて。
『起きてますよ、待ってました。家着きました?』
と、入ってくる。待ってました、だって。
……三上のこういう、なんか、嬉しくなるような事を、自然と言ってくれるとこが、なんか好きなとこなのかも。
と、咄嗟に思ってしまう。
電話をかけると、すぐに出てくれる。
『先輩? お疲れ様』
「うん。……寝るとこ?」
『まあ寝る準備はできてますけど……先輩が終わるの待ってたので、テレビはついてますよ』
「――――……あのさ、今から行ってもいい?」
『え? いい、ですけど……? まだ外なんですか? 会社?』
「……三上んちの、下にいる」
『――――……えっ?? 下?』
「開けてくれたら、すぐ行く」
『え? あ、はい、ちょっと待ってくださいね』
少しして、目の前の扉が、自動で開いた。
「待ってて」
電話を切って、ドアを抜けて、エレベーターに乗る。
三上の階で降りたら。エレベーターの前で、急いで出てきたって感じの、三上が立ってた。
「うっわ、マジで、先輩だ――――……」
「部屋に居て良かったのに」
でも、なんか、すごく嬉しい、気がする。
ふ、と顔が綻んでしまうのが、自分でも分かる。
不意に腕を掴まれて。え?と思いながら、引かれて、三上の部屋に入って、鍵がかかった瞬間。
ぐい、と引き寄せられて、抱き締められた。
「――――……みかみ?」
「……何でこんな事するかなあ……」
「……え?」
「――――……もう、めちゃくちゃキスして、抱き締めて、オレのものにしたくなるでしょ」
「……っ」
ぎゅと、抱き締められてた腕が解けて。
ふ、と笑んで、三上が離れた。
「ダメだよ、先輩、オレ以外にこういう事したら。絶対勘違いするからね」
くす、と笑われて。見つめられる。
「それで、どうしたんですか? わざわざ家まで」
「――――……勘違いとか…じゃないし、他の奴の家に、こんな時間に来ないし。……これ渡しに来たんだよ」
「――――……なに?」
紙袋を開けた三上は、可愛い包みのチョコクッキーを見て。
それからオレを見て、瞳を優しく緩ませて、微笑む。
なんかものすごく恥ずかしいな。
……バレンタインにオレがあげる日が来るなんて、思わなかった。
「……これってさ――――……バレンタイン、関係あります?」
「あるに決まってるし……だから、今日、来たんだし」
「――――……抱き締めていい?」
「――――……」
「つか、これはもう、いいですよね」
さっきよりも強く、抱き締められる。
「……ほんと、可愛いなぁ、先輩」
なんか、三上、いい匂いする。
お風呂から出た、あったかい、いい匂い。
「あ――――……オレ、外から、来てるから、綺麗じゃないよ」
少し離れようとしたら。
「……てか、どーでもいい」
ぎゅー、と抱き締められて、すっぽり包まれる。
「――――……」
こういう事してると、すごく、思う。
なんかオレって。
……三上の事、好き、だよなー…………。
少しだけ。背中に、手を回してみた。
◇ ◇ ◇ ◇
次話で終わります♡♡
書き終えたら、番外編は番外編で並べますね(*'ω'*)。
もうケーキはそんなに残ってなくて。
チョコケーキは、ないかぁ……。
ふと、レジの横にある、チョコがかかったクッキーに目が留まった。
――――……これでも、いいかな。
もともと三上、そんなに食べないしな。一口が美味しいとか言うし。それで残りをオレに食べさせてくれたり。
そんなのを思い出して、ふ、と顔が勝手に綻ぶ。
すぐ気づいて顔を引き締めて、それを購入。
三上のマンションに向かって急いで、入り口に到着。
部屋番号を押そうとして、ふと気づいた。
あ。……もう寝てても、おかしくない時間か。
つか、そういうの、ここに来る前に気付けばいいのにオレ。
先に連絡すればよかった……。
仕事だと絶対こんなミスしないのに。何でオフだと抜けるんだろ。我ながら不思議……。
んー……。どうしよ。
「――――……」
電話だと起こしちゃうかも。そう思って、トーク画面に、「起きてる?」とだけ入れてみた。3分返って来なかったら帰ろう、そう思って。
そしたら、即、既読が付いて。
『起きてますよ、待ってました。家着きました?』
と、入ってくる。待ってました、だって。
……三上のこういう、なんか、嬉しくなるような事を、自然と言ってくれるとこが、なんか好きなとこなのかも。
と、咄嗟に思ってしまう。
電話をかけると、すぐに出てくれる。
『先輩? お疲れ様』
「うん。……寝るとこ?」
『まあ寝る準備はできてますけど……先輩が終わるの待ってたので、テレビはついてますよ』
「――――……あのさ、今から行ってもいい?」
『え? いい、ですけど……? まだ外なんですか? 会社?』
「……三上んちの、下にいる」
『――――……えっ?? 下?』
「開けてくれたら、すぐ行く」
『え? あ、はい、ちょっと待ってくださいね』
少しして、目の前の扉が、自動で開いた。
「待ってて」
電話を切って、ドアを抜けて、エレベーターに乗る。
三上の階で降りたら。エレベーターの前で、急いで出てきたって感じの、三上が立ってた。
「うっわ、マジで、先輩だ――――……」
「部屋に居て良かったのに」
でも、なんか、すごく嬉しい、気がする。
ふ、と顔が綻んでしまうのが、自分でも分かる。
不意に腕を掴まれて。え?と思いながら、引かれて、三上の部屋に入って、鍵がかかった瞬間。
ぐい、と引き寄せられて、抱き締められた。
「――――……みかみ?」
「……何でこんな事するかなあ……」
「……え?」
「――――……もう、めちゃくちゃキスして、抱き締めて、オレのものにしたくなるでしょ」
「……っ」
ぎゅと、抱き締められてた腕が解けて。
ふ、と笑んで、三上が離れた。
「ダメだよ、先輩、オレ以外にこういう事したら。絶対勘違いするからね」
くす、と笑われて。見つめられる。
「それで、どうしたんですか? わざわざ家まで」
「――――……勘違いとか…じゃないし、他の奴の家に、こんな時間に来ないし。……これ渡しに来たんだよ」
「――――……なに?」
紙袋を開けた三上は、可愛い包みのチョコクッキーを見て。
それからオレを見て、瞳を優しく緩ませて、微笑む。
なんかものすごく恥ずかしいな。
……バレンタインにオレがあげる日が来るなんて、思わなかった。
「……これってさ――――……バレンタイン、関係あります?」
「あるに決まってるし……だから、今日、来たんだし」
「――――……抱き締めていい?」
「――――……」
「つか、これはもう、いいですよね」
さっきよりも強く、抱き締められる。
「……ほんと、可愛いなぁ、先輩」
なんか、三上、いい匂いする。
お風呂から出た、あったかい、いい匂い。
「あ――――……オレ、外から、来てるから、綺麗じゃないよ」
少し離れようとしたら。
「……てか、どーでもいい」
ぎゅー、と抱き締められて、すっぽり包まれる。
「――――……」
こういう事してると、すごく、思う。
なんかオレって。
……三上の事、好き、だよなー…………。
少しだけ。背中に、手を回してみた。
◇ ◇ ◇ ◇
次話で終わります♡♡
書き終えたら、番外編は番外編で並べますね(*'ω'*)。
66
お気に入りに追加
1,292
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる