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◇一緒に朝食

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 昨日は寝る前まで先輩と話してて。
 そのまま、眠りについた。

 朝起きて、出社の準備をして、何だか自分でも浮かれながら家を出る。


 駅前に近付いて、どこら辺に居るか聞こうとスマホを出した時。先輩を発見。


 昨日もスーツは着ていたけれど、ネクタイは外してたし、上着も脱いで崩して着ていたから。やっぱりちゃんと着てると。

 ほんと、清々しい位に。――――……なんか綺麗。
 ……まあ普通の人は、格好いいって言うんだろうけど。


「先輩」

 声をかけると、スマホを見ていた先輩が顔を上げて、オレを見て、笑顔になる。


「――――……」


 あー。なんか。
 旅行先での笑顔はちょっと特別で。
 普段の生活に入ったら、笑ってくれないかも。とか。
 実は少しだけ、心配してたんだけど――――……。


「おはよ、三上」

 先輩の笑顔は、変わらなかった。
 多分。会社の中に入ったら、少し変わるんだろうけど。

 なんか、すげえ嬉しいかも。


「外で会おうって言ってくれて、ありがとうございます」

 思わず言ったら、先輩は、ん?とオレを見て、何それ、と笑う。

「三上、あっち。いこ」

 先輩の隣に並んで、歩き出す。
 店はすぐ近く。広い通りから一本入った所だからか、そこまでは混んでない。広めに座席が取ってあって、いい雰囲気。

 サンドイッチとコーヒーを頼んで、先輩と向かい合う。

「電話切って、すぐ寝ました?」
「もう、一瞬だった」
「じゃあ良く寝ましたよね」
「ん」
「旅疲れないですか?」
「無いよ。一応あれ、出張だけどな?」
「はは。でも金曜の夕方以降は完全に旅行でしたけど」
「まあ。そーだな」

 先輩はクスクス笑いながら、時計を確認して。

「オレもちょっと早かったけど、三上も早かったから……ゆっくりできそう」
「めっちゃ楽しみで、早起きでしたから」

 そう言うと、先輩は、クスクス笑う。

「三上って、いつも朝ごはん、作ってんの?」
「外出るのめんどいんで、軽く作る……という程でもないですけど」
「へー。何を?」
「パンと卵とハムとかとコーヒーとか? そんな感じですけど。帰り道にあるパン屋でパンを買って帰る事も多いかも」
「へー」

「先輩はここによく来るんですか?」
「うん。朝余裕があったら、ここに来てる。無い時は、パン焼いて終わり」

「じゃあ、オレもここ来ます」
「――――……いつ来るかわかんないけど」

「7時半迄に連絡ください。いつでも行けるようにしとくんで」

 そう言うと、先輩は、いつでもって……と笑う。

「いつでも、じゃないよ? 余裕ある時だけだし」
「んー……まあ……オレんちで、一緒に、でも全然良いんですけど」

「――――……」


 先輩は、また、マジマジとオレを見つめて。
 それから、ちょっと嫌そうに眉を寄せて。


「それ、会社で言ったら、アウトだからな……」

 と、言ってくる。


「分かってますよ。――――……会社では言いません。だから、会社以外で、オレとの時間、下さいね」
「――――……」


 またまた黙って、見つめられていると。
 店員が、食事を持ってきて、並べて行った。


「おー、うまそう。いただきます」

 コーヒーに口をつけると。
 イイ香り。

「コーヒー、イイですね。美味しい」
「だろ?」

 嬉しそうに笑いかけて。
 先輩は、あ、と気づいたみたいに、笑いを引っ込めた。

「三上、さっきのも、会社で言わないで。ていうか、もう、全部怪しいこと何も言わないどいてよ。オレきっと、変な反応しか返せないから」
「――――……オレとの時間取って、って? 別にあれ位、良くないですか? 人の前では言わないですよ?」

 クスクス笑いながら聞くと、先輩は、はーと息をつきながら、コーヒーを飲んで。それから、じっとオレを見つめてきた。

「三上は多分、平然と色んな事言って、ほんと平然としてて誰にも悟られたりしないんだろうけど――――……オレ、絶対迷惑かけると思うし」

「ストップ」

 思わず、止めてしまった。

「また変なこと言ってますよ。――――……オレが平然とちょっかいかけてまでは良いですけど。それで先輩が可愛い反応して、たとえ周りにバレたって、それオレに迷惑かかるとかいう話じゃないですからね。 ていうか、完全にオレのせいじゃないですか」

 言ってる内に可笑しくなってきて、笑ってしまう。




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