【愛じゃねえの?】~社会人*嫌いだったはずの先輩に恋する理由。攻めの後輩視点

悠里

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◇寝室で。

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 寝る準備を全部終えて、先輩と寝室に入る。

「三上、明日何時に起きる?」

「7時位? ゆっくり朝食べたいし」
「ん。7時な」

 先輩がスマホのタイマーをセットしてる。

「布団ありがと、三上」
「いえ」

「――――……変なの、オレ、ここに居るの」

 言いながら先輩、布団に入ると、俯せで枕に顎を乗せた。

 オレはベッドに胡坐をかいて座って、足にだけ布団をかけて、少し前かがみで肘に顎をのせた。

「オレはめっちゃ嬉しいですけど」
「――――……またそういうの……」

「だってほんとに嬉しいですし」

 言うと、先輩は黙って、ちら、と見上げてくる。

「……三上」
「はい」

「……さっき、ごめん」
「え?」

「……キスして、ごめん」

 そう言って、枕に埋まってしまった。
 ぷ、と笑ってしまう。

「謝る事なんてないんですけど」
「――――……でも……オレがダメって言ってるのに」

「ダメって言ってる陽斗さんが、キスしてくれたのが嬉しいんですけどね」
「――――……」

 枕に埋もれたまま、顔だけちらっとこっちを見てくる。
 何か――――……髪、少し乱れてて。枕に埋まってると。ものすごく、幼く見える。

「ダメって言ってるのに、したくなっちゃったんですよね? しかも、あんなところで。それって、オレ的には謝られる事じゃなくて、スゴク嬉しいんですけど」
「――――……」

 オレが言い終わった所で、何か言おうとしていた先輩は。
 また黙って、はー、とため息を付きながら、枕に顔を埋めた。

 少しして、先輩は、さっき置いたスマホを手に取って、何か操作して。
 また枕に埋まったと思ったら、すぐにまたスマホを見て、固まった。

「陽斗さん?」
「――――……ちょっと、三上、黙っててくれる?」
「……?」
「オレが電話切るまで、黙ってて?」
「……はい」

 よく分からないけど、頷くと。
 先輩は起き上がって、電話で話し始めた。

「あ、もしもし――――……あ、うん」

 ――――……誰と電話?

「なんか、気づいてる事、ある?」

 それだけ聞いて。しばらく、先輩は相手の話を聞いてて。

「……大体、あってる、かなあ…… 詳しい事は明日話すけど…… 反対?」

 何だかはっきりしない電話だけど。
 またしばらく無言で先輩が聞いてる。その内、先輩が、ふ、と笑い始めた。


「……ん、分かった。ありがと、志樹」

 言って、切れた電話。
 最後の一言に、え?と驚く。


「今兄貴と話してたんですか?」
「うん、そう」

 スマホをまた置くと、先輩は苦笑い。


「――――……気づいてる事ある?て聞いたら。三上に迫られてるか、そういう関係になったか、どっちかか、どっちもかって、言われた」
「――――……」


 怖――――……。
 何なのあの人。やっぱり超能力あるんじゃねーのか……。


「反対かって聞いたら、それはオレが決める事じゃないって。どっちでもいい、だって。――――……志樹らしいね……」


 ほんと。くそ兄貴らしい。
 どっちでもいい、言いそう……。


「とりあえず、志樹がめちゃくちゃ反対じゃないのは分かった。……あとは」
「……?」


「……ほんとにいいのかなあってところ、なんだけど……」
「陽斗さん……?」



「――――…………」


 先輩がじっとオレを見て、何だかすごく色々考えてるっぽい顔をしているので。

 オレはしばらく無言で見つめ返していると。
 先輩は、ふ、と息を吐いた。

 なんかすごく。――――……緊張してるっぽい。






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