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side*陽斗 2

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「何て呼べばいいですか? オレが先輩て呼ぶの変ですよね」

 三上を挟んで、3人で座る。
 グラスを合わせてすぐ、そう言ってクスクス笑われた。

「あ、渡瀬だよ」
「じゃあ、渡瀬さん、で」
「うん。祥太郎、君?」

「は? だめ。中原です、こいつ」

 三上がいっつも祥太郎としか呼んでないから、祥太郎君でいいのかなと思って口にしたら。即座に三上からダメだしと名字が飛んできた。

「何でオレが三上なのに、こっちが名前なの。おかしいでしょ、先輩」

 ぶつぶつ言ってる。
 最初、ぷ、と笑いそうになったけど、はた、と気付く。

 ――――……ていうか。これって。

「……三上、何か、中原君に話した?」
「え」

「――――……」

 だって、今の、おかしいじゃん、普通。
 名前呼びにそんなに引っかかるとか。

 じっと見てると。

「……祥太郎には、話しとこうと思って」
「――――……」


 どこまで、話したんだろ。
 ……やっぱり、ちょっと恥ずかしいかも……。

 聞くに聞けず、止まってると。

「――――……オレ2年間、渡瀬さんへの愚痴、聞いてたんで。一緒に店に来た時点で、は?て感じで。 話さざるを得なかった感じですよ。ていうか、オレ偏見はないんで、大丈夫ですよ。あとは、渡瀬さんが迫られてるって所で終わってます」

 三上のかわりに、中原君がそう言った。


 ――――……2年間、愚痴聞いてた。

 ちょっとずき、と胸が痛い。と思った瞬間。

「お前さらっと余計な事言うなよ、バカ」
 三上が中原君にそう言った。

「はー? 事実だろうが」

「あれは、先輩、違いますから」
「いい、大丈夫」

 まあ、しょうがないとも思ってるから。

 なんか三上は焦ってるけど。

 そしたら、中原君が笑い出した。

「愚痴ってましたけど、結局何が嫌なのか分からなくて、ついこないだも、いつも愚痴ってるけど、結局何なのかわかんないって言ったばかりで。ただ単に、優しくしてもらえなくて拗ねてただけだと思うんで。その程度の愚痴ですよ」

「お前、それもフォローになってねえからな」

 三上はじろ、と中原君を睨んでる。


 えーと。
 ……優しくしてもらえなくて拗ねてたって……。

 ……なんか。胸が、きゅんとしてしまう。
 ヤバいな、オレの、この反応。

 明日から、今日よりももっと優しくしてしまいたくなってしまうんだけど。
 


「さっきから少し見てたんですけど」
「うん?」

「蒼生ってもしかして、渡瀬さんに、めちゃくちゃ甘々だったりしますか?」
「――――…………」


 めちゃくちゃ、甘々……って。

 じっと見つめられて。
 理解した瞬間、めちゃくちゃ恥ずかしくなって、思わず視線をそらしてしまった。



 
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